【人事担当者向け】26卒学生の動向予測とサマーインターンシップ戦略
年々採用スケジュールの早期化が進む新卒採用では、採用活動における重要施策の1つとしてサマーインターンシップに注力する企業が増えつつあります。
また25卒採用からは、経済産業省・文部科学省・厚生労働省の合意のもとインターンシップの定義が改新され、学生もこれまで以上にインターンシップを意識した就職活動になると考えられます。
そこで本記事では、24卒学生・25卒学生に対する調査データを元に26卒学生のサマーインターンシップに関する動向予測を解説すると共に、26卒学生の動向予測から考察する企業のサマーインターンシップ戦略を紹介します。
26卒学生のサマーインターンシップ動向
26卒学生のサマーインターンシップに向けた動向では、24卒学生・25卒学生のインターンシップに関するデータから、次のような動きが予測されます。
- 5月後半から6月にかけて活動開始のピークを迎える
- インターンシップ参加時期は8月がピーク
- 採用選考を意識する学生の増加
ここでは、上記の26卒学生の動向予測について詳しく解説します。
5月後半から6月にかけて活動開始のピークを迎える
株式会社リクルートの研究機関 就職みらい研究所が実施した『就職プロセス調査』によると、インターンシップ・1day仕事体験に初めて応募した時期は、22卒~24卒いずれも6月の数値が最も高くなっています。さらに6月の数値は年度を追うごとに割合が高まっており、22卒採用と比較すると24卒採用では、6.5ポイントも上昇しています。
また5月の数値に注目すると、24卒採用では6.4%の学生が動き出し始めており22卒採用と比べて2.9ポイント上昇しました。
引用:株式会社リクルート『就職プロセス調査(2024年卒 就職活動TOPIC)』
本結果より、26卒学生が就職活動を開始するピークは、例年通り6月頃からと予想されますが、5月から動き出す学生も増加する可能性があると言えるでしょう。
インターンシップ参加時期は8月がピーク
株式会社ワークス・ジャパンが25卒学生を対象に実施した『インターンシップ意識調査』では、学生のインターンシップ参加時期のピークは8月・9月であり、その後参加率は減少していました。
引用:株式会社ワークス・ジャパン『インターンシップ意識調査』
また株式会社リクルート『就職プロセス調査』でも同様の結果になっており、26卒採用においても例年通り参加ピークは8月になると考えられるでしょう。
引用:株式会社リクルート『就職プロセス調査(2025年卒 就職活動TOPIC)』
採用選考を意識する学生の増加
また26卒学生は、24卒学生・25卒学生と比較してサマーインターンシップと採用選考の紐づけや関連を意識する学生が増えると推察されます。
その理由として、インターンシップの定義改正が挙げられます。25卒採用以降は、一定の条件を満たせば、企業はインターンシップで取得した学生情報を採用活動に利用できるようになりました。
24卒採用より以前からインターンシップと採用を連携させる企業は多くありましたが、今回の改正より、インターンシップと採用選考との関係性がさらに密接になっていくでしょう。
今回のインターンシップ定義改正の影響は学生の心情にも表れており、HR総研(ProFuture株式会社)と新卒採用メディア「ONE CAREER」(株式会社ワンキャリア)が実施した『就職活動動向調査』内のインターンシップに参加する目的を問う設問では、「就職活動を有利にする」ことを目的にインターンシップに参加している学生が63%にも上る結果となりました。
選考での優位性を担保するためにインターンシップに参加した学生の割合は多く、26卒学生においては前年の学生の様子、さらには新しいインターンシップの定義が定着することも相まって、サマーインターンシップへの参加において採用選考を意識する学生が増えると予想されるでしょう。
26卒学生の動向予測から考察するサマーインターンシップ戦略
ここでは、26卒学生の動向予測から考察する、サマーインターンシップ戦略を紹介します。
採用広報を通年で実施する
株式会社RECCOO CHROの草深氏が25卒学生を対象に実施した調査によると、サマーインターンシップが始まる前の6月時点(学部3年時)に志望業界を定めていた学生は、関東17%、関西16%でした。本結果より、一定数の学生は早くに志望する業界を絞り込んでいる様子が伺えます。
引用 :CNET Japan
就職感度の高い学生は、企業が考えるよりも早く動き出しています。そのためサマーインターンシップの時期に合わせて採用活動をスタートするようでは、一部の学生との接点機会を喪失してしまいます。
とはいえ、前年度の採用活動が佳境に入る3月や4月頃から次年度の採用活動に注力できる企業は僅かでしょう。より効率的な採用活動を実現するためには、前年度の採用活動や採用戦略を次年度の活動に繋げられる施策を考えるようにしましょう。
例えば、通年を通した採用広報戦略を実施するのも1つです。年間を通して採用広報を実施することで、次年度はもちろん大学1年生や2年生などの若年層にも認知を広げられるでしょう。
学生視点の導線を意識する
株式会社RECCOO CHROの草深氏が実施した調査によると、24卒学生と比較して25卒学生はより一層タイパを重視した就職活動になっていることが分かりました。
引用 :CNET Japan
おおよそ8割のも学生がタイパを意識しながら就職活動に取り組んでいるようです。そのため、サマーインターンシップにより多くの学生を誘致したいと考える企業は、学生が効率的に情報収集できるよう、積極的な情報開示に努めたり、手軽にサマーインターンシップに参加できる導線作りを意識してみたりするようにしましょう。
具体的には、次のような取り組みが挙げられます。
- オンライン開催の実施
- サマーインターンシップ選考の実施を控える
- 自社HPなどに学生が求める情報を集約する
- 学生が普段から使用する媒体・ツール(SNSなど)からの情報発信に努める
- アーカイブ配信・動画配信など好きな時間に企業情報を視聴できるコンテンツを作成する
媒体・採用手法を見直す
株式会社RECCOO CHROの草深氏が実施した調査では、25卒学生の顕著な安定志向が見られました。特に中小企業やベンチャー企業への志望率は、著しい低下が見られます。
引用 :CNET Japan
これまで順調に新卒を採用できていた企業も学生の志向変化に伴い、母集団形成に苦戦を強いられる可能性も十分に考えられます。
中でも中小企業やベンチャー企業は、サマーインターンシップと接点を持った学生をどのように選考・内定まで繋ぎ留めておくか、具体的な施策を一考すると共に、サマーインターンシップへの導線設計を見直しておくようにしましょう。また改めて現在利用している媒体や導入している採用手法が26卒学生の採用に適しているのかも見直してみてください。
まとめ
サマーインターンシップは、企業の採用活動でも重要な施策になりつつあるだけあり、サマーインターンシップの成否がその年度の採用成功を左右すると言っても過言ではありません。
学生の動向に合わせた施策の実施が不可欠ですが、26卒学生は、24卒学生・25卒学生と同じ傾向を残すものの新たな動向も予測されます。本記事を参考に26卒学生の動向に合わせた打ち出し・取り組みの実施を意識し、サマーインターンシップをより有益な採用施策へと昇華させましょう。
コラムを書いたライター紹介
日向妃香
得意分野は新卒採用とダイレクトリクルーティング。
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