職場におけるメンタルヘルスマネジメントの重要性と実践方法とは?


ストレス過多と言われる現代。同僚や上司、家族、友人など人間同士のコミュニケーションによるストレスをはじめ、インターネットから流れる過剰な情報や誹謗中傷、経済的な不安や将来への悲観など、日常生活にはさまざまなストレスがあります。

また、近年は新型コロナウイルスによって、生活が脅かされるストレスを感じている人も少なくありません。こうしたストレスは、精神面での体調不良者を増加させるだけでなく、職場での業務パフォーマンスの悪化や精神疾患による休職・退職など、さまざまなデメリットを生じます。

さらに、精神疾患の要因が職場以外にあったとしても、企業側に原因追及の矛先が向く事態も多発しています。そのため、現代において職場でのメンタルヘルスマネジメントは重要です。

この記事では、人事担当・管理職に向けてのメンタルヘルスマネジメントの実践方法をご紹介します。

職場におけるメンタルヘルスマネジメントの重要性とは

現代社会における企業は、収益向上だけでなく、従業員の体調管理やフォローアップを十分に行うことが当たり前の時代になりました。

メンタルヘルスマネジメントを疎かにしていた企業では、精神面で体調を崩した従業員に対し対処を本人任せにしていたところ、「企業の押し付けによる業務過多」「会社のフォローがなかった」と裁判を起こされ多額の慰謝料を請求された事例もあります。

数年前までは「メンタルヘルスマネジメントは大企業が行うもの」として、中小企業ではほとんど実践されていませんでした。しかし、精神疾患にかかる従業員は、企業規模に関わらず出てきます。

メンタルヘルスマネジメントは、従業員の体調管理だけでなく、業務パフォーマンス向上、企業と従業員のトラブル防止など、さまざまなメリットがあります。リスクヘッジを含めて考えれば、メンタルヘルスマネジメントの実践は、企業規模に関わらず必須と言えるでしょう。

参考:人事担当・管理職のための メンタルヘルスの教科書 | 清水 隆司

メンタルヘルスマネジメントの実践方法

ここからは、企業における具体的なメンタルヘルスマネジメントの実践方法を解説します。メンタルヘルスマネジメントは、従業員の命に関わる重大な取り組みのため、社内全体で理解を示すことが大切です。

厚生労働省のガイドラインを把握する

企業で働く従業員へのメンタルヘルスケアは、厚生労働省も提示しています。具体的には以下の通りです。

セルフケア

企業は各従業員が、ストレスチェックやストレスへの対処を自身で行えるように教育研修や情報提供を行います。

ラインによるケア

職場環境の把握・改善や従業員からの相談対応を行うために、ラインによるケアを行います。

事業場外資源によるケア

外部サービスを活用して、情報提供やアドバイスをもらったり、従業員の職場復帰における支援を受けたりします。

参考:労働者の心の健康の保持増進のための指針 – 厚生労働省

メンタルヘルスにおける投資を行う

前述した厚生労働省が掲げている指針や参考書などを読んで、社内の人員だけでメンタルヘルスマネジメントに取り組むことは可能です。

しかし、実際に従業員が体調を崩した時の判断は、産業医を含む専門家でないとできません。社内の人員で業務過多になりながらマネジメントをするよりも、専門家に委ねた方が効率が良い側面もあるでしょう。

メンタルヘルスマネジメントにともなう産業医の契約は、月ごとの雇用契約が可能です。まずは、数ヶ月間社内効果を測定してみてはいかがでしょうか。

産業医採用以外の方法もある!
メンタルヘルスマネジメントの企業事例

メンタルヘルスマネジメントは、産業医採用以外の方法でも実践可能です。

実際に、株式会社ベネッセホールディングスでは、「健康セミナーの実施」「在宅勤務推進・オフィス環境改善」「休暇制度の多様化促進」を実施することによって、効果的にメンタルヘルスマネジメントを行っています。

健康セミナーは、短期間の運動定着セミナーをオンラインで提供し、従業員が生産性高く働くための生活習慣改善を図っています。セミナー実施後の参加者アンケートでは、約60%が「健康を意識した行動変化」を実感しているとのことです。

在宅勤務推進・オフィス環境改善では、出社・在宅のハイブリッド型勤務と時差出社を推奨しています。

また休暇制度は、育児休暇だけでなく、介護休暇やリスキル休暇(スキルアップに対する休暇)、ボランティア休暇を設けています。

参考:株式会社ベネッセホールディングス 働きやすく活気ある職場づくり(労働慣行)

メンタルヘルスマネジメントは早めの取り組みが大切

今回は、人事担当・管理職に向けてのメンタルヘルスマネジメントの実践方法をご紹介しました。

従業員のメンタルヘルスは、職場全体のパフォーマンスにも影響を与えかねない繊細な判断が問われる問題です。企業側は、従業員のメンタルヘルスの重要性を十分に理解し、早めにメンタルヘルスマネジメントに取り組むことが大切です。

コラムを書いたライター紹介

八巻美穂

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プロフィール:98年生まれ、フリーライター/ディレクター
インターン生としてロサンゼルスのIT系コンサルティング会社で2年勤務後、塾講師として学習塾に新卒入社。メンタルダウンを経験し、フリーランスの道に。現在は、ビジネス系のSEOからキャリア系のインタビューまで幅広く執筆中。

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