今こそ「人事×SDGs」。人事担当者が知るべき目標や取り組みを紹介


昨今では、ダイバーシティやジェンダー、環境問題など、社会を取り巻く問題がグローバル化しています。
企業における人事活動でも、「人」が主役である以上これらの問題は避けては通れません。

そこで今回は、人事担当者として知っておくべきSDGsの基本的な目標と取り組み方についてポイントを紹介します。
いま注目される「人事×SDGs」という考え方を理解し、企業経営にも反映することができますので、ぜひ最後までご覧ください。

SDGs(持続的な開発の目標)とは?

SDGs(Sustainable Development Goals website)は、持続可能な開発目標を指す言葉で正式名称は「我々の世界を変革する:持続可能な開発のための2030年アジェンダ」です。
SDGsは、17のゴール・169のターゲットから構成され、「地球上の誰一人として取り残さない(leave no one behind)こと」を念頭に、発展途上国のみならず先進国自身が積極的に取り組む普遍的な目標です。
2015年9月の国連サミットで世界のリーダーたちが採択した持続可能な開発のための2030アジェンダがあり、これに含まれる17の持続可能な開発目標をSDGsと定義しています。

2016年1月1日に正式な取り組みがスタートしており、具体的な17の目標は以下の通りです。

それぞれの目標の詳細は下記にて確認できます。
JAPAN SDGs Action Platform | 外務省 (mofa.go.jp)

企業がSDGsを取り入れるメリット

経済産業省「通商白書2020」によると、SDGsによる市場価値は最大で年間12兆ドル(日本円換算約1200兆円)であり、2030年までに最大3億8,000万人の新規雇用を生み出すと試算されています。
ビジネスにSDGsの視点を的確に取り入れることは、長期的な企業価値を見据えるとき重要なポイントとなります。
企業がSDGsに取り組むことのメリットは、主に以下の3つです。

  • 社会問題への解決へ向けた取り組み
  • 新たなビジネスチャンスの創出
  • 採用ブランディングの向上

人事担当者の方は、まずは「採用ブランディングの向上」を意識するとよいでしょう。

参考:経済産業省「通商白書2020」
第Ⅱ部 第3章 第3節 世界の社会課題解決(SDGs)の促進に向けて
https://www.meti.go.jp/report/tsuhaku2020/2020honbun/i2330000.html

人事担当者が意識するべきSDGs

前述の17の目標がありますが、実際に人事領域が関連するものは多岐にわたるため、一気にすべてのSDGsを人事担当者が取り組むことは難しいかもしれません。

以下の事例を参考に、まずは取り組めそうなものから実施してみましょう。
人事担当者にとって押さえておくべき目標は以下の4つです。

目標3 すべての人に健康と福祉を
目標5 ジェンダー平等を実現しよう
目標8 働きがいも経済成長も
目標10 人や国の不平等をなくそう

目標3 すべての人に健康と福祉を

企業の健康経営への取り組みは、従業員の健全な働き方を実現するだけでなく、労働環境を改善することで早期離職や生産性低下などを防止することが可能です。
施策例として、日常的な以下の取り組みが挙げられます。

  • 管理職向け研修などで、メンタルヘルスに対する意識を高める
  • 体調不良者がいないかの定期チェック など

また、以下のような予防や事前のケアなどに力を入れることが持続的な全社的な健康経営につながります。

  • 健康診断や人間ドック受診のサポート
  • スポーツジム利用料補助 など

目標5 ジェンダー平等を実現しよう

企業のダイバーシティ推進により、ジェンダーによる格差がなく活躍の機会を創出することが重要です。
具体的には、以下のような制度面からのバックアップや人材登用で実践していきます。

  • 女性の管理職抜擢
  • 男性の育休取得推進
  • LGBTに配慮した組織づくり など

目標8 働きがいも経済成長も

従業員満足度が高い企業の労働環境の構築は、ひいては経済成長に貢献します。
企業の人事は、年齢や障がいの有無、雇用形態に関わらず、あらゆる人材が個々の能力を発揮し持続的にいきいきと仕事に取り組めるような施策が必要です。

具体策として、以下が挙げられます。

  • 時間外労働の短縮
  • 同一労働・同一賃金の適用
  • タレントマネジメント など

目標10 人や国の不平等をなくそう

日本においても、外国人採用は年々増えつつありますが、国籍や人種、民族、宗教、社会的地位、年齢や性別、障がいなどの要素で差別せず、公平な採用や労働環境の構築が必要です。
このような人事・採用面で公正な評価や雇用を徹底することは、多様な人材のエンゲージメントを高め、ひいては時代の変化やグローバル化にも柔軟に対応できる企業力につながります。

今こそ「人事×SDGs」が重要

今回、人事領域でのSDGsのメリット、具体的に意識すべき目標やポイントについてご紹介しました。

ビジネスにおいて、今後は新規事業だけでなく既存事業も含めてSDGsの視点を積極的に取り入れ、収支拡大を目指しながら、社会問題も同時に解決するといった取り組みが求められます。
まずは、人事担当者として今日から少しずつでもできることから始め、企業全体のSDGsを人事部門が牽引して推し進めてみてはいかがでしょうか。
採用活動や人事管理を通して、応募者・従業員どちらにとっても魅力ある企業を目指しましょう。

コラムを書いたライター紹介

真南風文藝工房

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編集者・ライター・サイエンスコミュニケーター・工学修士(航空宇宙学)
自動車メーカーでの先行開発エンジニアを経験した後、理系教科書編集(高校数学・中学校理科教科書編集)職に転向。近年は、サイエンスライティングに加え、理系・元エンジニアとしての経験を活かし、大学院生向け就職活動サイトコラム執筆・AI関連企業広報ライティングなど、幅広い分野での執筆活動に取り組んでいる。

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