サービス業界における中途市場の現状は?代表的業界のデータから解説


未経験から転職しやすいのが、サービス業界の特徴です。しかし一口に「サービス業界」といってもその業種は幅広く、どの業界を目指すべきか悩んでいる方も多いのではないでしょうか。また、業界ごとの特徴を理解できても、中途市場までは把握しきれていない採用担当者もいるでしょう。

今回は、サービス業界における代表的な業種を紹介しながら、各業界の中途市場について紹介します。サービス業界への転職希望者を迎え入れたいと考えている企業担当者はぜひ本記事の内容を参考にしてください。

サービス業界における代表的な業種とは?

今回紹介するサービス業界における代表的な業種は、飲食業界・小売業界・宿泊業界の3つです。それぞれの業種の特徴は以下のとおりです。

飲食業界

  • 食品の調達、加工、調理、飲食品の提供を行う業界
  • 研究開発、販売促進、店舗スタッフなどさまざまな職種がある
  • 主な業種はレストラン、カフェ、ファストフード、居酒屋、回転寿司、中食など

小売業界

  • メーカー企業が製造した製品を仕入れ、保管・管理の後に市場へ流通させる業界
  • 広義には卸売、倉庫、運送なども該当
  • 販売スタッフ、バイヤー、スーパーバイザー、店長など職種は多岐にわたる

宿泊業界

  • ホテル、旅行などを取り扱う業界
  • ホテル業界の主な仕事はホテルクローク、宿泊予約、コンシェルジュ、企画、バンケットなど
  • 旅行業界の主な仕事はカウンターセールス、だいたいセールス、企画、仕入れ、手配、ツアーコンダクターなど

各業界の中途市場について

ここでは、各サービス業界の中途市場について解説します。

飲食業界の中途市場

飲食業界の中途市場は、コロナ禍の影響により2020年から2021年にかけて大幅に減少しました。その後2022年からは新規求職者数が上昇し、中途市場におけるニーズは高まったといえます。

全職種における有効求人倍率の平均が1.35倍に対し、飲食業界の倍率は3.27倍と高めです。特に東京都の倍率は5.29倍と、コロナ禍の影響は現段階でほとんどないと判断できます。

また飲食業界で主に取り入れられる採用手法は、転職サイトやSNSの活用、社員紹介などです。店舗スタッフなどは未経験可の募集も多いため、幅広い手法で転職活動を進めているといえます。

気になる待遇面ですが、平均年収はおよそ345万円。全職種平均が409万円であることから、年収は低めです。平均残業時間が8.9時間、平均休日数が97.1日と、いずれも全職種平均より低い業界といえます。

待遇面で優遇されていなくても、やはり未経験で転職しやすい点は飲食業界の魅力です。そのことから転職倍率も高めで、採用競争自体も激化しています。業界としても、昨今注目されているSDGsの取り組みや食品ロスの削減を意識した取り組みを進めているため、新たな働き方が徐々に浸透している業界のひとつです。

しかし、やはり待遇面の見直しを課題とする業界でもあります。今後、給与や休日などを見直し、求人原稿や採用手法も合わせて改善することで、より採用の幅を広げるべき業界だと認識しておきましょう。

小売業界の中途市場

小売業界も、コロナ禍の影響を受けて一時的に採用が思うようにいかなかった業界のひとつです。有効求人倍率を見てみると、2020年から2021年にかけては他の業界と同様に下降していました。全職種の平均有効求人倍率が1.35倍に対し、小売業界は1.98倍と高めです。しかし、平均倍率に近いため、比較的中途採用での入社が実現しやすい業界といえます。

転職サイトや自社HP、SNSを活用した一般的な採用活動に合わせ、アルバイトからの社員登用が多いのも小売業界の特徴です。

小売業界の待遇相場は、平均年収が351万円、平均残業時間が16.4時間、年間休日の平均が105.7日です。全体的に平均値に近い数字ではあるものの、未経験者の採用もしていることから下限給与が19万円と低めです。

そんな小売業界では、各種システムのAI化や、ネットショッピング以上に店舗販売を強化する動きが見られます。また、採用したい人材の幅が広がっていることを「課題」とし、教育制度の強化や待遇の改善、ブランドイメージの届け方を再考する企業も増えています。

小売業界への転職を目指すのであれば、業界における採用の動き・変化をキャッチしておくことが大切です。

宿泊業界の中途市場

宿泊業界の有効求人倍率は、職種によって異なります。主な職種ごとの倍率は以下のとおりです。

  • 旅館、ホテル支配人:2.26倍
  • 旅館、ホテル、乗り物接客員:4.01倍
  • 飲食物支給係:7.16倍

全体的に、平均倍率より高い業界だということがわかります。採用ハードルが高い職種が多いものの、平均年収は328万円と決して高くないのも特徴です。2021年にはコロナ禍の影響を受けて宿泊者数が50%減り、下降傾向にある業界とイメージする方も多いでしょう。

一方で、コロナの収束を見込んで新たなホテルを開業する企業があったり、観光客の増加が見込めたりと、業界としての業績が右肩上がりになることも予想できます。そのため、将来性の観点でいえば、宿泊業界は魅力的です。

まとめ

今回は、サービス業界における代表的な業種である飲食業界・小売業界・宿泊業界に焦点を当て、それぞれの中途市場について紹介しました。業界ごとに、有効求人倍率や採用手法、待遇面、今後の動きが異なります。サービス業界への転職者を迎え入れたいと考えている企業担当者は、各業界の動きを正確に把握しつつ、自社を客観的に分析したうえで採用体制を整えてみてはいかがでしょうか。

コラムを書いたライター紹介

木村竜太朗

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Webライター兼コンテンツディレクター。複数メディアで執筆しながら、ライター管理やコンテンツディレクションを担当しています。Kindleで「月の収入を2倍にするWebライティング術」出版しています。

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