平均採用単価の相場は?職種別の目安とコスト削減方法を解説


企業の採用活動において、採用単価は重要な経営指標の一つです。人材獲得競争が激化する中で、採用にかかるコストは年々上昇する傾向にあり、多くの企業が「採用費用をどのように最適化するか」という課題に直面しています。
特に中途採用では、求人広告、人材紹介、採用ツール、採用担当者の人件費など、さまざまなコストが発生するため、適切な管理が求められます。一方で、採用単価を単純に削減するだけでは、優秀な人材の確保が難しくなる可能性もあります。

そこで本記事では、中途採用の平均採用単価のデータを紹介するとともに、職種別の求人広告費の傾向や採用単価を抑えるための方法について解説します。

中途採用の平均採用単価

企業の採用コストを適切に管理する上で、参考になるのが平均採用単価です。平均値を知ることで、自社の採用費用が適正なのか、あるいは見直しの余地があるのかを判断する目安になるでしょう。

株式会社マイナビが公表した「中途採用状況調査2025年版(2024年実績)」によると、2024年の中途採用人数は1社あたり平均20.8人でした。また、中途採用にかかった費用合計の平均は650.6万円でした。

引用:株式会社マイナビ「中途採用状況調査2025年版(2024年実績)」

同調査の一人あたりの平均採用単価は、以下の通り算出できます。

650.6万円 ÷ 20.8人 = 約31.3万円

中途採用の平均採用単価は約31.3万円という推察結果になりますが、この数値は企業規模や業種、採用手法によって大きく変動します。特に、人材紹介を多く利用する企業の場合、年収の30〜35%程度の紹介手数料が発生するため、採用単価が大きく上昇するケースもあります。

参考までに、株式会社マイナビが公表した「マイナビ2024年卒企業新卒内定状況調査」によると、新卒採用における一人当たりの平均採用コストは56.8万円でした。新卒採用は説明会やインターンシップなどのイベント費用が発生するため、中途採用よりも平均コストが高い傾向にあります。

採用単価は単なるコスト指標ではなく、採用活動の効率性を測る重要な指標でもあります。そのため、定期的に数値を把握し、改善の余地がないかを検討することが重要です。

参考:株式会社マイナビ「マイナビ2024年卒企業新卒内定状況調査」

職種ごとの採用者一人あたりの求人広告費

職種によって人材の希少性や採用難易度が異なるため、必要な広告費も大きく変動します。そのため、採用単価を分析する際は、職種ごとの採用平均額を理解しておく必要もあります。

株式会社マイナビが実施した「中途採用状況調査2024年版(2023年実績)」によると、職種別の採用者一人あたりの求人広告費は、以下の通りです。
データを見ると、「公共サービス」が52.6万円と突出しているものの、その他の職種はいずれも概ね20~30万円代で推移しています。

引用:株式会社マイナビ「中途採用状況調査2024年版(2023年実績)」

ただし、コロナの影響を受けた2020年には、美容・ブライダル・ホテル・交通が94.6万円と一人当たりの採用費用が増大しており、時期や社会情勢によっても採用コストが大きく変動することがわかります。

そのため、自社の採用戦略を検討する際には業界や職種の最新の相場観を理解しておくことが大切です。

【媒体別】広告費が高くなりやすい職種

本章では、転職サイトと紙媒体広告それぞれの媒体において広告費がかかる職種を紹介します。

転職サイト

転職サイトは中途採用において最も利用される採用手法の一つです。幅広い求職者にアプローチできるため、多くの企業が活用しています。

株式会社マイナビが実施した「中途採用状況調査 2025年版(2024年実績)」によると、転職サイトの求人広告費をかけた職種として最も多かったのは営業職(50.3%)でした。次いで、管理・事務職(43.6%)が続いています。
また、IT業界に絞ればITエンジニアが65.4%、医療・福祉・介護業界では医療・福祉職が79.5%と、それぞれの業界の主軸となる職種にWeb広告費が集中しています。

引用:株式会社マイナビ「中途採用状況調査 2025年版(2024年実績)」

これらの職種で転職サイトの広告費が高くなる理由として、いくつかの要因が考えられます。

  1. 求人数が多く採用競争が激しいから
    営業職は多くの企業が採用を行う職種であり、採用競争が激化しやすく、結果として広告費が高くなることがあります。転職サイトでは掲載順位や特集枠によって応募数が変わるため、企業はより多くの応募を獲得するために広告費をかけるケースもあります。
  2. 即戦力人材の獲得競争が激化しているため
    ITエンジニアや専門職は即戦力人材が求められるため、求人広告の露出を増やして優秀な人材にアプローチする必要があります。その結果、広告費が増大する場合も少なくありません。

転職サイトは採用活動の中心的な手法ですが、広告費が増えすぎると採用単価の上昇につながるため、費用対効果を意識した運用が重要です。

紙媒体広告

紙媒体の求人広告は、インターネットの普及によって利用割合は減少していますが、特定の職種や地域では依然として有効な採用手法です。特に地域密着型の採用やデジタル媒体をあまり利用しない層へのアプローチに適しています。

株式会社マイナビの同調査によると、紙媒体広告の費用をかけた職種として最も多かったのは営業職(41.4%)でした。次いで管理・事務職(39.5%)が続きます。また、流通・小売・フードサービス業界では販売・フード・アミューズメント職、医療・福祉・介護業界では医療・福祉職が営業職と同等以上の高い割合を占めています。

(画像挿入)

引用:株式会社マイナビ「中途採用状況調査 2025年版(2024年実績)」

紙媒体で広告費が高くなる理由には、以下のような要因があると考えられます。

  1. まとまった広告費用が発生することがあるから
    折り込み求人誌やフリーペーパーは地域住民が手に取る機会が多いため、店舗スタッフや販売職など、地域で働きたい人材をターゲットにする場合に有効です。ただし、複数の地域単位で長期的なアプローチをする場合、まとまった広告費用が発生することがあります。
  2. ネットのように情報が残りづらく予算を投下し続ける必要があるから
    すべての求職者が転職サイトを利用しているわけではありません。特にシニア層やパートタイム希望者などは紙媒体を利用するケースも多いため、一定の需要があります。
    このように、オンラインだけではカバーしきれない層に対して「補完的」に、あるいは「地域特化」で予算を投下し続ける場合、一部の職種において紙媒体の広告費が増大する要因となり得ます。

このように紙媒体はデジタル媒体とは異なる役割を持っており、採用ターゲットに応じて使い分けることが重要です。

中途の採用単価を最適化する方法

採用単価を最適化するためには、単純に採用費用を削減するのではなく、採用プロセス全体を見直すことが重要です。ここでは、採用単価を抑えるための方法を紹介します。

採用単価の低い手法を活用する

採用単価を抑えるためには、コスト構造を理解したうえで採用手法を選ぶことが重要です。採用手法には、大きく分けて「外部サービスを利用する方法」と「社内リソースを活用する方法」があります。

外部サービスの代表例としては、以下のようなものが挙げられます。

  • 人材紹介
  • 求人広告
  • 採用代行

各サービスは即効性がある一方で、紹介手数料や広告費などのコストが発生するため、採用単価が高くなりやすい特徴があります。

一方、内部リソースを活用した採用手法には、以下のような方法があります。

  • SNS採用
  • 自社採用サイト
  • リファラル採用(社員紹介)

これらの手法は広告費や紹介手数料が発生しにくいため、採用単価を低く抑えることができます。

また、スカウトを活用した個別最適化されたアプローチも採用単価を低減する上では有効です。Web求人サイトのスカウト機能を利用する際、求職者の経歴やポートフォリオを読み込み、「なぜ、あなたなのか」という文脈を盛り込んだ「その人だけに向けたオファー」を送ることで、返信率は向上します。返信率が高まれば、スカウト1通あたりの採用効率が最大化され、結果として採用単価の抑制につながります。

母集団形成のために外部サービスを完全に断つことは現実的ではありませんが、複数の内部リソースを活用した採用手法を組み合わせることで、採用単価を抑えながら安定した採用を実現できます。

採用ブランディングを強化する

採用ブランディングを強化することで、企業の認知度や魅力度が高まれば、広告費に大きく依存しない採用活動を実現しやすくなります。
採用ブランディングとは、求職者に対して「この会社で働きたい」と思ってもらうための取り組みであり、ブランド力の高い企業は、次のようなメリットがあります。

  • 継続的に応募が集まりやすくなる
  • エージェント依存が減る
  • 採用コストを抑えやすくなる

具体的な施策としては、オウンドメディアの活用が挙げられます。ブログやインタビュー記事を通じて潜在層へ継続的にアプローチし、「いつか働いてみたいリスト」に自社を入れてもらうことが、将来的な採用コストの削減につながるでしょう。

また、SNS採用(ソーシャルリクルーティング)の活用も有効です。社員の日常やプロジェクトの裏側をSNSで発信することで、企業の魅力を伝えることができます。SNS経由での応募は、広告費が発生しないだけでなく、候補者がすでに自社のファンであるケースが多いため、高い選考通過率と内定承諾率を維持できる可能性が期待できます。

採用ブランディングは短期間で成果が出るものではありませんが、継続的に取り組むことで採用コストの削減につながります。

採用工程における歩留まりの改善に努める

採用単価を見直す際は、選考プロセスの歩留まりにも着目しましょう。応募者が多くても選考途中で辞退が増えてしまうと、結果的に採用単価は上昇します。

具体的には、次のような課題が例として挙げられます。

  • 一次面接後の辞退率が高い
  • 内定承諾率が低い
  • 選考期間が長く他社に流れる

例えば、選考リードタイムを短縮することで他社流出を防止できるでしょう。また、一次面接後の辞退率が高いのであれば、面接官が魅力を伝えきれていない、あるいは面接官の態度に問題がある可能性があります。こうしたボトルネックを特定し、面接官向けのトレーニングや面接で配布する会社説明資料の改善、カジュアル面談の導入などを行うことで、歩留まりが改善され、同じ応募数でも最終的な採用人数を増やすことができ、採用単価を抑えられます。

まとめ

採用単価は、企業の採用活動の効率性を示す重要な指標です。株式会社マイナビの調査から算出すると、中途採用の平均採用単価は約31.3万円(2024年実績)と推察されていますが、採用手法や職種によって大きく変動します。特にITエンジニアなど、人材不足が懸念される専門職の場合、求人広告費が高くなる傾向があります。

採用単価を最適化するには、コスト削減だけではなく、採用手法や選考プロセスを総合的に見直すことが重要です。リファラル採用やSNS採用などコストの低い手法を活用しながら、採用ブランディングや選考プロセスの改善に取り組むことで、採用単価の改善を図ることができるでしょう。

採用競争が激化する時代においては、単に予算を増やすだけでは優秀な人材を確保することはできません。データをもとに採用コストを分析し、費用対効果の高い施策に投資することが持続可能な採用につながります。ぜひ、本記事で紹介した平均値や手法を参考に、自社の組織特性に合わせた最適な採用の在り方を模索してみてください。

 

コラムを書いたライター紹介

日向妃香

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採用系コンサルタントとして企業の採用サポート・採用戦略構築・採用ノウハウの提供を行いながらライターとしても活動中。
得意分野は新卒採用とダイレクトリクルーティング。

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