ウマい人事編集部 直撃インタビュー!~内定者から聞く、就職活動のリアルな本音~
新卒市場のトレンドが年々変化するなか、特に学生が取り組む就職活動の在り方は一昔前と大きく様変わりし、現在はタイパを重視するZ世代の時代となっています。そのため、採用活動や学生とのコミュニケーションに悩む人事担当者も少なくないでしょう。
そこで今回は、株式会社デイリー・インフォメーション関西へ2024年4月入社を予定している3人の内定者に、就職活動時の様子についてインタビューを実施しました。
「個別カスタマイズのスカウトは、エントリー確度を高める?」
「入社前の初期配属決定は、エントリーや内定承諾を左右する?」
「内定承諾後の実態は?」
など、人事担当者が知りたいと思う“就職活動のリアルな本音”を紹介します。
Q.就職活動はいつ頃から始めましたか?
Yさん:周りの動きに合わせて3年生の春頃から開始しました。
Sさん:10月に早期選考を実施している企業への応募から始めました。周りが就職活動に取り組み始めたことをきっかけに、自分も動き始めていきましたね。
ただ、本格的に取り組み始めたのは3月1日からでした。
Mさん:自営業を営む実家の手伝いをしていたこともあり、就職活動は3年生の11月頃から少しずつ始めました。インターンシップには参加せず、会社説明会を通じて企業理解を深めていきました。
ただ、もっと早くから取り組み始めている人は少なからずいましたね。
【ウマい人事編集部からのコメント】
就職活動の早期化が加速している新卒採用市場ですが、3名の内定者は自分のペースで就職活動をスタートさせたようです。
もちろん早期化に向けて早くから動き出している学生も少なくはありませんが、就職活動の開始時期が多様化している旨にも目を向けておく必要があるでしょう。
Q.就職活動で活用したツール・媒体を教えてください
Mさん:ナビサイトと逆求人型サービスを活用していました。いずれも先輩からのおすすめや知名度の高さで選びました。
Sさん:私もナビサイトを活用した他、友人の紹介で就活対策サービスなども利用していました。
Yさん:私はナビサイトの他に学校のキャリアセンターや企業HP、ハローワークなどを活用していました。
企業HPはナビサイトに掲載されていない企業へのエントリーに利用しており、ハローワークは面接練習などに活用していました。
【ウマい人事編集部からのコメント】
HR総研×楽天みん就『2024年卒学生の就職活動動向調査』における、「就職活動中に活用している就職ナビや逆求人型サイト」を問う設問では、次の回答となりました。
引用:HR総研×楽天みん就『2024年卒学生の就職活動動向調査』
なお内定者の回答も本調査の結果と似た傾向が表れており、特にナビサイトやスカウトを受け取れる逆求人型サービスを積極的に活用している様子が伺えます。
しかし一方で、同じナビサイトでもリクナビやマイナビのように昔から学生に利用されているサービスよりも、ONE CAREERや就職カレッジのように比較的新しいサービスを利用する学生が増加傾向にあります。
また目的に応じて使い分けている内定者もいました。
そのため企業は、昔から会社で利用しているサービスという観点からツール・媒体を選択するのではなく、ターゲット学生の動向にマッチした新しいサービスの選択も意識していく必要があるでしょう。
Q.Mさんは逆求人型サイトを利用していたとのことですが、興味のない業界・企業でもスカウト内容次第でエントリーに繋がることはありましたか?
Mさん:自分宛にカスタマイズされたスカウトを送付してくれた企業の場合、好感度も上がり「まずはエントリーしてみよう」という気持ちになりましたね。
定型文に近いスカウトなのか、しっかりプロフィールを読み込んだ上で作成されたスカウトなのかは、すぐに分かります。
やはり定型文に近いスカウトを送る企業にエントリーすることはなかったですね。
【ウマい人事編集部からのコメント】
新卒向け逆求人サービス『OfferBox』では、個別コメントを添えるだけで承認率が15%から27%にまで上昇すると公表しています。
引用:Offer Box
内定者のリアルな本音からも、スカウト文の個別カスタマイズは、返信率や承認率に大きな影響を与えることが分かりました。
スカウト送付は工数のかかる作業ではありますが、スカウト文を定型化することは得策ではありません。多少送付数が少なくなってもスカウトの質を高めることが、スカウト採用運用のポイントと言えるでしょう。
Q.オンラインと対面の使い分けはしましたか?
Sさん:志望度に応じてオンラインと対面を使い分けることもありました。
やはり志望度が高ければ、時間を割いてでも現地に足を運ぶようにしていましたね。
ただ志望度が低くてもオンラインイベントに参加し、興味喚起される場合もあります。
また対面では日時調整が難しい場合でも、オンラインであれば参加できるケースもあります。その点で言えば、オンライン・対面両方実施してくれていると、参加しやすいと感じました。
Yさん:私は対面のほうが性に合っていたため、基本は対面形式のイベントに参加していました。社風を知れたり人事担当者に顔を覚えてもらえたりなどの利点が得られるのは、対面だからこそだと思います。
オンラインに関してはSさんと同様に、そこまで志望度が高くない企業のイベントに参加する際に利用していました。ただ、オンラインは参加回数制限を設けていない場合が多いため、志望度の高い企業においては企業理解を深めるために複数回参加することもありました。
Mさん:私は都心から離れた場所に住んでいたため、ほぼ全てオンラインで完結しました。
カジュアル面談を設けてくれるなど、相互理解を深められる場を用意してくれる企業もあり、オンライン完結でも不安を感じることはなかったですね。
【ウマい人事編集部からのコメント】
22採用・23採用とは一転し、24採用は対面回帰が進んだと言われています。しかし蓋を開けると学生は特別対面を重視しているわけではなく、志望度やスケジュールに応じて使い分けているようでした。
ProFuture株式会社 HR総研が24卒学生に対して実施した調査によると、最終面接は対面回帰が進行するものの、まだまだ多くの学生がオンラインを活用している様子が伺えます。
3名の中にも、最終面接を除きオンラインだけで就職活動を完結した内定者がいました。
企業は「対面回帰」という言葉だけに反応し、単純に対面形式のイベントを増やすのは得策ではありません。「移動時間や交通費の負担を軽減できる」「志望度の低い企業でも参加しやすい」といった学生側のメリットも忘れず、オンラインと対面のバランスを意識する必要があるでしょう。
Q.インターンシップや説明会に参加したものの、エントリーに至らなかった企業はありましたか?
Mさん:私は一緒に働く人を重視していたため、人事担当者や社員の方々の雰囲気が自分に合わないと感じた企業はエントリーを見送っていました。
Yさん:私も社員の方々の雰囲気が自分とは違うと感じた企業は、エントリーを控えましたね。また説明会参加前に思い描いていたイメージと乖離があった時もエントリーしませんでした。
Sさん:Yさんと同様に、説明会に参加して自身の創り上げたイメージが崩れてしまった企業は、エントリーしませんでした。
【ウマい人事編集部からのコメント】
内定者からの回答通り、インターンシップや説明会に参加したとしても必ず本エントリーに繋がるとは限らないようです。その理由として「人事担当者や社員の雰囲気とのミスマッチ」「イメージとの乖離」が大きな要因となっています。
インターンシップや説明会から本エントリーに繋げるためには、企業自らイメージギャップが生じないよう積極的に情報発信に努めていく姿勢が大切です。
採用広報に注力できる企業は限られているかもしれませんが、「社員インタビューを掲載する」「ナビサイトには企業の雰囲気を掴める情報を掲示する」などの工夫をするだけでも改善を図れるでしょう。
Q.就職活動の中で好感度が上がった企業はありましたか?
Sさん:面接官の様子や態度は、そのまま企業イメージに反映されましたね。
真摯に話を聞こうと努めてくださっている様子が分かる面接では、会社そのもののイメージも上がりました。
Yさん:面接の時にアピールポイントを深堀してくださる企業は、「自分を知ろうとしてくれている」と感じ好感度が上がりました。
Mさん:スカウトを受け取った時も同様でしたが、面談や選考の場でも“私自身を見てくれている”と分かる企業は高感度が上がりましたね。
【ウマい人事編集部からのコメント】
3名の内定者の回答から高感度が上がった企業の共通点として「理解に努めようとした姿勢」が挙げられます。
Thinkings株式会社が実施した『就職活動中に接点があった企業の採用選考時の対応に関する意識調査』においても、3人に1人の学生が「対応が丁寧・親切だった」ことにより志望度が高まったと回答しています。
また企業に対し、「対等な扱い」を望む学生は、20%にも上ります。
引用:Thinkings株式会社『就職活動中に接点があった企業の採用選考時の対応に関する意識調査』
引用:Thinkings株式会社『就職活動中に接点があった企業の採用選考時の対応に関する意識調査』
今や新卒採用は、一方的に企業が学生を選ぶものではありません。
「企業と学生が互いに選び合う場」であることを理解し、1人ひとりの学生に興味を持ち相互理解に努める姿勢を示すことが大切であると言えるでしょう。
Q.反対に好感度が下がった企業はありましたか?
Sさん:レスポンスが遅い企業は、「企業として大丈夫なのかな?」と不安を感じましたね。2・3日経っても返信がない場合は、対応が遅いと思います。
また横柄な態度の面接官がいた企業では、面接官に対してだけではなく企業そのもの好感度が下がってしまいました。
Yさん:連絡手段が電話のみだった企業は、好感度が下がってしまいました。
リマインドもなかったため、前日に再度確認の電話をすることもあり、利便性や安心感の面で困ると感じましたね。
【ウマい人事編集部からのコメント】
内定者は、相手を軽んじる態度や適切な連絡が取れていない企業に対し、好感度が低下したようです。相手が学生だからと対応を軽んじてしまうと、次年度以降の採用活動に大きな影響を及ぼす懸念も十分考えられます。
少しでも心当たりのある企業は、すぐにでも改善に努めましょう。
また学生との連絡ツールが多様化する中、連絡手段が電話だけの企業も未だ残っているようです。
なお株式会社ネオキャリア実施した調査では、学生が就職活動時に利用したいコミュニケーションツールとして「LINE」が1位に選ばれました。
電話を希望する学生はほとんどおらず、ナビサイトのメール機能で連絡を希望する学生も年々減少傾向にあります。
引用:株式会社ネオキャリア『就職活動時のコミュニケーションツールに関する調査』
タイパを重視するZ世代を相手にする新卒採用では、連絡手段に電話やナビサイトのメール機能を活用するのは、利便性の低さから学生の関心が離れてしまう可能性もゼロではありません。
多くの企業から連絡を受け取る就活生にとって連絡を取りやすい連絡ツールの導入も検討していく必要があるでしょう。
Q.初期配属の確約は、本エントリーや内定承諾の際に重視しましたか?
Mさん:私は配属された場所でどうやって働くべきかを考えるだけだと思っていたため、配属先の確約はそこまで重視していませんでした。
Sさん:私はMさんとは反対に配属先の確約は重視していました。
配属先が分かるタイミングは、内定時や最終選考など様々ですが、早ければ早いほうが良いと感じていました。本エントリー時点で分かっていると応募もしやすかったです。
Yさん:私もSさん同様、入社後のギャップを低減という面も含め、入社前の初期配属確約は重視していました。
そのため初期配属の確約有無は、志望度にも影響した項目だったように思います。
友人の中には承諾企業を決める際に、初期配属の有無が決め手になっているケースもありましたね。
【ウマい人事編集部からのコメント】
株式会社リクルートが実施した『就職プロセス調査』における「就職先を決める前に配属先が確約されていた方がよいか」という質問では、「確約されている方がよい」「どちらかというと確約されている方がよい」と回答した学生は8割にも上りました。
今回の内定者からの回答と同様に、多くの学生が早い時期の配属先明示を希望しています。
配属確約は企業によって賛否両論があるものの、エントリー時点の確約を希望する学生は25.7%にも上ります。配属確約がない故にエントリーを見送る学生も少なくないと考えられるでしょう。
企業は必要に応じて「エントリー時点で配属を確約する」「できる限り学生の希望に寄り添った配属を実現する」などの取り組みも検討していきましょう。
Q.内定をもらった企業の数と内定獲得後の承諾タイミングを教えてください。また内定辞退を実施したケースはありましたか?
Sさん:私は2社内定を頂きました。
デイリー・インフォメーション関西は本命だったこともあり、すぐに内定承諾しました。
先に内定を頂いていた企業は、デイリー・インフォメーション関西の最終選考が終わるまで承諾を待ってもらっていました。
私自身、承諾後辞退はしませんでしたが、内定承諾したものの就職活動を継続する人はいましたね。保険を持ちつつ、より良い条件や本命に近い企業から内定を得たい気持ちが強かったのかもしれません。
Yさん:私の場合は、一番にデイリー・インフォメーション関西から内定を頂いたため、その時点で他の企業の選考は辞退し就職活動を終了しました。
自分も含めて周りの友人は、内定承諾をした上でさらに他の企業から内定をもらうことに抵抗があったため、内定承諾後も就職活動をする人はいなかったです。
Mさん:先輩に内定承諾後辞退した方がいました。
その方は「別にやりたいことが見つかった」と、入社式目前の2月に辞退をしていましたね。
【ウマい人事編集部からのコメント】
内定承諾後辞退は、違法ではありません。
そのため、様々な事情から内定承諾後に辞退する学生も少なからずいます。
現に内定者の知人にも内定承諾後辞退をした学生もおり、決して他人事ではない様子が伺えます。内定承諾後辞退を防止するためには、関係構築と不安の払しょくがポイントとなるでしょう。
また内定後すぐに承諾を得るためには学生の入社意欲を高めておくことが必須です。選考期間は学生を見定めるだけではなく、関係を深めていく期間であることも意識しながら学生とコンタクトを図るようにしましょう。
なお、内定承諾後辞退に関しては、下記記事でも詳しく取り上げています。
ぜひ参考にしてみてください。
参考:内定承諾後の辞退事例と辞退を防ぐ時期別フォローポイント
まとめ
今回は、特別企画として株式会社デイリー・インフォメーション関西の内定者を招き、就職活動の本音を語っていただきました。
内定者から就職活動時の本音を聞くことで、新しい観点や気付きが生まれることもあるでしょう。
今回の内定者による就職活動のリアルな本音が次年度の採用活動のヒントになれば幸いです。
コラムを書いたライター紹介
ウマい人事編集部
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