広報活動開始日に向けた24年度の採用活動のポイントとは?
2018年10月に経団連の就活ルール廃止が発表され、21年卒以降は政府が就活の在り方を主導することになりました。また21年に就活ルールの主導権が政府に移行して以降、24年卒までは経団連の定めた就活ルールが踏襲されることになりました。
現状は、3月1日に広報活動が解禁になるため、3月以降の新卒採用市場動向や採用競合の動きを気にする企業も多いかと思います。
そこで本記事では、広報活動開始日について解説すると共に採用スケジュールを加味した採用活動のポイントを紹介します。
広報活動開始日とは?
『広報活動開始日』は、卒業・修了年度に入る直前の3月1日を指します。
元々は政府の要請を受け、経団連が定めた就活ルールであり、16年卒以降から適応されていました。
政府に就活ルールの主導権が移行した21年卒以降も、24年卒までは下記の通りの就活ルールに則る旨が公表されています。
また25年卒に関しても、従来通りの就活ルールに則る可能性が高いと言えるでしょう。
なお、3月1日は、求人情報が公開され学生からのエントリー受付を開始する日です。
以降は採用活動が本格化し、学生も就職活動に向けてより意欲的に取り組むようになるでしょう。企業も会社説明会や選考に向け、準備を進めておきましょう。
ただし、広報活動開始日は採用活動に取り組む全企業が従うものではありません。経団連非加盟企業や一部の外資系企業などは、下記の通り広報活動開始日以前から広報活動や採用活動に取り組み、前年内に内定を出しているケースもあります。
3月時点の内定獲得率
株式会社リクルートの研究機関である就職みらい研究所が実施した『就職プロセス調査(2024年卒)』によると、2023年3月の内定獲得率は前年同月に比べ約10ポイント高い38.9%でした。
2022年から年々選考実施の時期が早まり、多くの学生が広報活動開始日時点で選考に臨んでいる様子が伺えます。
引用:株式会社リクルート 就職みらい研究所『就職プロセス調査(2024年卒)』
前述の通り、外資系をはじめとする一部の企業は、広報活動開始日以前から広報活動や採用活動を始めており、3月時点で内定を獲得している学生も少なくありません。
広報活動開始日以降から会社説明会・選考を開始する企業は、既に内定を持っている学生の割合など、採用市場の状況を把握した上で採用活動に取り組みましょう。
広報活動開始日後から選考を実施する企業の活動ポイント
ここでは、広報活動開始日後から選考を実施する企業が3月以降の採用活動で意識したいポイントを紹介します。
学生の就職活動状況をヒアリングしておく
広報活動開始日後から選考を実施する企業は、エントリー学生の就職活動状況の把握に努めましょう。既に内定を獲得している学生や、他社の最終選考を受けている学生も少なくありません。
エントリー学生の選考状況を把握しておけば、各プロセスの合格率の調整もしやすくなります。そのため思いの外、選考に残る学生が減ってしまったという事態も防げるでしょう。
秋・冬選考が必要なのか早めに見通しを立てておく
広報活動開始日後から選考を実施する場合、選考に費やせる期間が短くなります。もしスケジュール通りの採用活動で内定者数を担保できなかった場合、秋選考・冬選考を実施しなければならないケースもあるでしょう。
もし秋選考・冬選考を実施するのであれば、学生を取り逃してしまうことのないよう早めに採用スケジュールを練り直しましょう。
次年度の採用活動の準備も始めておく
夏のインターンシップを実施する企業や早めに母集団形成に取り組む企業は、翌年度の採用活動の準備も始めていかなければなりません。今年度の採用活動に注力するあまり、次年度に向けた活動準備が滞ってしまったという事態にならないよう、次年度に向けても計画的に採用活動を始めていきましょう。
広報活動開始日前から選考を実施している企業の活動ポイント
続いて、広報活動開始日前から選考を実施している企業が3月以降の採用活動で意識したいポイントを紹介します。
内定辞退防止に努める
早期選考を実施し既に内定出しをしている企業は、学生の関心や興味が後から内定を出す企業に移らないよう内定辞退防止に努めましょう。
せっかく早期採用で優秀な学生の獲得に取り組んだとしても最後に辞退が続いてしまっては、目標に掲げる内定者数を確保できなくなる懸念も考えられます。
自社の内定出し後も引き続き就職活動に取り組む学生に対しては、オワハラをしないことはもちろんこまめなコミュニケーションを心がけましょう。
後期採用の実施有無を検討する
早期選考を実施する企業にとって、3月以降は早期ルートの挽回を図るチャンスです。早期ルートの採用状況が芳しくない場合、後期採用の実施有無を検討しておきましょう。
その際、改めて選考プロセスやターゲットのすり合わせをしておきましょう。
後期採用に残っている母集団の質は、早期ルートと異なります。また3月を越えてから選考活動に本腰を入れる学生も多いため、学生のマインドが違うと感じる場合もあるでしょう。そのため早期ルートと同じように学生を判断してしまうと、選考基準にバラつきが生じる懸念も考えられます。
早期ルートで内定承諾にまで至った学生の質や人柄、さらには内定辞退しそうな内定者を洗い出し、早期選考の不足分を補填できるようしっかり準備を進めておきましょう。
まとめ
政府主導の就活ルールに倣い、企業も学生も3月1日の広報活動開始日を機に採用・就職活動がより活発化してくるでしょう。企業にとっては、学生や競合の活動状況を汲みながら採用活動の軌道を修正するタイミングでもあります。
また広報活動開始日を過ぎると、内定を出す企業がさらに増加します。改めて学生とのコミュニケーションを強化し、選考や内定まで導いてきた学生を入社まで確実に繋いでいきましょう。
コラムを書いたライター紹介
日向妃香
得意分野は新卒採用とダイレクトリクルーティング。
コメントはこちら