社員のエンゲージメントを向上させるには?具体的な指標と調査方法について


「どうしたら社員のエンゲージメントを高められるのか」と頭を悩ませている人事担当者は多いでしょう。エンゲージメント向上施策を打つためには、まずは現時点での社内のエンゲージメントを数値化し、目標を立てる必要があります。
今回は、エンゲージメント調査に必要な指標や調査方法について解説します。現場で使えるアンケート質問例文も合わせて紹介するので、ぜひ最後までお読みください。

社員のエンゲージメント向上がもたらす効果

社員のエンゲージメントとは、社員と会社のつながりの強さを表す言葉です。会社に対する「愛着」「思い入れ」「貢献意欲」などがエンゲージメントに当たります。

社員エンゲージメントを高めることができれば、以下のようなメリットがあります。

離職率低下

仕事にやりがいがなかったり、企業のビジョンに共感できなかったりといった不満を社員に与えてしまえば、いずれ退職してしまう可能性は高いでしょう。しかし、社員のエンゲージメント向上に成功すれば、自社への不満を減らし、貢献意欲の高い人材が増えるため、離職率の低下につながります。

顧客満足度の向上

エンゲージメントが高い社員は、仕事にやりがいを見出し、自社の商品やサービスについての理解も深まるようになります。このような社員が活躍することで、顧客に提供する商品・サービスの品質改善にもつながり、顧客満足度が向上します。

業績アップ

社員エンゲージメントの向上は企業の業績アップにつながります。

株式会社リンクアンドモチベーションの研究機関であるモチベーションエンジニアリング研究所は、「ES(エンゲージメントスコア)1ポイントの上昇につき、当期の営業利益率が0.35%上昇する」という研究結果を発表しています。

また、「ES1ポイントの上昇につき、翌四半期の営業利益率が0.38%上昇する」ことも判明しています。この結果から、エンゲージメントを向上すれば比較的短期間で業績アップできる可能性が高いといえます。

参考:https://www.lmi.ne.jp/about/me/finding/detail.php?id=14&_bdld=3NNfPI.nnuiFgt

施策を打つために必要なもの(調査、指標)

エンゲージメント向上施策を打つためには、まず現状における社員のエンゲージメント指標を明らかにする必要があります。

eNPS

社員エンゲージメントは、「eNPS」と呼ばれる指標を基準に調査することができます。eNPSの算出方法は以下の通りです。

1.「現在の仕事を友人や家族にどれぐらい勧めたいですか?」「自分の仕事に価値や誇りを見出していますか?」などの質問をし、0~10点で評価を受ける。

2.評価をもとに、以下の基準で振り分ける。

(1)0~6点:批判者
(2)7~8点:中立者
(3)9~10点:推奨者

3.推奨者の割合から批判者の割合を引いた数字がeNPSとなる。

以上の方法で、社員のエンゲージメントを数値化することが可能です。eNPSが高いほど社員のエンゲージメントが高いといえます。

エンゲージメントの調査方法

eNPSの調査方法として一般的なのは、社員に対するアンケートです。

アンケート方法としては、紙だけでなくコンピュータ調査による「パルスサーベイ」と呼ばれる手法もあります。

また、無記名でアンケートを実施すれば、社員も気軽に回答でき、会社に対する本音を聞き出しやすくなるでしょう。

エンゲージメント指標

社員エンゲージメントを数値化する際は、以下の3種類の観点からアンケートを実施するとよいでしょう。

エンゲージメント総合指標

社員が会社に対してどのような印象を抱いているのかを総合的に評価する指標です。社員の会社に対する信頼度や愛着を総合的に判断します。

アンケートの質問内容の一例

・「この会社を家族や友人にどのくらい勧めたいですか?」

・「仕事を通して成長できた実感はありますか?」

ワークエンゲージメント指標

社員の仕事への熱意、やりがいの有無などを測る指標です。「活力」「熱意」「没頭」の3要素に焦点を当てた設問を作って調査します。

アンケートの質問内容の一例

・「仕事に対する得意意識はありますか?」
・「仕事をするうえで必要な機材や環境などが整っていると感じますか?」

エンゲージメントドライバー指標

今後、社員エンゲージメントを向上させる要因を示す指標です。以下の3つの項目から測定します。

  • 組織ドライバー・・・職場の人間関係や環境など組織と社員の状態
  • 職務ドライバー・・・職務に対する満足度や難易度、当事者意識
  • 個人ドライバー・・・個人の資産が業務に及ぼす影響

アンケートの質問内容の一例

・「自分が会社から何を期待されているのかを知っていますか?」
・「会社として掲げている今後の目標を理解していますか?」

社員のエンゲージメント向上には目標設定・施策検討が重要

社員のエンゲージメント向上について解説しました。エンゲージメントを高めることは、離職率低下や顧客満足度アップにつながります。企業・社員・顧客の三者にとってメリットがあり、良い循環を生むことが可能です。

エンゲージメントを高めるためには、まずは自社の現時点でのエンゲージメントを測定する必要があります。そのうえでエンゲージメントの長期目標・短期目標を設定し、目標を達成するにはどのような施策を打てばよいか検討する必要があるでしょう。
ぜひ今回紹介した内容をもとに、人事制度の構築・改善にお役立ていただけると光栄です。

コラムを書いたライター紹介

サカモトケンタ

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フリーランスWebライター/Webディレクター
Webライターとしては記事執筆のほか採用サイトなどのライティング、WebディレクターとしてはHPやLPの制作を行っています。
マーダーミステリー・TRPGにハマっています。

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