27卒・28卒の早期就活層へのアプローチ戦略と内定者フォローのポイント

近年の新卒採用市場では、学生の就職活動の早期化が急速に進んでいます。特に27卒・28卒では、大学3年生の春以前から動き始める学生も増えており、企業には従来以上に早い段階での接点形成が求められるようになりました。
また、学生はナビサイトだけでなく、スカウト媒体や口コミサイト、SNSなど複数チャネルを活用しながら企業研究を進めています。そのため、従来型の「待ちの採用」だけでは、十分な母集団形成が難しくなりつつあります。
加えて、早期選考で内定を出した後も就職活動を継続する学生は少なくありません。採用成果を高めるには、早期就活層へのアプローチだけでなく、内定後のフォローまで見据えた採用設計が重要です。
本記事では、27卒採用の動向を踏まえながら、27卒・28卒へのアプローチ戦略と、内定者フォローのポイントについて解説します。
27卒採用における新卒採用スケジュールの傾向
ここでは、27卒採用における新卒採用スケジュールの傾向について解説します。
就活開始時期の早期化が継続
27卒採用では、学生の就職活動開始時期がこれまで以上に前倒しになっています。
HR総研と就活会議株式会社が実施した「2027年卒学生の就職活動動向調査(2026年3月)」によると、文系・理系ともに「学部3年生4月」に就職活動を開始した学生が最も多く、文系23%、理系28%という結果になりました。特に理系に関しては、「学部3年生5月」開始が19%となっており、実質的に3年生の4〜5月の段階で、半数近く(47%)の学生がすでに何らかの活動をスタートさせています。
引用:HR総研・就活会議株式会社「2027年卒学生の就職活動動向調査(2026年3月)」
さらに、「学部1年生前期〜学部3年生4月」までに就職活動を始めた学生割合を合計すると、文系44%、理系41%と、約4割の学生が3年生に進級する前段階から就職活動を開始していることが分かりました。
前年の26卒調査では、同時期までに活動を始めていた学生は文系・理系ともに3割程度であったことから、採用早期化が一段と進んでいると言えるでしょう。
引用:HR総研・就活会議株式会社「2027年卒学生の就職活動動向調査(2026年3月)」
本結果より、学生は本選考前の情報収集を重視している様子がうかがえます。
そのため企業は、従来型の3月広報解禁後に動き始める体制では、優秀層との接点形成が遅れるリスクがあります。特に、早期化に拍車がかかる27卒・28卒では、大学3年生春以前からの認知形成がより重要になるでしょう。
就職活動のピーク時期
就職活動のピーク時期にも、大きな変化が見られています。
前年の26卒調査では、文系の就職活動のピーク時期が「大学3年生6月」、理系が「大学3年生4月」と専攻によって活動ピーク時期がズレていました。
しかし27卒では、文系・理系ともに「大学3年生4月」がピークとなり、 大学3年生4月スタートがもはや特別早いわけではなく、標準化しつつあることが分かります。
つまり、従来のスケジュール感覚のまま「夏のインターンシップ(6月募集開始・8月実施)」から学生との接点を持とうと考えている企業は、その時点で就活市場の標準から一歩出遅れることになってしまうでしょう。
特に近年は、インターンシップが学生との初期接点の場として重視されつつあります。中には、夏インターン参加者限定イベントや早期選考ルートを設ける企業も増えており、「大学3年生夏前」に学生との関係構築を始められるかどうかが、採用成果を左右するでしょう。
また、この時期の学生は、まだ特定の業界や職種を絞り込んでいないため、広い視野で情報を求めています。このタイミングでどれだけ多くの学生に自社の存在を認知させておけるかどうかも、その後の夏以降のインターンシップ選考、ひいては本選考の母集団形成の成否を分ける分岐点となるでしょう。
27卒・28卒の早期就活層へのアプローチ戦略
ここでは、27卒・28卒における早期就活層へのアプローチ戦略について解説します。
学生タイプに応じた段階的な採用施策
早期就活層と一言で言っても、その内実は一様ではありません。
そのため、企業は、学生タイプに適した採用施策を意識する必要があります。
■大手企業にエントリー予定の学生
大手企業にエントリー予定の学生は、早期から幅広く情報を集める傾向があります。しかし、最初から企業志望度が高いわけではなく、「どんな企業があるか」を比較・検討しているケースが大半です。そのため、初期接点では、企業や業界の理解を促進・支援する以下のような施策が有効です。
- 若手社員座談会
- 業界研究セミナー
- キャリア形成イベント
- 仕事理解ワークショップ
中小企業の場合、大手企業の選考が一段落する秋冬以降にアプローチを強化するのも一つの方法です。「大手の内定を持っているが、本当にその環境で自分らしく活躍できるのか?」といった個人の裁量権や成長スピードを軸にしたアプローチが効果的です。
■体育会系の部活に所属している学生
体育会系の部活に所属している学生は、大会などの関係で就活開始が遅れるケースがあります。この層に対しては、柔軟な面談日程の調整や部活動経験を活かせるキャリア提示が重要になるでしょう。特に秋冬以降に就職活動を本格化する層も多いため、長期視点で接点維持を行う必要があります。
また、平日夜間や土日に限定した「体育会学生向けの1日完結型選考会」を用意したり、OB・OG訪問をオンラインで柔軟にセッティングできる体制を整えたりするのも良いでしょう。
■公務員試験に挑戦する学生
公務員志望の学生は、大学3年生の秋冬から4年生の春にかけて試験勉強に時間を費やすため、民間企業の選考ルートからは一時的に外れることがあります。彼らに対しては、民間企業という選択肢を押し付けるのではなく、まずは「公務員試験の滑り止め・併願先」としての受け皿を提示するアプローチが賢明です。
また、試験後に民間へ切り替える学生や試験に落ちて秋口から本格的に就活を再開する優秀層を確実にキャッチできるよう、年間を通じて繋がりを維持し続ける情報発信やイベントの実施も有効です。
公務員志望の学生は、安定性や社会貢献性、働きやすさを重視する傾向があるため、情報提供・発信の際は以下に関連する情報を盛り込むと良いでしょう。
- 福利厚生
- 長期キャリア形成
- 社会的意義
- ワークライフバランス
- 地域貢献性
- 働きがい
採用チャネルの分散化
近年、学生はナビサイトだけでなく、スカウト媒体、口コミサイト、就職エージェント、SNSなど、複数チャネルを併用しながら就職活動を進めています。
従来は、大手ナビサイト中心の採用活動が主流でしたが、学生の利用チャネルが分散化したことにより、学生からのエントリーをただ待つという「待ちの採用」では、もはや求める学生の採用は難しくなりつつあります。
この背景にあるのは、Z世代特有の“情報最適化志向”です。膨大な企業情報の中から、自分に合う企業を効率よく探したいというニーズが強まっています。
HR総研の調査でも、27卒学生が活用しているサービスとして、「マイナビ」が依然高い利用率を維持する一方、「就活会議」や「ワンキャリア」といった口コミ・選考体験系サービスの存在感が高まっています。特に「リクナビ」は前年より利用率を大きく落としており、学生行動の変化が明確に表れています。
そのため、企業も単一チャネルの依存から脱却する必要があると言えるでしょう。
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引用:HR総研・就活会議株式会社「2027年卒学生の就職活動動向調査(2026年3月)」
また、口コミサイト対策も不可欠です。近年の学生は、エントリー前に口コミ確認を行うのが通例です。実際、SNSや口コミを通じた企業イメージ形成がエントリー率や承諾率に直結しています。
採用チャネルの分散化を図るのと同時に、自社の採用ブランドが学生にどう見えているかを管理することも不可欠です。
理系学生と文系学生の特性に合わせた選考プロセスの設計
新卒採用では、文系学生と理系学生で動向が異なる点にも注意が必要です。
理系学生は、研究活動や研究室推薦との兼ね合いから、比較的早期に進路を固める傾向があります。また、「どんな技術に関われるか」「どのような研究開発ができるか」といった実践的な業務理解を重視する学生が多い点が特徴です。
学生との接点を形成する場では、待遇面だけでなく技術環境や成長機会を具体的に示すことを意識しましょう。
なお、理系採用では以下のような施策が有効です。
- 技術系インターンシップ
- 研究内容に基づくスカウト
- 技術社員との面談
- キャリアパス提示
- 研究室訪問
一方、文系学生は、比較的幅広い業界を見ながら企業比較を進める傾向があります。そのため、夏インターンから複数回接点を持ち、徐々に志望度を高めていく設計が効果的です。また、文系学生は社風や人を重視する傾向があるため、社員接点の質の向上にも注力しましょう。
文系学生へのアプローチ施策としては、以下のような取り組みが考えられます。
- リクルーター制度
- 少人数座談会
- 長期インターン
- キャリア相談面談
- OB・OG訪問支援
採用市場の早期化が進む中では、「いつ接触するか」だけでなく、「どのように関係を構築するか」が採用成功を大きく左右します。ターゲット学生像を明確化し、専攻特性に合わせた採用設計を行うことがポイントです。
採用早期化が進む新卒採用で内定者フォローが重視される理由
どれほど優れた学生に内定を出すことができたとしても、入社までの期間に辞退されてしまえば、採用活動は完結しません。
そこで本章では、内定者フォローが重視される理由を解説します。
内定辞退と他社への流出を防ぐため
早期化が進む現在、内定を出した時点で採用成功とは言えません。
特に27卒・28卒では、学生が複数の内定を保有しながら就職活動を継続するケースが一般化しています。そのため、早期内定を出した企業ほど、内定後フォローの重要性が高まっています。
特に近年の学生は、納得感を重視する傾向が強まっています。たとえ第一志望群の企業から内定を得ても、「本当にこの会社でよいのか」と、比較・検討し続ける学生は少なくありません。
学生が最終的に納得して自社を選べるようにするには、以下のような取り組みが必要になります。
- 定期面談
- 懇親会
- 若手社員交流
- キャリア相談
- 内定者コミュニティ形成
加えて、内定後の他社への流出を防ぐには、接点頻度も重要です。
長期間放置されると、学生の心理は不安定になり、他社への関心が高まりやすくなります。人事担当者だけでなく、先輩社員や配属予定先の上司など、様々な社員との交流を通じて、自社への興味や入社意欲の維持に努めましょう。
入社前の不安(オファーブルー)を解消するため
内定期間が長期化すると、多くの学生が「オファーブルー」と呼ばれる不安状態に陥りやすくなります。
代表的例としては、以下のようなオファーブルーが挙げられます。
- 仕事についていけるか
- 社風に馴染めるか
- 人間関係は大丈夫か
- 本当にこの会社でよいのか
- 社会人生活に適応できるか
また、親や大学のキャリアセンターから「本当にその会社で大丈夫なのか?」といった、心配する声を受けることで、入社への不安が膨らみ、突然の辞退に繋がることも少なくありません。
入社前の不安を解消するためには、内定者の心に寄り添い、入社後の解像度を高めてあげることがポイントです。
具体的には、以下の施策が考えられます。
- 内定者研修
- 社員座談会
- 業務理解セミナー
- メンター制度
- オフィス見学
重要なのは、教育ではなく安心の形成を目的にすることです。
実際の働き方や失敗談、それをどう乗り越えたかというリアルなストーリーを共有することで、「ここなら自分もやっていけそうだ」という安心感と未来への期待感を醸成しましょう。
入社後のミスマッチと早期離職を防ぐため
早期のインターンシップやスピード選考を経て入社を決めた学生の中には、企業や業務に対する理解が浅いまま、勢いで内定を承諾している場合もあります。この状態のまま何のフォローもなく4月の入社式を迎えてしまうと、現場に配属された後に「こんなはずではなかった」「思っていた仕事と違う」というミスマッチを引き起こし早期離職に至る恐れがあります。
早期化する新卒採用では、内定辞退を防ぐことだけでなく、入社後の定着と活躍までを見据えたフォローが不可欠です。そのため、内定者フォローでは、会社のカルチャーや実際の業務内容への理解を深められるコンテンツを組み込みましょう。
例えば、次のような施策を通じて企業の良い面だけでなく大変な面や今直面している課題も共有し、期待値調整を行うことが大切です。
- リアルな仕事内容共有
- 現場社員交流
- キャリアパス説明
- 仕事の厳しさも含めた情報提供
- 配属先の情報提供
内定者フォローを成功させるポイント
ここでは、企業が内定者フォローの際に意識したい4つのポイントを解説します。
同期同士がつながれる機会を提供する
新卒学生にとって、同期の存在は大きな安心材料になります。特に早期内定者は、周囲に就活継続者が多いため、孤独感を抱きやすい傾向があります。その点、同期同士の強固なネットワークが形成されていると、「みんなと一緒にこの会社で頑張りたい」という心理が働き、内定辞退防止にも寄与します。
同期同士がつながれる機会としては、以下のような施策があります。
- 内定者懇親会
- グループワーク
- オンラインコミュニティ
- 内定者イベント
同期同士が交流できる場を設ける際は、学生同士が本音で趣味や就活の話を語り合えるようなカジュアルな空間をデザインすることが大切です。
様々な社員と交流できる場を設ける
内定者が抱く「どんな人と一緒に働くのか」「上司は怖い人ではないか」という不安を解消するには、採用担当者だけでなく、若手・中堅・管理職など、幅広い社員との接点を提供すると良いでしょう。また、内定後に多くの現場社員と接点を持てる機会の提供は、会社の魅力を多角的に伝える上でも有効です。
具体的には、以下のような場の提供が挙げられます。
- 若手社員座談会
- 現場社員交流
- 部署別説明会
- ランチ会
- キャリア相談会
特にZ世代は、人間関係重視の傾向が強まっており、社風理解が承諾意思決定に大きく影響します。可能な限り様々な職種やキャリアを持つ社員を巻き込み、「この会社には自分のロールモデルになる人がたくさんいる」「誰もが温かく自分を迎えてくれている」という安心感を与えることが大切です。
スムーズな運用と情報伝達が実現するツールを活用する
内定期間が長期化し、内定者の数が増えるほど、人事担当者の業務負荷は増大します。個別のメール対応や日程調整の遅れ、入社手続き書類の出し忘れといった人為的なミスや対応の遅れは、内定者に「この会社は管理体制がずさんなのではないか」という不信感を与える要因となります。
長期のフォローを確実かつスマートに完結させるためには、ツール活用による運用の効率化を検討しましょう。
特に、近年の学生は、タイパを重視する傾向が強く、煩雑な連絡体制は内定辞退を引き起こす原因になりかねません。情報を分かりやすく整理し、必要なタイミングで適切に伝えられる運用を意識しましょう。
内定者の不安解消に寄り添うサポート提供に努める
内定者フォローの際は、企業側の都合(強引な囲い込み)を押し付けることではなく、学生個人の不安やキャリアの迷いに寄り添う姿勢が求められます。
企業は採用成功と考えていても、学生側は不安や迷いを抱えています。だからこそ、一方的な情報提供だけでなく、定期的な1on1面談やメンター制度など、相談できる環境を作ることが重要です。形式的なフォローではなく、個々の不安に寄り添う姿勢が最終的な内定承諾率・定着率向上に繋がるでしょう。
まとめ
27卒・28卒採用では、学生の就職活動早期化がさらに進み、企業には従来以上に早い段階での接点形成が求められると考えられます。
また、早期内定を出した後も就職活動を継続する学生も増えており、採用成功には「内定を出すこと」だけでなく、「入社意思決定まで伴走すること」が重要になるでしょう。
内定者フォローでは、同期コミュニティ形成や社員交流、個別相談対応などを通じて、学生の不安解消と志望度醸成に注力することが不可欠です。
27卒・28卒採用では、早期化を恐れるのではなく、新たなエンゲージメント構築のチャンスとして捉え、自社の採用活動のブラッシュアップに取り組みましょう。
コラムを書いたライター紹介

日向妃香
得意分野は新卒採用とダイレクトリクルーティング。







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