【8割の就活生が「企業選びに影響する」と回答】 企業のSDGs取り組みと就活との相関性


SDGs(Sustainable Development Goals)とは、「2030年までに持続可能でよりよい世界を目指す国際目標」のことであり、17のゴール・169のターゲットから構成され、日本でも国単位だけではなく企業単位でも積極的に取り組まれている開発目標です。

SDGsは学校の授業やマスメディア、SNS等でも取り上げられる機会が増え、若年層においてもSDGs意識は年々高まっています。
また『SDGs』という言葉の浸透に伴い企業のSDGsに対する取り組みも重視され始め、学生にとって企業選びの基準の1つになりつつあります。

では実際に企業のSDGsの取り組みは、採用活動にどれほどの影響を与えるのでしょうか。
本記事では企業のSDGsへの取り組みと学生の志望度・選社軸との相関性や、就職活動でSDGsが重視される理由など、SDGsの採用活動への影響や相関性についてデータを基に解説します。

(画像出典:外務省

企業のSDGsへの取り組みと学生の志望度・選社軸との相関性

まず企業のSDGsへの取り組みと学生の志望度との相関性について、株式会社ディスコが2021年3月卒業予定の大学4年生を対象に実施したアンケート調査の結果をもとにお伝えします。
本調査の「就職活動において、企業がSDGsに取り組んでいることを知ると志望度が上がりますか?」という質問では、次のような結果となりました。

  • 志望度が上がる:25.9%
  • どちらかと言えば志望度が上がる:40.2%
  • どちらとも言えない:26.5%
  • どちらかと言えば志望度は上がらない:2.9%
  • 志望度は上がらない:4.5%

6割強の学生が「企業がSDGsに取り組んでいることを知ると、志望度が上がる」と回答していることから、企業のSDGsの取り組みは学生の志望度に少なからず影響を与えると推察できます。

出典:株式会社ディスコ

また株式会社IDEATECHが2023年春に就職予定の就活生(20~24歳)547名を対象に実施した「23卒就活生の選社軸とSDGsの関係性」に関する調査では、「Q4.企業のSDGsへの取り組みは企業選びに影響しますか?」という質問に対し、以下の結果となりました。

  • とても影響する:24.6%
  • 少し影響する:64.2%
  • あまり影響しない:9.7%
  • 全く影響しない:1.5%

8割を超える学生が「SDGsへの取り組みが企業選びに影響する」と回答し、22卒比においても+3.5ポイント上昇した結果でした。

出典:株式会社IDEATECH「23卒就活生の選社軸とSDGsの関係性」

学生にとってSDGsの取り組みは志望度に影響を与えると共に、取り組み姿勢や内容によっては企業選びにも一定の影響を与えることが分かりました。

学生が就活においてSDGsを重視する理由は?

学生が就職活動においてSDGsの取り組みを重視する理由は、“企業のSDGsへの取り組み姿勢や内容が企業の社会的役割・企業の将来性に結びつく”という考えに起因しているからです。

株式会社ベイニッチが行った「21卒就活生の選社軸とSDGsの関係性」の調査において、「就職先企業を選ぶ上でSDGsに対する姿勢や取り組みを重視する理由」を尋ねたところ、次の結果となりました。

  • 企業の社会的役割を重視したい:71.4%
  • 将来性のある企業だと判断できる:42.9%
  • コロナ禍で持続可能なビジネスモデルの必要性を実感:28.6%

出典:株式会社ベイニッチ「21卒就活生の選社軸とSDGsの関係性」

「企業の社会的役割を重視したい」が7割以上となっていることから、学生はSDGsの取り組みの中でも社会に対する企業の貢献度を重視していることがうかがえます。
また企業のSDGsに対する活動状況を通じ、将来性の有無を図り就職先を選んでいることが分かります。

さらに前項目で紹介した株式会社IDEATECH「23卒就活生の選社軸とSDGsの関係性」に関する調査の「就職先企業を選ぶ上でSDGsに対する姿勢や取り組みを重視する理由」を問う質問でも、似たような結果が得られています。

  • 将来性のある企業だと判断できる:45.5%
  • コロナ禍で持続可能なビジネスモデルの必要性を実感したから:44.8%
  • 企業の社会的役割を重視したい:44.8%
  • 企業イメージが良く、親しみが持てる:44.8%

出典:株式会社IDEATECH「23卒就活生の選社軸とSDGsの関係性」

上記のデータより企業のSDGsへの取り組みは、学生にとって企業の将来性・持続可能性(サステナビリティ)を判断する材料の1つになっているようです。

学生の関心が高いSDGs項目

17のゴール・169のターゲットから構成されるSDGsですが、学生が関心を寄せている目標には若干偏りがあるようです。
株式会社ベイニッチ「21卒就活生の選社軸とSDGsの関係性」の調査において「SDGsの17目標のうち、関心が高いものは何か」を問う質問では、以下の結果となりました。

  • 【5】ジェンダー平等を実現しよう:42%
  • 【4】質の高い教育をみんなに:31%
  • 【1】貧困をなくそう:27%
  • 【3】すべての人に健康と福祉を:27%

出典:株式会社ベイニッチ「21卒就活生の選社軸とSDGsの関係性」

責任・権利・機会などを平等に分かち合い、物事を皆で一緒に決める「ジェンダー平等の実現」は、Z世代が望む働き方に合致する目標であり、次年度以降も引き続き就活生の関心を集める目標になると考えられます。

企業価値向上や採用ブランディングにおいて、企業はこのような学生の関心を踏まえ、企業の魅力の1つとして戦略的にSDGsへの取り組みを訴求していくことが求められるでしょう。

信頼性の高い情報の発信・学生の目に触れる機会を多く設けることも大切

「SDGsへの取り組みが企業の将来性を見定める方法の1つである」「コーポレートサイトでSDGsの取り組みを知り好感度が上がった」といった学生の声が聞かれる一方で、「ブームに乗っているだけの企業もある」「体裁を取り繕っているだけ」という厳しい意見も散見されます。
SDGsへの取り組みを採用活動の施策に繋げるのであれば、正しく適切な情報発信を心がける・学生の目に触れる機会を多く設けることが肝要です。

自社のSDGsへの取り組みが上辺だけにならないよう、事実情報と根拠を基にした取り組みの発信を心がけましょう。

また学生はSDGsへの取り組み有無だけではなく、取り組みの内容や姿勢にも注目しています。取り組みの内容を学生目線で分かりやすくアピールできると、学生の自社への関心向上に繋がるでしょう。
さらにSDGsの取り組みを発信する際は、自社の採用サイトやコーポレートサイトはもちろん、学生との親和性の高いSNSツールも活用し、多様な発信機会を設けると良いでしょう。

まとめ

SDGsへの関心は年々高まりを見せ、若い世代にも着実に浸透しつつあります。23卒の就職先企業を選ぶ上で重視する点で「SDGsに対する姿勢や取り組み」と回答した割合は、22卒と比較して7.2ポイント上昇しています。

出典:株式会社IDEATECH「23卒就活生の選社軸とSDGsの関係性」

本記事で紹介した各調査結果からも、企業のSDGs取り組みと就活との相関性は高く、企業の採用活動にも大きな影響を与えると考えられます。
採用活動においては、今後さらにSDGsへの取り組みへの参画や具体的な取り組みのアピールが必至になると言えるでしょう。

コラムを書いたライター紹介

日向妃香

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採用系コンサルタントとして企業の採用サポート・採用戦略構築・採用ノウハウの提供を行いながらライターとしても活動中。
得意分野は新卒採用とダイレクトリクルーティング。

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