採用クチコミサイトは放置厳禁!採用成果を左右する口コミ対策の重要性


企業の採用活動を取り巻く環境は、ここ数年で大きく変化しています。
少子化による人材獲得競争の激化に加え、インターネット上で企業情報を簡単に調べられるようになったことで、求職者の情報収集の在り方も大きく変わりました。特に、「採用クチコミサイト」の影響力は年々増大しており、現在では就活生や求職者にとって不可欠な情報元となっています。

このような状況の中で、クチコミサイトを放置してしまうことは、企業にとって大きなリスクを抱えることになります。知らないうちに企業ブランドが毀損され、優秀な人材の応募機会を逃している可能性もあります。
そこで本記事では、採用活動におけるクチコミサイトの重要性や企業が取るべき具体的な対応策などについて解説します。

企業の採用活動においてクチコミサイトの重要性が増している理由

ここでは、採用活動におけるクチコミサイトの影響力がなぜここまで高まっているのか、その理由を解説します。

クチコミサイトを活用した企業情報の収集が一般的になっているから

近年の就職活動では、企業の公式情報だけではなく、第三者による評価を確認することが主流になっています。
株式会社電通パブリックリレーションズが実施した「採用版・魅力度ブランディングモデル」にもとづく調査によると、内定者の約4割(39.5%)が「インターネット上のクチコミや評判」を参考にしていることがわかりました。

引用:企業広報戦略研究所(電通PR内)調査

この結果からもわかるように、企業が公式に発信する情報と並び、インターネット上のクチコミが、学生の企業選びにおける重要な判断材料になっている様子がうかがえます。

さらに、メディアに限定して最も参考にした情報源を自由回答で挙げてもらうと、ニュースサイトやSNSといった主要メディアを抑え、転職・就活専用のクチコミサイトが信頼される情報源として選ばれています。

引用:企業広報戦略研究所(電通PR内)調査

このように情報環境が多様化したことで、学生は企業が発信する情報だけでは実態を把握しきれないと考え、「実際の働き方」や「職場の雰囲気」を知るために、クチコミサイトなどを含む複数の情報源を組み合わせて企業を評価していることがわかります。

クチコミサイトは在籍していた従業員や選考を受けた学生からの評価が可視化される場所であり、採用活動において無視できない存在となりつつあります。

親世代も子どもの就職先の評判をクチコミサイトで確認しているから

近年の就職活動は、学生本人だけでなく親世代の関与も強まっています。

ダイヤモンド社が実施した「お子さんの就職に関するアンケート」によると、親の8割が子どもの「就職先が気になる」と回答しています。

引用:ダイヤモンド社「お子さんの就職に関するアンケート」

特に初めて社会に出る新卒の場合、企業の安定性や労働環境について親が調べることも珍しくありません。昨今では、「オヤカク(親確)」という言葉が登場するほど、親が子どもの就職先に対して強い関心を持つ傾向が強まっています。

オヤカクとは、企業が学生の内定承諾を確認する際、親の意向も確認することを指します。保護者が子どもの内定承諾の可否を判断する際、近年は企業の知名度や規模、業界の安定性よりもクチコミサイトを通じて、以下のような情報を確認することがあります。

  • 長時間労働が常態化していないか
  • 離職率が高くないか
  • 職場の人間関係は良好か
  • 成長できる環境があるか

こうした情報は企業の採用サイトではあまり語られないため、クチコミサイトに投稿された情報が重要な判断材料になります。仮に企業の公式情報が魅力的であってもクチコミサイトでネガティブな評価が多い場合、親の反対によって内定辞退に至ることもあるでしょう。

このように、クチコミサイトは求職者や就活生本人だけにとどまらず、家族の意思決定にも影響を与えています。企業の採用活動を成功させるには、家族も意識したクチコミ対策が求められていることを理解しておきましょう。

クチコミサイトの評価が応募率に直接的な影響を与えるから

クチコミサイトの影響力は、応募行動にも大きく影響します。オープンワーク株式会社が実施した調査によると、社員クチコミによる評価スコアが向上するにつれて、求人への応募率が相関して高まることが明らかになりました。

(画像挿入)

引用:オープンワーク株式会社

具体的には、クチコミサイトの評価スコアが4点台の企業は、2点台の企業と比較して約2.2倍の応募率でした。本結果は、求職者が企業を比較・検討する際に、クチコミ評価を重要な判断材料としていることを示しているといえます。

もし求職サイトの評価が低い場合、求人内容に魅力があっても応募を見送られる可能性があるでしょう。一方で、クチコミ評価が高い企業は、広告費を大きくかけなくても自然と応募が集まりやすくなると考えられます。

このように、クチコミサイトの評価は単なる評判ではなく、採用成果に直結する指標の一つになっています。採用活動を成功させるためには、クチコミサイトを含めた採用ブランドの管理が不可欠です。

クチコミサイトの放置で生じるリスク

クチコミサイトの影響力が高まる昨今において、企業が何も対策を取らずに放置してしまうことには大きなリスクが伴います。特に採用活動では、見えないところで機会損失が発生している懸念もあります。
ここでは、クチコミサイトを放置することで生じる代表的なリスクについて解説します。

採用ブランドが知らないうちに毀損されてしまう

クチコミサイトを放置するリスクの一つとして、採用ブランドが知らないうちに毀損されてしまうことが挙げられます。企業の評判は、企業が発信する情報だけではなく、第三者の評価によって形成されます。特にネガティブなクチコミは拡散されやすく、求職者の印象に強く残る傾向があります。

そのため、「長時間労働が常態化している」「上司のマネジメントに問題がある」「評価制度が不透明である」といったクチコミが繰り返し投稿されている場合、求職者の応募意欲は大きく低下するでしょう。結果として、本来なら自社に興味を持ってくれたはずの優秀な人材が他社へ流れてしまう事態が常態化する恐れもあります。また、「最終面接までは進んだものの、クチコミを見て辞退された」といった事態を招く懸念もあります。
このように、クチコミサイトを放置することは、採用競争力を見えないところで低下させる要因になり得ます。

情報の陳腐化による誤解の発生

クチコミサイトに投稿されている古いネガティブ情報は、そのまま残り続けることが多いため、当時から状況が改善されたとしても誤解が残り続ける可能性があります。

例えば、現在では働き方改革が進み、残業が大幅に減り、評価制度が刷新されていたとしても、数年前の「激務で心身を壊した」というクチコミが検索結果のトップにあれば、求職者はそれが現在の社風であると思い込んでしまうでしょう。
その結果、実際には状況が改善されているにもかかわらず、「古い体質の会社」というイメージを、求職者や就活生に持たれてしまうことがあります。

このようにクチコミサイトには、新しい情報に更新され続けるのではなく、過去の情報も残り続けます。だからこそ、企業側もクチコミの内容を把握したうえで、現状とのギャップがある場合には、採用広報や情報発信を通じて正しく伝えていくことが重要です。

口コミサイトへの対応で人事が取り組むべきこと

クチコミサイトの投稿は、企業がコントロールできるものではありません。しかし、適切に向き合い、正しく情報を発信することで、採用活動への影響を最小限に抑えることができます。
ここでは、人事担当者が取り組むべきクチコミサイトの対応策を紹介します。

【Step1】自社の現状把握

まずは、自社がインターネット上でどのように評価されているのか、現状の把握に努めましょう。
主要なクチコミサイトである「OpenWork(オープンワーク)」「Lighthouse(ライトハウス)」「転職会議」「就活会議」などをチェックし、投稿内容を客観的に分析します。
クチコミを確認する際は、以下のような視点から内容を分析してみましょう。

  • 投稿の鮮度:最新の投稿はいつか。数年前の情報ばかりになっていないか。
  • 職種・年次による違い:営業職は満足度が高い一方でエンジニア職の不満が多いなど、特定の職種や年次に偏りはないか。
  • 共通するキーワード:複数の投稿で繰り返し言及されている内容はないか。
  • ポジティブ・ネガティブの傾向:どの点が評価され、どの点が不満の要因になっているか。

クチコミは、自社の体制や制度を改善するためのヒントが含まれている場合があります。そのため、単にスコアを見るだけでなく、客観的なデータとして整理することが大切です。

【Step2】ネガティブなクチコミの分析と課題の特定

現状を把握した後は、ネガティブなクチコミを分析し、課題を特定しましょう。
特に、複数の社員から同様の指摘を受けている項目は、組織の構造や制度に課題があると考えられます。
例えば「若手の成長機会がない」という声が多ければ、研修制度や配置転換の仕組みを見直すきっかけになるでしょう。また、「評価基準が不明確」という指摘があれば、評価者訓練やフィードバックの徹底が必要だというサインである可能性があります。

クチコミを組織改善の材料として活用できれば、採用だけでなく企業全体の成長にも繋がります。クチコミサイトで指摘された課題を一つずつ改善し、それを実績として社外に発信できるようになれば、ポジティブなクチコミも増えてくるでしょう。

【Step3】透明性の高い情報の発信

多くのクチコミサイトには、企業が公式にコメントを投稿できる機能があります。この機能を活用することで、事実と異なる情報を訂正したり、改善に向けた取り組みを伝えたりすることが可能になります。ただし、ネガティブな情報を隠そうとしない姿勢を意識することが大切です。

例えば、事実と異なる情報が書かれている場合には、感情的にならずに冷静に事実(制度の変更点など)を伝えましょう。また、事実としての不備(かつて残業が多かった等)を指摘された場合は、「ご指摘の通り、〇〇年前までは課題がありました。しかし現在は〇〇という制度を導入し、月平均残業時間は〇時間に減少しています」と、改善に向けた具体的な取り組みと現状を可能であれば数字を交えながら伝えましょう。

このように透明性の高い情報開示を行うことで、求職者からの信頼を高めることができます。

クチコミサイト評価を向上させる3つの施策

クチコミサイトの評価を改善するには、単なる対症療法ではなく、組織そのものの改善が必要です。社員が満足して働ける環境を整えることで、自然とポジティブな評価が増えていくでしょう。ここでは、クチコミ評価を向上させるための代表的な施策を紹介します。

従業員エンゲージメントの向上に取り組む

クチコミ対策として最も本質的な施策は、社員が「この会社で働いていて良かった」と心から思える職場環境を整備することです。社員の満足度が高まれば、その評価は自然とクチコミにも反映されていきます。

まずは、社内で定期的にエンゲージメント調査を実施し、社員の本音をヒアリングしてみましょう。社員の声に耳を傾け、組織としてどのような点が社員のエンゲージメントを左右しているかを把握することで、より戦略的に従業員エンゲージメントの向上に取り組めるようになります。

候補者体験の向上に取り組む

クチコミサイトには、実際に働いた社員だけでなく、選考を受けた求職者の体験が投稿されることもあります。そのため、候補者体験の向上に取り組むことも重要です。

例えば、「不採用通知の出し方が冷たかった」「面接官の態度が高圧的だった」といった求職者への不誠実な対応は、クチコミサイトへ書き込まれるリスクがあります。不採用となった求職者であっても、その体験はクチコミとして共有される可能性があり、企業ブランディングにも影響を及ぼすことがあります。

たとえ採用に至らなかった場合でも、選考体験が良いものであれば、企業に対してポジティブな印象を持ってもらえます。
候補者体験を向上させるためには、以下のようなポイントを意識するとよいでしょう。

  • 選考プロセスを分かりやすく説明する
  • 面接官の対応品質を高める
  • 選考結果を迅速に連絡する
  • 候補者に対して丁寧なフィードバックを行う

こうした真摯な対応を積み重ねることで、「非常に誠実な選考だった」「良い会社だと思ったが縁がなかった」など、企業姿勢を評価するクチコミが投稿される可能性もあります。そうした積み重ねが、結果として企業の評判の向上につながっていくでしょう。

クチコミが書かれる前に、組織内の不満を吸い上げる仕組みを作る

クチコミサイトにネガティブな投稿が増える原因の一つは、社員が社内で不満を伝える場がないことです。社内で意見や不満を共有できる機会が少ない場合、社員は不満を外部に向けて発信してしまうことがあります。
このような状況を防ぐためには、組織内に「心理的安全性」を確保し、不満や改善提案をオープンに伝えられる文化を醸成することが不可欠です。
具体的には、以下のような施策が例として挙げられます。

  • 定期的な従業員満足度調査
  • 匿名アンケートの実施
  • 1on1ミーティングの導入
  • 社内相談窓口の設置

こうした取り組みを通じて社員の声を把握し、組織改善につなげていくことが重要です。その積み重ねが、結果としてネガティブなクチコミの発生を抑えることにもつながるでしょう。

まとめ

採用クチコミサイトは、もはや一部の転職希望者や就活生だけの情報源ではなく、新卒学生やその保護者なども含め、多くの人が企業選びの参考にする重要な判断材料となっています。実際にクチコミサイトの評価スコアが応募率に影響するというデータもあり、採用成果に直結する要素と言えるでしょう。

企業がクチコミサイトを放置してしまうと、採用ブランドの毀損や応募機会の損失、情報の腐敗化など、さまざまなリスクが生じます。だからこそ、人事担当者は自社の評価を定期的に確認し、課題を分析しながら透明性の高い情報発信を行うことが重要です。

従業員エンゲージメントの向上や候補者体験の改善など、組織の本質的な改善に取り組むことで、クチコミは自然とポジティブなものへと変わっていきます。採用活動を成功させるためにも、クチコミサイトを単なる評判として捉えるのではなく、組織改善や採用力向上につなげるためのヒントとして活用しましょう。

 

コラムを書いたライター紹介

日向妃香

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採用系コンサルタントとして企業の採用サポート・採用戦略構築・採用ノウハウの提供を行いながらライターとしても活動中。
得意分野は新卒採用とダイレクトリクルーティング。

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