Z世代・α世代の就活志向とは?価値観の違いと採用のポイントを解説

少子高齢化による生産年齢人口の減少が進む中、企業にとって若手人材の確保はますます難易度の高い課題となっています。とりわけ現在の採用市場の中心である「Z世代」に加え、今後はさらに新たな価値観とテクノロジー環境のもとで育った「α世代」の登場が見込まれ、採用の前提そのものが変化しつつあります。
両世代はデジタルネイティブという共通点を持ちながらも、成長過程で触れてきた社会環境やテクノロジーの違いにより、仕事選びやキャリアに対する意思決定の基準は大きく異なります。従来の「安定した大企業に入れば安泰」「終身雇用が当たり前」といった価値観は、もはや十分な訴求力を持たないケースも少なくありません。
こうした変化を踏まえ、人事担当者には各世代の志向性を表面的に捉えるのではなく、その背景にある構造まで理解した上で採用戦略を設計することが求められます。本記事では、Z世代とα世代の定義や時代背景を整理し、それぞれの就活に対する志向性の違いを解説します。
Z世代・α世代の特徴と時代背景
本章では、Z世代・α世代の特徴と価値観を形成した時代背景について解説します。
Z世代の特徴と時代背景
Z世代(Generation Z)とは、一般的に1990年代半ばから2010年頃までに生まれた世代を指します。
Z世代の特徴は、物心ついた時からインターネットやスマートフォン、SNSが当たり前に身の回りに存在する環境で育った、デジタルネイティブである点が挙げられます。また、Instagram、X(旧Twitter)、TikTokといったSNSの爆発的な普及と共に成長したため、情報の取捨選択能力や自分をどのように見せるかというセルフブランディングの意識が高いのも特徴です。こうした「情報の裏側を読む力」や「見せかけではない本質を重視する姿勢」は、企業選びの視点にも直結しています。SNSで企業のポジティブな面もネガティブな面も瞬時に可視化される環境にいるからこそ、単に条件面だけでなく、その企業が「社会に対して誠実であるか」「発信している情報に嘘がないか」という透明性を厳しくチェックする傾向があります。
また、Z世代は、東日本大震災やコロナ禍といった既存の社会システムが揺らぐような大規模な危機を多感な時期に経験した世代でもあり、将来に対する不確実性に対して敏感です。さらに、ダイバーシティ&インクルージョン(多様性の尊重)やSDGs(持続可能な開発目標)といった概念が教育課程や社会全体に浸透し始めた時期に育ったため、性別、国籍、障がいの有無、そして個人のライフスタイルに至るまで、多様な価値観を尊重し、認め合うことが前提となっています。
このような価値観を持ち合わせているZ世代は、「自分らしくいられるか」「自分の価値観と企業の姿勢が一致しているか」「その仕事に社会的な意味があるか」といった、心理的な充足感やパーパスを重視する傾向が強い世代と言えるでしょう。
α世代の特徴と時代背景
α世代(Generation Alpha)とはZ世代の次に続く世代であり、AIやデジタル技術が高度に普及した環境下で2010年以降から2020年代半ばまでに生まれた世代を指します。Z世代が「デジタルネイティブ」と呼ばれる世代であるならば、α世代は「AIネイティブ」「メタバースネイティブ」という、全く新しい次元のデジタル環境で育っています。
α世代にとって、AIは答えを教えてくれるパートナーであり、メタバース(仮想空間)やオンラインゲームは、物理的な距離を超えた日常的な遊び場と言えます。また、小学校でのプログラミング教育が必修化された環境で育っているため、テクノロジーを「使う側」だけでなく「作る側」としての視点も持ち合わせています。
時代背景としては、コロナ禍によるオンライン教育の急速な普及が特徴として挙げられます。α世代にとって、場所や時間に縛られずに学習し、成果を出すスタイルは当たり前のことであり、Z世代以上に効率性や合理性を求める志向が強まると予測されます。
さらに、AIアシスタントや動画配信サービスのアルゴリズムによって、自分に最適化された情報が常に提供される環境に慣れているため、パーソナライズされた体験や自分の好みに合わせた柔軟な選択肢を求める傾向も強くなると推察されます。
また、さらに、α世代の価値観はテクノロジー環境だけでなく家庭環境の影響も大きく、親の多くがミレニアル世代であることから、多様性や環境問題、ワークライフバランスを重視する教育を受けています。加えて、国境を越えたオンラインでの繋がりが日常であるため、多様性への受容度は非常に高く、既存の社会的な枠組みに囚われないフラットでグローバルな価値観を持ち合わせている点もα世代の特徴といえるでしょう。
Z世代の就活志向性
本章では、Z世代の就活志向性について3つの観点から解説します。
安定志向・現実主義
Z世代は、バブル崩壊後の「失われた30年」やリーマンショック、そして多感な学生時代に直面したコロナ禍という、予測不能で不安定な社会情勢を背景に育ってきました。そのため、他の世代よりも現実主義傾向にあり、将来に対する漠然とした不安から安定を求める傾向があります。
マイナビの2026年卒大学生就職意識調査でも、「安定している会社」が企業選択のポイントとして7年連続で最多かつ初めて5割を超える結果となりました。
ただし、Z世代が求める安定の意味は、従来の終身雇用や年功序列といった受動的な安定ではありません。彼らにとっての安定とは、社会が変化しても生き抜くことができる「自分の市場価値を高め続けられる環境」や「不測の事態が起きても生き残れるスキルが身につくこと」を指します。
そのため、就職活動でも福利厚生の充実やワークライフバランスの良さを重視しつつも、それ以上に「どのようなキャリアパスが用意されているか」「若いうちから裁量を持って働けるか」といった点を厳しくチェックします。
人事担当者は、単なる安定性を謳うのではなく、自社での経験がどのように応募者のキャリア形成に寄与するのかを、具体的なデータや事例を交えて語れるようにしておく必要があります。
タイムパフォーマンス重視の就活
「タイパ(タイムパフォーマンス)」という言葉に象徴されるように、Z世代はあらゆる活動において効率を重視します。
就職活動も例外ではなく、無駄な工程を避け、効率的な選考や明確なフィードバックを求める傾向があります。Z世代にとって、情報収集から応募、選考に至るまでのプロセスのスムーズさは、企業に対する信頼感や志望度に大きく影響します。
そのため、透明性の高いスピーディーな選考体験を設計できるかどうかが、優秀な学生を惹きつける重要な要素となります。無駄を省くだけでなく、接点となる場面では密度の高い対話を通じて、自社への理解と納得感を深めることが求められます。
価値観・パーパスを重視
Z世代は、教育課程や社会情勢を通じて、SDGsやダイバーシティ&インクルージョンといった概念に親しんできました。そのため、就職活動においても企業の社会貢献性や掲げているビジョンが自分の価値観と重なるかを企業選びの判断基準にするケースが見受けられます。これからの採用活動では、共感をベースにしたコミュニケーションはもちろん、Z世代が「この企業の一員として社会に貢献したい」と思えるような、パーパスに基づいたストーリーテリングがより求められるようになるでしょう。
人事担当者は、自社のパーパスが単なるスローガンに終わっていないか、実務レベルでどのように社会に貢献しているかを具体的なエピソードや数値を交えて語れる準備をしておく必要があります。
α世代の就活志向性予測
続いて、α世代の就活志向性について3つの観点から予測します。
メタバースやオンライン空間を前提とする
α世代は、生まれた時からAIアシスタントや動画配信サービスが身近にあり、プログラミング教育が必修化された環境で育っています。彼らはAIを「使いこなす」というよりも、AIが当たり前に存在する「AIネイティブ」であり、かつメタバース(仮想空間)を通じて遊びや学び、交流が行われる「メタバースネイティブ」でもあります。
就職活動でもデジタルツールを使わない非効率な選考に対して、違和感や抵抗感を抱く可能性があります。例えば、手書きの履歴書を求める、何度も足を運ばせる対面面接を実施する、電話やFAXを多用するなどが挙げられます。
α世代が求めるのは、最新の技術環境が整い、AIを駆使して創造的な仕事に集中できる環境です。人事担当者には、これまでの世代以上にデジタル技術を活用した効率的な選考体験を提供することが求められるようになるでしょう。
また、メタバースを活用したインターンシップや会社説明会など、彼らの日常的なコミュニケーション空間に合わせたアプローチも今後のスタンダードな採用戦略となると考えられます。
多様性を当たり前に受容する
α世代は、他の世代と比較して、幼少期から多様なバックグラウンドを持つ人々とオンラインを通じて接する機会が多いため、LGBTQ+や国籍、障害の有無といった違いを特別視せず、フラットに捉える価値観を持っています。
企業選びにおいても、単に「女性活躍」や「外国籍社員の採用」を謳うだけでなく、実際に多様な価値観が尊重され、誰もが能力を発揮できる環境が整っているかを重視して見極めると考えられます。人事担当者は、自社の組織文化が真にインクルーシブであるか、異なる意見や背景を持つ人々が共生し、イノベーションを生み出せる土壌があるかを具体的な実績や社員の多様なキャリアパスを通じて示す必要があるでしょう。
リアルな体験に価値を見出す
日常の多くがデジタルで完結する環境で育ったα世代ですが、、一方で、「身体性を伴うリアルな体験」や「対面での深いコミュニケーション」に独自の高い価値を見出す可能性があります。デジタル上での交流が当たり前だからこそ、対面でのコミュニケーションや現地での体験といったリアルな接点に、相対的な価値が見出されると考えられます。
就職活動でも、オンライン説明会やAI面接で効率化を図る一方で、最終的な決断を下す場面では「実際にオフィスに行き、雰囲気を体感したい」「信頼できる相手と直接会って話したい」といった対面を好む傾向が強まると予想されます。
単にすべてをオンライン化するのではなく、どのフェーズでリアルな体験を提供するのかという戦略的なデザインがα世代の心を掴むためのポイントとなります。特に、対面での接点をいかに付加価値の高い特別な体験に昇華させるかが問われるでしょう。
次世代採用に向けて人事担当者が取り組むべき戦略
ここでは、Z世代やα世代の採用を成功させる上で人事担当者が取り組むべき3つの戦略について解説します。
透明性の高い情報開示
Z世代以降の就活生は、企業のリアルな姿を知ろうとする傾向があります。そのため、良い面だけでなく、課題や現場の厳しさ、社内の雰囲気などを飾らずに伝えることが信頼獲得への第一歩となります。具体的には、採用サイトやSNSを通じて、実際に働いている社員のインタビューを発信したり、残業時間や離職率、有給取得率といった開示を敬遠されがちなデータも積極的に公開しましょう。また、社員が実際に経験した失敗や、それをどう乗り越えたかといったエピソードも、彼らにとってはリアリティを感じさせる貴重な情報となります。
透明性の高い情報開示は、入社後のミスマッチを防ぐだけでなく、企業の誠実さをアピールすることにも繋がります。
キャリアの「カスタマイズ性」の提供
Z世代やα世代は、自分の強みや興味関心に応じて学び方や働き方を選びたいという、パーソナライズ志向が他の世代と比べて強い傾向があります。。そのため、一律の研修や年功序列のキャリアパスに対して、抵抗感や不安を抱くことがあります。画一的な育成プランでは、彼らの多様なニーズに応えることはできず、早期離職のリスクを高めるでしょう。
Z世代やα世代の定着を促すには、「個別のスキルセットに合わせた育成プラン」や「ジョブ型採用の導入」など、キャリアのカスタマイズ性を提示することが必須です。
例えば、希望する部署への配属や社内公募制度、副業の容認、スキルの習得に合わせた柔軟な昇進・昇格など、個人のキャリア観を尊重した支援制度を整えましょう。また、定期的な1on1ミーティングを通じて、本人のキャリアビジョンと業務の接点を常に確認し、伴走する姿勢を見せることも重要です。「この会社にいれば、自分のなりたい姿に近づける」という実感を持たせることが、優秀な若手人材の定着と活躍に直結します。
パーパス経営の具現化
Z世代やα世代の採用を成功させる上で、パーパス経営は必須の戦略といえるでしょう。パーパス経営とは、企業が何のために存在するのかという根源的な意義を軸に据えた経営を指します。彼らにとって、自分の仕事が社会を良くしているという実感は、働くことへのモチベーションを高める要素であり、企業選びにおいても重要な基準の一つです。
人事担当者は、自社の存在意義を単に言葉として伝えるだけでなく、具体的な事業活動や社会貢献の実績、そして社員一人ひとりの仕事がどのようにパーパスに繋がっているのかを説得力を持って語れるようにしておく必要があります。
例えば、「利益よりも企業の理念を優先して断った案件」や「社会課題解決のために始まった新規プロジェクト」などが例として挙げられます。また、社会的な使命を軸にした評価制度の構築や社員が自社のパーパスについて語り合う場を設けることも有効です。
「この会社で働くことは、より良い社会を創ることである」という確信を提供することで、次世代から大きな支持を得られるようになります。
まとめ
本記事では、次世代の採用市場を担うZ世代と、その後に続くα世代の就活志向性について、それぞれの定義や背景、将来予測を交えながら解説しました。デジタルネイティブとしての共通点を持ちつつも、Z世代とα世代では、それぞれ独自の特性を持ちます。
デジタルツールを通じて「効率的かつ自分らしさ」を追求するZ世代に対し、α世代は幼少期からのメタバース体験やAIとの共生により、「物理的な制約に縛られず、自由な発想でスピーディーに最適解を見つけ出すスタイル」を好む傾向が強まると予測されます。
人事担当者には、各世代の志向性の違いを正しく理解し、それに基づいた採用戦略を構築することが求められます。採用競争を勝ち抜くためにも、これまでの企業が選ぶという古い価値観を捨て、若手人材の価値観に寄り添い、共に成長するパートナーとしての姿勢を示すことが必須になるでしょう。
本記事でご紹介した視点や対策を参考に、ぜひ自社の若手採用における戦略や取り組みをアップデートしてみてください。
コラムを書いたライター紹介

日向妃香
得意分野は新卒採用とダイレクトリクルーティング。





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