人事がESGに貢献するための取り組みは?

ESGは、近年の企業経営におけるホットワードとなっています。ESGのために人事部門ができることについて気になっている方も多いでしょう。今回はESGの概要を解説したうえで、ESG経営に貢献できる人事の取り組みについてもご紹介します。
ESGとは?
ESGは、環境(Environment)、社会(Social)、企業統治(Governance)の頭文字を合わせた言葉です。
これまでの経済活動によって、人々は経済的な豊かさを手に入れた一方、その弊害として環境問題や社会問題も生まれています。
現在では、このような問題に配慮しない企業は持続的な成長が難しいという考えが広まっており、ESGへの注目度が高まっています。
環境(Environment)
企業活動によって生まれた環境問題は少なくありません。たとえば、二酸化炭素排出量増大による地球温暖化の加速や、プラスチックなどの廃棄物による海洋汚染なども環境問題として挙げられます。これを解決するためには、省エネやCO2排出量の削減などへの取り組みが求められます。
社会(Social)
企業が利益だけを追求しようとすれば、所得格差の拡大や貧困層の増加、児童労働などの社会問題につながるおそれがあります。これを解決するべく、労働環境の改善や多様な人種が働きやすい環境づくりなどに取り組む必要があります。
企業統治(Governance)
企業統治とは、健全かつ透明性ある経営のための自己管理体制を指します。法令の遵守や情報開示、リスクマネジメントなどに取り組むことが必要です。
SDGsとの違い
ESGと混同されやすい言葉が「SDGs」です。
SDGsは「持続可能な開発目標(Sustainable Development Goals)」の略称です。
SDGsでは人間・地球および繁栄のための行動計画として17の目標が掲げられており、開発途上国だけでなく先進国の問題まで包括的に捉えていることが特徴です。また、企業だけでなく政府や自治体、NPOといった幅広いプレイヤーを対象としています。
一方、ESGは企業と投資家の間で使われることが多い用語であり、「投資家が企業を選ぶための評価基準」といえます。
ESGに取り組むメリット
ESGは投資家が企業を選ぶ評価基準のひとつです。ESGに取り組んで投資家からの評価が高まれば、資金調達がしやすくなるでしょう。
また、現在では投資家だけでなく、従業員や取引先、消費者などのさまざまなステークホルダー(利害関係者)がESGを企業の評価の基準にしています。このことから、ESG経営に取り組むことで企業のイメージアップを図れます。
さらには、ESGでは労働環境の改善に取り組む必要もあるため、従業員の満足度が向上し、離職率の低下やモチベーションの向上にもつながるでしょう。
多様な人材が働きやすい環境を整備する
ESGでは、多様な人種が働きやすい企業であることが求められます。性別や人種、年齢、宗教、国籍などに関係なく誰もが能力を発揮できる環境を整えることが大切です。
具体的には、女性管理職の登用や高齢者、障がい者の雇用などが挙げられます。また、テレワークや短時間正社員といった多様な働き方ができる環境を整えることも、ESGを意識した取り組みといえるでしょう。
労働安全衛生の確保
労働安全衛生はESGで注目されている分野です。人事部門が介入することで、従業員が安全かつ健康に働ける環境を整えていくといいでしょう。
たとえば、防災訓練や健康診断を定期的に実施したり、メンタルヘルスケアのためのカウンセリングルームを設置したりといった対策が考えられます。
Off-JTを取り入れた人材育成
人材育成をOJTだけで行う企業は少なくありません。しかし、OJTは投資家の視点では属人的かつ効果が把握しにくいという特徴があります。
一方、Off-JT(職場外研修)を行えば従業員の知識やスキルのばらつきを抑え、属人化も防ぐことができます。したがって、off-JTへの取り組みを評価する投資家が多いといわれています。
人員削減をできるだけ抑える
ESGの観点では、従業員を大切にしない企業は評価されにくい傾向にあります。したがって、人員削減をできるだけ抑えることが大切です。
また、投資家のなかには正規従業員と非正規従業員の割合や、両者の待遇差などに注目している人もいます。人員削減を抑えつつ、正規・非正規のどちらであっても最適に働ける環境を整えていく必要があるでしょう。
人事からESGにアプローチできることは多い
今回はESGに貢献できる人事部門の取り組みをご紹介しました。ESGに取り組むことで、投資家からの評価が高まるだけでなく、従業員のエンゲージメント向上や自社のイメージアップを図れます。
ESGでは労働環境にもフォーカスしているだけに、人事部門からアプローチできることも少なくありません。持続的かつ健全な企業経営のためにも、今回ご紹介した取り組みについて、検討してみてはいかがでしょうか。
コラムを書いたライター紹介

サカモトケンタ
Webライターとしては記事執筆のほか採用サイトなどのライティング、WebディレクターとしてはHPやLPの制作を行っています。
マーダーミステリー・TRPGにハマっています。
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