【2024年最新】中途採用市場の動向とトレンド
景気による影響を大きく受ける中途採用市場では、常に最新の市場動向を把握しておく必要があります。
市場の変化に合わせた適切な戦略を策定できるようになる上、さらには効率的な採用活動が実現し、人材確保を優位に進められるようになります。
そこで今回は、2024年中途採用市場の動向を解説すると共に、人事担当者が知っておきたい中途市場のトレンドについてもお伝えします。
2024年中途採用市場の動向
転職サービス「doda」が発表した「転職求人倍率レポート(2024年1月)」によると、2023年の求人倍率は上昇を続け、2023年12月には2019年2月以来過去最高値となる3.22倍を記録しました。
2024年1月の求人倍率は下降し2.8倍になりましたが、その理由は求人数が微減し、転職希望者数が増加したためと分析できます。企業のみならず、求職者の活動も活発になっていることから、中途採用市場は非常に活性化している状態と言えるでしょう。
引用:doda『転職求人倍率レポート(2024年2月発表)』
引用:doda『転職求人倍率レポート(2024年2月発表)』
またコロナ禍から雇用環境が回復した2024年は、多くの企業が2023年よりも採用に積極的になると考えられます。
さらに新型コロナウイルスの影響で採用を見送っていた分の人材確保に努める企業や、大量採用したバブル世代の定年退職に備えた採用に取り組む企業も多く見られるでしょう。そのため、新型コロナウイルスが流行する以前の水準を上回る求人倍率になる業界・業種も多数現れると予想されます。
業種別・中途採用市場動向
業種別では、人材サービス業界が8.56倍、コンサルティング業界が8.35倍と、2つの業界が8倍を超える求人倍率を記録しています。
引用:doda『転職求人倍率レポート(2024年2月発表)』
人材サービス業界においては、株式会社矢野経済研究所が実施した『人材ビジネス市場に関する調査』によると、2023年度の人材サービス業界の市場規模は、前年度比7.3%増が見込まれています。
年々市場規模が拡大する一方で労働人口減少が続くことから、求人倍率が上昇せざる得ない状況下にあると考えられます。
引用:株式会社矢野経済研究所「人材ビジネス市場に関する調査」
また成長産業の1つとして謳われることの多いコンサルティング業界も、業界成長が著しいばかりに人手の供給が追い付いていません。
急速な業界成長の背景には、企業を取り巻く経営環境が大きく変化し、多くの企業が日常的かつ常習的にコンサルティングを利用するようになったことが挙げられます。
コンサルティング需要は今後もより一層高まると予想されることから、2024年におけるコンサルティング業界の求人倍率は、さらに上昇する可能性が高いと言えるでしょう。
職種別・中途採用市場動向
職種別では、エンジニア(IT・通信)の求人倍率12.06倍が最も大きな数値となりました。
引用:doda『転職求人倍率レポート(2024年2月発表)』
IT・通信系エンジニアは、IT・通信業界のテクノロジー技術の進化により、急速に需要が増大している職種です。
なお2024年に関しては、Amazon社・Google社・Microsoft社などをはじめとする米国を中心とした大手IT企業の大量解雇により、採用を抑制していた外資系IT企業もエンジニア採用を再開すると予想されます。さらにIT業界以外のDX化や内製化に取り組む企業によるエンジニア採用も増加するでしょう。
2024年中途採用市場のトレンド
2024年の中途市場のトレンドとしては、次の3点が挙げられます。
採用ターゲットが変化する企業が増加
採用競争が激化する中途採用市場ですが、採用難が続くことから経験者採用から未経験者採用に転換する企業も少なくありません。
また顧客ニーズの多様化などを背景に複数の事業を展開する企業も増えてきました。このような企業では、各事業の成長度合いに応じて採用ターゲットが目まぐるしく変わってくるでしょう。
さらに転職市場の活性化により、異業種転職する求職者も少なくありません。
そのため2024年の中途採用では、採用競合となる企業もこれまでとは異なってくると予想されます。競合リサーチの際は、より広い視野を持った調査を意識することが大切です。
賃上げに踏み切る企業が増加
賃上げに踏み切る企業も増加傾向にあります。
転職サービス「doda」が実施した『賃上げに関する調査』によると、大企業の76.1%、中・小企業の64.1%が賃上げを実施(予定含む)するとの調査データが公開されています。
2024年も引き続き、賃上げを図る傾向は継続すると予想されます。
そのため、企業間の給与水準に格差が生まれることになり、賃上げの有無が採用活動に大きな影響を及ぼす可能性もあるでしょう。
働きやすい環境の提供が必須となる
リモートワークやフルフレックスなど、働きやすい環境の提供もより必須になってくると考えられます。
その理由として、「doda」「リクナビNEXT」の検索ワードランキングでは、フルリモートや在宅勤務などのワードが上位に位置しており、求職者の多くが働きやすい環境を求めていることが分かります。
引用:リクナビNEXT『検索ワードランキング』(集計期間:2024/02/21~02/27)
リモートワークやフルフレックスなどの働きやすさを叶える制度は、求職者にとって応募企業を選ぶ際の重要項目になっている言えるでしょう。そのため従業員の働きやすい環境作りが後手に回ってしまうと、中途採用で劣勢になってしまう可能性も十分にあり得ます。
企業は、求職者ニーズを汲んだ働き方改革や環境改善への着手も視野に入れていく必要があるでしょう。
まとめ
今回は、2024年の中途採用市場とトレンドをご紹介しました。
2024年の中途市場は、より一層採用競争が激化すると予想されます。
また給与や環境など、求職者のニーズを汲んだ条件提示も必須となってくるでしょう。
人事担当者は、本記事で紹介した中途市場の動向、トレンドから読み取れる求職者ニーズを把握し、ぜひ自社の採用活動に落とし込んでみてください。
コラムを書いたライター紹介
日向妃香
得意分野は新卒採用とダイレクトリクルーティング。
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