26卒採用の市場感と動向、27卒採用プレ期間の動向予測を解説


27年度の採用が目前と迫る中、26卒採用の市場感や動向を振り返っておきたいと考える企業の採用担当者も多いのではないでしょうか。また、27卒採用に向けて情報収集を始めている採用担当者もいるかと思います。

そこで今回は、26卒採用の市場感と動向、および27卒採用プレ期間の動向予測を解説します。

26卒採用の市場感

株式会社リクルートが公表した「就職プロセス調査(2025年卒)2024年12月1日時点 内定状況」によると、大学3年生の2月1日時点の内定率は、年々増加傾向にあり、25年卒学生においては、23.9%でした。

 

引用:株式会社リクルート「就職プロセス調査(2025年卒)2024年12月1日時点 内定状況」

25卒採用では2月1日時点ですでに約4人に1人の学生が内定を獲得しており、多くの企業が早期選考を実施し、学生の確保に努めている様子がうかがえます。採用選考の早期化が前提となっている26卒採用においては、2月1日時点で内定を獲得している大学3年生の割合はさらに増えると予想されます。

一方で早期選考に対して学業との両立に不安を抱く学生が増えていることから、企業は、学生の学業と就職活動との両立に配慮する姿勢が求められることを理解しておきましょう。

26卒学生の就職活動動向

株式会社マイナビが実施した「マイナビ2026年卒大学生 インターンシップ・就職活動準備実態調査(12月)」によると、12月単月のインターンシップおよび仕事体験の参加率は56.1%であり、就職活動に向けて本格的にキャリア形成活動を開始する学生が増えています。

引用:株式会社マイナビ「マイナビ2026年卒大学生 インターンシップ・就職活動準備実態調査(12月)」

しかし、24年卒や25年卒の学生と比較すると参加率は低く、すでに夏の時点でインターンシップや仕事体験への参加を終え、選考に進んでいる学生も一定数いると考えられます。

1月以降は、学生も選考を意識し始めることからインターンシップや仕事体験に参加する学生の割合は減少するでしょう。新たに出会える学生の数が減るため、企業は現時点で接点を持つ学生との関係構築に注力し、選考まで関係性を維持できるよう努めましょう。

また、インターンシップの位置づけを問う設問では、「適職を知るための機会(59.6%)」と回答した学生が最も多く、「就職活動に向けた準備の場(57.2%)」の項目が続きました。

引用:株式会社マイナビ「マイナビ2026年卒大学生 インターンシップ・就職活動準備実態調査(12月)」

自分のキャリアの解像度を高めたり就職活動に向けて適職を探したりすることを目的にインターンシップや仕事体験に参加する学生が多いことから、キャリアを考える機会を得られるようなプログラムの提供が、学生の満足度を高める上で非常に重要になるでしょう。

また、株式会社マイナビが24卒学生を対象に実施した「入社半年後調査」では、2日以上にわたって開催されるインターンシップもしくは仕事体験に参加した学生は、不参加や1dayイベントと比較して現在の勤務先に対して高い満足感を得ています。

引用:株式会社マイナビ「2024年卒 入社半年後調査」

以上の調査結果より、実際の現場で実務を体験できるプログラムや会社(工場・職場)見学の機会などを取り入れることや、2日以上にわたってじっくり学生に企業や仕事の理解を促す環境を設けることが重要だと言えるでしょう。

企業の26卒採用動向

株式会社マイナビでは、以下の3つの項目において、過去2年間にわたり連続で数値の増加がみられました。

  • プレサイト掲載社数
  • プレサイトコース掲載社数
  • 受付中プレサイトコース数

参考:マイナビ2026 12月月次レポート

イベントの開催は、1月開催が最も多く、実施日数別では「1日」が前年比142%、「1週間程度」が前年比138%となっており、単日イベントのみならず長期イベントにも注力する企業が増えていることがわかります。また、掲載社数や受付中プレサイトコース数の全体数が増加していることから、前年と比較して採用競争はより一層激化するでしょう。

参考:マイナビ2026 12月月次レポート

そのため、企業は採用手法の多様化に努めたり学生との丁寧なコミュニケーションを意識したりするなど、学生との接点機会の創出と他社への流出防止に努めましょう。

27卒採用プレ期間の動向予測

27卒採用のおおよそのスケジュール感は、次のとおりです。

  • 2025年4月頃:27卒対象のインターン情報公開、およびエントリー受付開始
  • 2025年7月~9月:夏インターンシップ・仕事体験の実施
  • 2025年10月~12月:秋季・冬季インターンの募集・開催
  • 2026年3月:就職情報解禁
  • 2026年6月:面接解禁

26卒採用の市場感でも紹介したとおり、新卒採用は年々早期化しており、学生の動き出しも早くなっています。そのため、企業は26卒採用のプレ期の結果を振り返り、インターンシップ情報の公開やエントリー受付の時期を早めるべきか、今のうちから検討し始めておきましょう。

ただし、何の戦略もなくプレ期の活動を早めただけでは、期待する成果が得られないこともあります。単に採用活動スケジュールを前倒しにするのではなく、年末や年明け以降までどのようにして学生との接点を繋げていくのか、具体的な施策や取り組みについても戦略を立てておく必要があるでしょう。

27卒採用プレ期間に向けた取り組み

採用活動の前倒しが難しい企業に関しては、情報発信に注力するのも1つの方法です。
最近では、就職活動情報の収集にSNSを活用する学生も増えており、SNSを用いた情報発信によって早期から企業の認知を広げられることもあります。

株式会社マイナビが実施した調査では、SNSで企業に発信してほしい情報として「1日の仕事の様子」「福利厚生の詳細」「会社の雰囲気がわかる動画」などの回答がありました。多くの学生は、求人サイトでは把握しづらい企業文化や、直接質問しづらい福利厚生や給与、昇給制度に関する情報を求めているようです。

一方で「魅力的な情報しか発信していない」「新卒社員のダンス」など、偏った情報の発信や趣旨から大きく逸脱した情報は、学生からマイナスイメージを持たれてしまう恐れがあります。

引用:2026年卒大学生インターンシップ・就職活動準備実態調査(12月)

情報感度が高いZ世代に対しては、透明性の高い情報発信に努めるとともに、情報発信の目的がバズ狙い(=閲覧数や「いいね」の増加)に寄らないよう留意しましょう。

まとめ

早期選考に対して学業との両立に不安を抱く学生が増えていることから、企業は、学生の学業と就職活動との両立に配慮する姿勢が求められることを理解しておきましょう。

また、27卒採用に関しては、26卒学生の声を反映したコンテンツ制作や情報発信が採用成功の鍵となります。採用を早期化する企業は増加すると予想されますが、先行して学生が求める情報の発信に努めるのも有効です。情報感度の高いZ世代に対しては、SNSやダイレクトリクルーティングサービスなどを用いて、自社の魅力を広めるのも手法の一つです。

最新の市場感や動向を参考に自社に合った取り組み方法を模索しながら、26卒採用・27卒採用を成功に導きましょう。

コラムを書いたライター紹介

日向妃香

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採用系コンサルタントとして企業の採用サポート・採用戦略構築・採用ノウハウの提供を行いながらライターとしても活動中。
得意分野は新卒採用とダイレクトリクルーティング。

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