人事(HR)領域でのDXとは?人事評価や退職予測のDX化・導入ポイントを紹介


昨今では、従来の管理型業務中心の「守り」の人事戦略から、経営戦略に寄り添った「攻め」の人事戦略を展開していくために、人事領域でも「データ」を利活用する手法が注目され始めています。

そこで今回は、人事(HR)領域でのDX化推進について、「従業員データを用いた人事評価」「AIを用いた退職予測」という活用事例も合わせてご紹介します。
人事業務の効率化・生産性向上を進めていきたい人事担当者はぜひご参考ください。

DX(デジタルトランスフォーメーション)とは?

DXとは英語の「Digital Transformation(デジタルトランスフォーメーション)」の略です。総務省は、DXとは「ICTの浸透が人々の生活をあらゆる面でより良い方向に変化させること」と定義しています。
一般的には、単なる「デジタルの活用」のみならず、ICTを通じて産業構造やビジネスモデルを大きく変革することと認識されています。これにより、企業におけるDXとは、従来型の事業構造や業務の進め方をICTの力で、それらを根本的に変える取り組みと定義してもよいでしょう。

参考:総務省 令和3年版「情報通信白書」
https://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/whitepaper/ja/r03/html/nd112210.html

人事部門のDXとは?

一般・企業それぞれのDXの定義についてみてきましたが、人事部門についてDX化を推進した場合は、以下のようなメリットがあります。

  1. 業務負荷を減らすことで担当者の「考える時間」を生み出す
  2. データを戦略人事に活かし、生産性がアップする

実際に、人事領域の業務といっても多岐にわたるため、一気にすべてをDX化をするのは難しいものです。
以下の事例を参考に、まずは取り組めそうなものから実施しましょう。

人事領域でのDX化の事例

人事領域でのDXの事例として、まずは初期段階として取り組みやすそうなものをご紹介します。

従業員データを用いた人事評価

人事業務でDXを推進する目的のひとつとして、従業員の状況を可視化し、その能力をフルに発揮してもらうことが挙げられます。従業員一人ひとりに向き合い、生産性を向上してもらった上で、会社全体でのイノベーションにつなげることが最重要課題です。

そしてDXを推進する上で、誰もが公平で納得感のある評価制度の整備が大切です。肝心の評価制度が属人的、主観に頼ったアナログ的なものだとすれば、従業員のモチベーションは下がる一方で、生産性を高めていくことは難しくなってしまいます。
実際に人事データなどのビックデータを活用し、エビデンスに基づいた客観的で納得感のある評価制度を整えることで、従業員の働きがいも向上し、DXによる効果が高まったというケースもあります。

AIを用いた退職予測

従業員の退職は企業にとって大きな損失です。多くの企業は、優秀な人材の採用や社員教育のために、年間多額の費用を投じています。
産労総合研究所の調査によると、1社当たりの教育研修費用総額は2020年度:実績額4,625万円、2021年度:予算額6,603万円とかなり巨額です。従業員の退職により、先行投資で行ったはずの採用や教育は企業にとって、将来にわたり回収できない費用となってしまいます。

しかし、退職者は転身後のことを考えて、いわゆる「立つ鳥跡を濁さず」といった姿勢で退職の際は一切会社の不満や問題点を口にせず、無言で退職する場合がほとんどです。このため、退職原因が職場や上司などにある場合は、原因究明が遅れ、さらなる退職者を生む可能性もあります。
このような損失を未然に防ぐため、退職者の行動や思考をもとにAIを用いて退職リスクを予測する技術というものも開発されています。

参考:株式会社産労総合研究所「2021年度 教育研修費用の実態調査」
https://www.e-sanro.net/research/research_jinji/kyoiku/kyoikukenshu/pr_2201.html

人事領域のDX化を成功させるポイント

では実際に、人事領域でどのような点に気を付けることで施策が成功につながるのでしょうか。導入期は、まず以下2点を注意するとよいでしょう。

基本はデータを一元管理する

従来より、従業員データが紙で管理されている場合も多く、まずはこれを集約しデータ化する必要があります。またフォームが部門によって統一されていなかったり、担当者にしかわからない記号化されたデータがあったりといった、いわゆる属人化も併せて解消する必要があります。

まずは、既存の紙ベースの書類をデータ処理で扱いやすい形にするため、Excelなどの電子データに落とし込むことから始めてみましょう。

社内でのコンセンサスを取っておく

実際DX化の推進方法、ポイントを知っても自社だとハードルが高いと感じる人もいるかもしれません。
とくに、旧来の体質を崩すことを拒む経営陣が意見を聞いてくれないなどの企業ごとの状況はそれぞれ異なりますが、大事なことはできることから始めていくことです。

まずはキーマンが誰かを見極め、人事部門のトップ層と日ごろからDXについての意見を交わすなど、少しずつ社内理解を浸透させていくことが効果的です。
「先の見えない時代だからこそリスク回避にもつながる」というDX推進後のメリットも一緒に伝えることで、より賛同を得られやすいでしょう。

なお、経済産業省では「AI導入の検討段階に応じたAI導入ガイドブック」で詳しくDX化について解説していますので、合わせてご参考ください。

出典:経済産業省ウェブサイト
https://www.meti.go.jp/press/2022/04/20220408001/20220408001.html

人事(HR)領域でのDXサービス例

人事(HR)領域でのDXにおすすめのサービスをご紹介します。

採用管理システム

  • 「ジョブスイートキャリア」(株式会社ステラス)

タレントマネジメント

  • 「HRBrain」シリーズ(株式会社HRBrain)

退職予測

「HR Flow」(株式会社MatrixFlow)

「ジョブスイートキャリア」(株式会社ステラス)

“1,000社以上の導入実績を有する中途採用向け採用管理システムです。20年以上の採用管理経験を活かし、利用シーンを考え抜いた操作性、採用業務を熟知したサポート力や安全性が強みです。”

株式会社ステラスの採用管理システムである「ジョブスイート キャリア(JobSuite Career)」は

  • 募集職種ごとの応募進捗管理・集計
  • 様々な応募ルートの一元化
  • 部門選考官への選考依頼・結果回収

などを簡単な操作で実現し、採用業務の生産性を飛躍的に向上させる採用管理システムです。

  • いかに日常的な業務をストレスない操作で行えるか
  • 部門選考官とタイムリーに情報共有しながら選考を推進できるか

を採用実務担当者の目線で追求し、使いやすく、軽快な『ずっと使える』システムとして、大手企業からスタートアップまで幅広い業種・規模の企業で使われています。

公式HP:採用管理システムのロング&ベストセラー「ジョブスイート キャリア」 (jobsuite.jp)

「HRBrain」シリーズ(株式会社HRBrain)

株式会社HRBrainの「HRBrain」シリーズは以下の5つのサービスが特徴です。

  • HRBrain タレントマネジメント
  • 組織診断サーベイ
  • 人事評価
  • 労務管理
  • 社内向けチャットボット

これにより、人事業務の効率化から人材データの一元管理・活用までワンストップで実現します。

公式HP:HRBrainタレントマネジメント | タレントマネジメントクラウド | HRBrain

「HR Flow」(株式会社MatrixFlow)

株式会社MatrixFlowの「HR Flow」は、退職リスク予測をはじめ、人事領域の指標を予測する際に利用できる、AIサービスです。

従来、人事部の担当者が分析していた業務が自動化されることにより、業務負荷の低減が期待されます。

また、AIによる分析結果より、隠れた指標が顕在化することにより、より効果的な退職抑止施策の立案に貢献することが期待できます。

公式HP:退職リスク予測などの人事領域に特化したAIサービス「HR Flow」をリリース | MatrixFlow

業務効率化には人事部門でもDX化が重要

今回、人事領域でのDX化の事例をもとに、退職予想や人事評価のDX化のポイントについてご紹介しました。
DXに限らず、企業の変革は一朝一夕では実現できないものでしょう。そのため、すべて自社内のリソースで完結させず、外部ツールを自社でも導入できないか?または内製化する際は外注することなども視野に入れ、周囲を巻き込み長いスパンで全社的に推進していくことが大切です。

今日から一歩ずつ人事領域のDX化をスタートし、「データ」を利活用した「攻め」の人事戦略を目指してみてはいかがでしょうか。

コラムを書いたライター紹介

真南風文藝工房

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編集者・ライター・サイエンスコミュニケーター・工学修士(航空宇宙学)
自動車メーカーでの先行開発エンジニアを経験した後、理系教科書編集(高校数学・中学校理科教科書編集)職に転向。近年は、サイエンスライティングに加え、理系・元エンジニアとしての経験を活かし、大学院生向け就職活動サイトコラム執筆・AI関連企業広報ライティングなど、幅広い分野での執筆活動に取り組んでいる。

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