【事例付き】ニューロダイバーシティ採用とは? いま世界中で注目を集める理由


「ダイバーシティ」という言葉は、近年の採用市場では欠かせない価値観になってきています。そんなダイバーシティのなかでも「ニューロダイバーシティ」という考え方が広まりつつあるのはご存知でしょうか。

今回は、そんなニューロダイバーシティを採用活動に取り入れる方法について解説します。合わせて、先進的な取り組みを行う各社事例も紹介しますので、ぜひ最後までご覧ください。

ニューロダイバーシティとは?

ニューロダイバーシティは、「Neuro(脳・神経)」と「Diversity(多様性)」を合わせた言葉です。

自閉スペクトラム症やADHD、統合運動障害などを能力の欠如や優劣ではなく、人間の多様性の一つとして捉え、相互に尊重し、社会のなかで活かそうとする考え方を指します。

ニューロダイバーシティはなぜ注目されている?

近年、ニューロダイバーシティの考え方を採用に活かす企業が増えています。その理由は、自閉スペクトラム症やADHDなどの障害を持っていると診断された方のなかには、優れた集中力や分析的思考能力があり、環境さえ整えればプログラミングなどで力を発揮する可能性があるためです。

このような背景から、シリコンバレーに拠点を置く世界的なIT企業などでは、早い段階からニューロダイバーシティ採用が始まっています。

また、以前から叫ばれている障がい者雇用問題などもあり、日本においても徐々に注目度が高まっている考え方といえるでしょう。

ニューロダイバーシティ採用の具体例

ニューロダイバーシティ採用の具体例を3つご紹介します。

Microsoft

Microsoftは、ニューロダイバーシティによって採用する人物が「革新的な思考」と「創造的なソリューション」で労働力を強化するという信念に基づき、独自の採用プログラムを構築しました。

このプログラムでは、「作業性」「面接準備」「スキル評価」に焦点を当てた採用プロセスが用意されています。そのなかで数日かけてMicrosoftで働くことの意義を学んだり、ニューロダイバーシティのプログラムを通じて雇用された先輩社員と面会したりする機会が設けられます。

数日にわたる採用プロセスによって、従来のプログラムでは自身の強みを発揮できなかったニューロダイバーシティ人材を評価しやすくなりました。

引用元:Microsoft Global Diversity and Inclusion
https://www.microsoft.com/en-us/diversity/inside-microsoft/cross-disability/neurodiversityhiring

デジタルハーツ

デジタルハーツは、ゲームなどの機器の不具合を探し出す「デバッグ」を専門とする日本のIT企業です。

デジタルハーツのスタッフには、引きこもり状態にあった人などの未就業者が多くいます。そのなかには、発達障害などを抱える人も少なくありません。一方、長年ゲームなどの機器に慣れ親しんでいることから、バグを見つけるという緻密さが要求される仕事への適性が高いことがわかりました。

また、デジタルハーツでは、まずは時給制のアルバイトから始まり、バグを多く見つけられるスタッフは契約社員や社員へと昇格するというスタンスを取っています。引きこもり暦の長かった人も無理なく働き始められるという点でも、ニューロダイバーシティ採用の好事例といえるでしょう。

引用元:

DIAMOND online 従業員の半数がフリーターや引きこもり経験者、上場企業で起きた人材再生の奇跡
https://diamond.jp/articles/-/152913

第308回NRIメディアフォーラム
https://www.nri.com/-/media/Corporate/jp/Files/PDF/knowledge/report/cc/mediaforum/2021/forum308.pdf?la=ja-JP&hash=FC080EBB30D008E42C64626993EF00D93E87AC95

アクサ生命保険株式会社

アクサ生命は、「チャリティではなく、チャンス」という方針に基づき、ニューロダイバーシティ採用に取り組んでいます。

障害の有無を問わず会社の戦力として重用し、意義のある業務機会を提供していることが特長です。現在では、多くの障害を持つ社員がさまざまな部門・職種で活躍しています。

また、手話でのコミュニケーションが日常的に行われたり、ガイドドッグを連れた社員がいたりと、障害のある社員が安心して能力を発揮できる環境整備・社員教育にも力を入れています。

引用元:アクサ生命 インクルージョン&ダイバーシティへの取り組み
https://www.axa.co.jp/recruitment/career/ourworkingstyle/diversity/

ニューロダイバーシティ人材を雇用するための採用プロセス

ニューロダイバーシティ人材を採用するには、採用プロセスを大きく見直す必要があるでしょう。

面接や書類選考を中心とした既存の採用システムでは、ニューロダイバーシティ人材の能力を正しく評価することはできません。面接などで要求されるコミュニケーション力などは、発達障害者の苦手分野であるためです。

しかし、プログラミング実習をはじめとした「実際に働くシミュレーション」を行った場合、このような人材が働けることがわかります。

したがって、ニューロダイバーシティの採用では数週間のインターンシップなどを実施し、応募者の育成をしながらスキルや適性などを評価することがおすすめです。インターンシップを実施すれば、採用後のミスマッチも減らすことができるでしょう。

【まとめ】ニューロダイバーシティ人材の採用について

今回はニューロダイバーシティ人材の採用について解説しました。

日本においても、周囲の理解不足や採用システムとの不一致により、力を発揮できずにいる発達障害者は数多くいます。ニューロダイバーシティに注目した採用活動は、このような埋もれた人材を発見する足掛かりとなるでしょう。今回取り上げた事例を参考にして、採用活動にニューロダイバーシティの観点を盛り込んでみてはいかがでしょうか。

コラムを書いたライター紹介

サカモトケンタ

プロフィールはこちら

フリーランスWebライター/Webディレクター
Webライターとしては記事執筆のほか採用サイトなどのライティング、WebディレクターとしてはHPやLPの制作を行っています。
マーダーミステリー・TRPGにハマっています。

関連コラム

コメントはこちら

一覧へ戻る