第二新卒採用が注目される理由とは?新卒・中途との違いと企業メリットを解説

少子高齢化に伴い生産年齢人口が減少を続ける中、企業の若手人材獲得競争はかつてないほどに激化しています。特に新卒採用においては、大手企業への集中や学生の安定志向により、多くの中小・中堅企業が苦戦を強いられているのが現状です。
こうした背景もあり、新たな若手採用の柱として注目を集めているのが「第二新卒」です。新卒入社後3年以内に離職した層を指す第二新卒は、かつては早期離職者としてネガティブに捉えられることもありました。しかし、現在では、社会人基礎力とポテンシャルを備えた若手人材として、多くの企業が採用に積極的です。
本記事では、なぜ今、若手採用において第二新卒が必要視されているのか、その背景にある市場動向やキャリア観の変化を紹介します。さらに、新卒や一般的な中途採用との違い、第二新卒を採用することで得られるメリットなども解説します。
第二新卒が必要視されている背景
一昔前であれば、新卒採用の補填的な位置付けであった第二新卒ですが、今や積極的な採用対象へと変化しました。その背景には、単なる人手不足だけではない、構造的な要因が複雑に絡み合っています。
本章では、第二新卒が必要視される要因について、3つの観点から解説します。
市場動向が急変しているから
第二新卒が注目される要因の一つとして、マクロ的な労働市場の変化が挙げられます。2030年問題として各所で警鐘が鳴らされているように、生産年齢人口の急激な減少は企業の存続を揺るがす深刻な事態となっています。特に新卒採用市場は、限られた「学生」というパイを数多くの企業で奪い合う過度な売り手市場が常態化しており、新卒採用の難易度は年々上昇し続けています。
このように新卒採用だけで必要な若手人材を確保することが困難になった結果、企業は通年で優秀な若手人材にアプローチできる第二新卒市場を、新たな採用チャネルとして積極的に活用しています。
早期離職が常態化しているから
第二の要因は、若手の早期離職を企業がリスクではなく機会として捉え直したことにあります。
かつては早期離職を忍耐力不足とネガティブに捉える風潮がありました。しかし昨今、多くの企業は、他社が多額のコストをかけて基礎教育を施した若手人材を自社に最適なタイミングで迎え入れることができるチャンスと解釈しています。
また、転職市場全体が活性化し、20代の転職が一般化したことも企業が第二新卒市場へ参入する後押しとなっています。
若手のキャリア観が変化しているから
若手層の意識変化も第二新卒市場の拡大に影響を与えています。終身雇用制度が事実上崩壊した今、若手層の間では「合わない環境で時間を浪費するよりも、早く自分に合う場所を見つけ、市場価値を高めるべきだ」という考え方が主流になりつつあります。
彼らが重視しているのは、社内での出世よりも「どこでも通用するポータブルスキルの獲得」や「早期の成長実感」です。もし最初の会社で自分が望むスキルが身につかない、あるいは社風が合わないと感じた場合、彼らは「貴重な20代の時間を無駄にしたくない」と考え、迷わず次のステージへと動き出すでしょう。
また、この意識変化は企業にとってもメリットをもたらします。第二新卒は一度就業を経験し、自身の適性や価値観を見つめ直したうえで転職活動を行うケースが多く、新卒と比較して仕事に対する当事者意識が高い傾向にあります。「次はミスマッチを避けたい」という明確な意思を持って応募してくるため、自社への共感度が高ければ、主体的に業務へ取り組む姿勢が期待できるでしょう。組織の若返りや将来のリーダー候補の確保という戦略的な目的で第二新卒採用に注力する企業も増えており、多くの企業が第二新卒のポテンシャルに期待を寄せている様子がうかがえます。
第二新卒と新卒・一般的な中途採用との違い
第二新卒採用を検討する際、新卒や即戦力を求める中途採用との違いを理解しておく必要があります。本章では、第二新卒と新卒・中途採用との違いについて解説します。
また、新卒、第二新卒、中途採用(経験者)の主な違いを以下の表にまとめました。採用の目的に応じて、どの層をターゲットにすべきかの判断材料としてご活用ください。
新卒との比較
新卒採用は、先入観のない状態から自社の価値観や仕事の進め方を浸透させやすい点がメリットです。一方で、社会人としての基礎から体系的に育成する必要があるため、一定の教育コストと時間を要します。挨拶、名刺交換、電話応対といったビジネスマナーから、PCスキル、ビジネス文書の書き方まで、一人前に育てるまでには数ヶ月、場合によっては1年以上の期間を要することも珍しくありません。
対して、第二新卒は短期間とはいえ一度社会に出ており、挨拶、名刺交換、電話応対といった社会人に必須となる基礎的なマナーを前職で習得しています。企業にとっては、新卒よりも基礎研修に費やす期間を短縮でき、より実務に直結した知識や技術の習得にリソースを集中させることができます。
ポテンシャルという点では新卒と遜色なく、かつ教育コストを抑えつつ早期の戦力化が見込めるため、効率的な組織運営を目指す企業にとって魅力的な存在と言えるでしょう。
中途採用との比較
経験豊富な中途人材は即戦力としての活躍が期待できますが、自社の文化に馴染むまでに時間がかかったり、既存社員との摩擦が生じたりする懸念があります。また、市場価値が高いため、年収や紹介手数料といった採用コストも相場に応じて高水準になりやすい傾向があります。
一方で、第二新卒は前職での価値観や仕事の進め方が固定化されていないため、新しい環境にも柔軟に適応しやすい傾向があります。即戦力性は中途採用に劣るものの、自社のルールや考え方を素直に吸収してくれるため、中長期的に自社の中核を担う人材へと育てやすい点が魅力です。
また、給与水準も専門スキルを有する経験者と比較して一定程度抑えやすく、育成を前提とした中長期的な人材投資としても、費用対効果の高い採用が期待できます。
企業が第二新卒を採用する4つのメリット
本章では、企業が第二新卒を採用するメリットを4つ紹介します。
ビジネスマナー等の基礎教育コストを削減できる
第二新卒を採用するメリットは、社会人としての土台がすでにできており、基礎教育の負担を軽減できる点です。新卒採用の場合、入社直後から数ヶ月にわたり基礎的なビジネスマナー研修を行う必要があります。新人研修を実施する際、研修費用の支出だけでなく、指導にあたる既存社員の工数捻出も必要でしょう。
しかし、第二新卒は前職がどのような業界であれ、挨拶や報告・連絡・相談といった、社会人として身に付けておきたい基礎的なマナー教育を受けている場合がほとんどです。そのため、企業は入社直後から実務に必要な知識や技術の習得にリソースを集中させることができます。
教育コストを最小限に抑えつつ、早期に実務へアサインできる点は、リソースに限りのある企業にとって大きなメリットと言えます。
キャリア理解が進んでおり、ミスマッチを防ぎやすい
第二新卒は一度社会に出た経験から、仕事の厳しさや自分に合う環境・合わない環境を理解しています。そのため、企業選びにおいても自身の価値観や適性を踏まえた判断がしやすく、入社後のミスマッチが生じにくい傾向があります。
一度就職を経験しているからこそ、企業選びにおいても自身の適性や価値観を踏まえた判断がしやすくなります。「前職では〇〇が合わなかったため、次は△△な環境で働きたい」といったように、一定の軸を持って転職活動を行う傾向があります。仕事内容や社風を理解したうえで応募に至るケースが多く、入社後のミスマッチが生じにくい点も特徴です。
他社の文化を知る「新しい視点」を組織に導入できる
第二新卒は、キャリアが浅いとはいえ、他社の文化を経験している貴重な存在です。長年、自社のみでキャリアを積んできた社員ばかりの組織では、既存のやり方が当たり前になり、非効率な慣習が放置されがちです。
そこに他社での就業経験を持つ第二新卒の視点が入ることで、既存社員に新たな視点や気づきを与え、社内文化を改善するきっかけを生みます。経験が浅いからこそ、既存のやり方を否定するのではなく、もっと良くするための提案として素直に発信できるのも彼らの強みです。
柔軟性が高く、自社の社風に馴染みやすい
中途採用者はこれまでの経験や仕事の進め方を持っているため、自社のやり方に慣れるまでに一定の時間を要する場合があります。一方で、第二新卒は特定のやり方に強くとらわれていないケースが多く、新しい環境のルールや社風にも馴染みやすい傾向があります。
また、DX(デジタルトランスフォーメーション)の推進や新しいビジネスモデルへの転換など、会社が大きな変化を遂げようとする際にも、若さ特有の柔軟性を活かし、変革の推進力となる可能性を秘めています。
第二新卒採用で失敗しないための選考ポイント
第二新卒の採用は、企業にとって多くのメリットをもたらしますが、一方で「早期離職の再発」というリスクもはらんでいます。そのため、採用選考では、ポテンシャルを見極めつつ、自社に定着し、活躍できる人材なのかを見極める必要があります。
本章では、第二新卒採用で失敗しないための選考ポイントを3つ紹介します。
退職理由を前向きな応募理由に変換できているかチェックする
第二新卒の選考において、最も懸念されるのは「またすぐに辞めてしまわないか」という点です。早期離職を防ぐためには、前職の退職理由を深掘りすることが不可欠です。
単に「前職が辛かった」「上司と合わなかった」といった不満に終始している求職者は、自社に入社しても同様の理由で離職するリスクが高いと言わざるを得ません。重要なのは、その不満を他責にせず、自身で改善しようと試みた実績があるかどうかです。例えば、「業務改善の提案をしたが、組織の構造上難しかったため、より裁量のある環境で挑戦したい」といった具体的なエピソードを語れるかを確認しましょう。
また、その退職理由が「なぜ自社なら解消できるのか」という根拠が明確であるかという点にも注目しましょう。「前職で叶わなかったことが、自社の環境であればどのように実現できるのか」という点に一貫性があれば、応募意欲は本物であると言えます。
ポータブルスキルの習得度を評価の指標にする
第二新卒は実務経験が浅いため、特定の専門スキルよりもどの会社でも通用するポータブルスキルの習得度を評価の指標にしましょう。
特に、基礎的なビジネスマナーの習得が不十分な場合、新卒と同様の基礎教育が必要になるため、第二新卒を採用する本来の目的に反してしまいます。
また、経験が浅いことは問題ありませんが、不足している知識を自ら補おうとするキャッチアップ能力の高さは必須です。「前職では何を学び、それを自社でどう活かそうとしているか」を問うことで、成長の再現性を確認しましょう。
「前職で〇〇の知識が足りないと感じ、独学で△△の資格を勉強しました」といった具体的な行動が伴っている求職者は、入社後の早期の戦力化が期待できます。
自社独自の文化に対する適応性を見極める
自社の社風や価値観に馴染むかというカルチャーフィットへの適性も見極めたい項目です。入社時点のスキル不足は教育でカバーできますが、価値観の不一致を教育で変えることは困難です。
面接では、自社のバリュー(行動指針)や仕事の進め方、コミュニケーションのスタイルについて具体的に話し、求職者が共感し、違和感なく受け入れられるかを確認しましょう。例えば、スピード感を重視する会社であれば、慎重に物事を進めたい求職者とはミスマッチが生じる可能性があります。
また、第二新卒はキャリアが浅い分、柔軟性が高い点が特徴ですが、一方で前職での経験や仕事の進め方の影響を受けている場合もあります。そのため、前職でのやり方に固執せず、新しい環境のルールを素直に吸収し、自身をアップデートできる柔軟性を持ち合わせているかも求職者とのコミュニケーションを通じて見極めましょう。
まとめ
本記事では、若手採用において第二新卒がなぜ注目されているのか、その背景にある市場動向や新卒・中途との比較、採用メリット、そして選考におけるポイントについて解説しました。労働人口の減少という深刻な課題に直面する現代において、新卒のポテンシャルと中途の基礎力を兼ね備えた第二新卒は、企業にとって価値の高い人材層です。
彼らを単なる早期離職者としてではなく、前職での経験を糧に新たなステージで成長を遂げようとする意欲的な若手として捉え、適切なアプローチを行うことが採用成功の鍵となるでしょう。
本記事で紹介した観点や採用のポイントを参考に、自社の採用戦略に第二新卒という選択肢を新たに取り入れてみてはいかがでしょうか。
コラムを書いたライター紹介

日向妃香
得意分野は新卒採用とダイレクトリクルーティング。






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