【人事担当者向け】オープン・カンパニーの特徴とインターンシップとの違いを解説
2025年卒学生からインターンシップの定義が革新され、4つのプログラムに分類されるようになりました。中でもオープン・カンパニーは、情報提供と教育を目的に据えたキャリア形成支援に位置付けられています。
自社の認知度向上や学生の職業理解を深める施策として有効と言われるオープン・カンパニーですが、詳しい概要やインターンシップに分類される他のキャリア形成支援との違いが分からないと悩む人事担当者もいるのではないでしょうか。
そこで今回は、オープン・カンパニーの特徴を説明すると共に、インターンシップとの違いを解説します。
参照:文部科学省『令和5年度から大学生等のインターンシップの取扱いが変わります』
オープン・カンパニーとは?
ここでは、オープン・カンパニーの概要と特徴を解説します。
オープン・カンパニーの概要
インターンシップに関する基本的認識や推進方策を取りまとめた「インターンシップの推進に当たっての基本的考え方」(文部科学省、厚生労働省及び経済産業省合意)では、オープン・カンパニーを下記の通り定義しています。
“企業・就職情報会社や大学キャリアセンターが主催するイベント・説明会、セミナー・職場見学会等”
引用:内閣官房『2025(令和7)年度卒業・修了予定者等の就職・採用活動に関する要請等について』
企業が主催する事業や業務に関する説明会、職場見学会、社員による講演会や交流会、職場見学などがプロジェクトの一例として挙げられます。また大学のキャリアセンターや就活情報サイトなどが主催するイベントもオープン・カンパニーに含まれることがあります。
オープン・カンパニーの特徴
オープン・カンパニーの大きな特徴は、自社や業界に関する情報を学生に提供することを目的に掲げている点です。企業や業界に関する情報提供を通じ、学生のキャリア形成支援の一助になることを目指します。
企業の採用活動とは趣旨が異なる他、学生への教育のために実施されるプログラムであることを理解しておきましょう。
なお、オープン・カンパニーは学年の制限が設けられていないため、大学1年生から参加を募ることができます。そのため、企業にとっては低学年層との接点機会を創出できる利点があります。また開催時期も限定されていないため、部活動や学業・研究との両立に配慮した開催が可能になるでしょう。
引用:一般社団法人 日本経済団体連合会『採用と大学教育の未来に関する産学協議会2021 年度報告書』
オープン・カンパニーとインターンシップの違い
一般社団法人 日本経済団体連合会が公表している『採用と大学教育の未来に関する産学協議会 2021年度報告書』に明記されているタイプ1からタイプ4までの各類型の特徴から、オープン・カンパニーとインターンシップには、大きく次の4つの違いがあると読み取れます。
- 対象学生
- 取得した学生情報の採用活動への利用可否
- 所要日数
- 就業体験の有無
本章では、上記項目について、オープン・カンパニーとインターンシップの違いを解説します。
参考:一般社団法人 日本経済団体連合会『採用と大学教育の未来に関する産学協議会2021 年度報告書』
対象学生
オープン・カンパニーの対象は年次不問であるのに対し、インターンシップと称して実施できる『タイプ3:汎用的能力・専門活用型インターンシップ』の対象は、卒業・修了年次または卒業・修了前年次と定められています。また同じく、インターンシップと称して実施できる『タイプ4:高度専門型インターンシップ』の対象は、対象が修士課程学生に限定されます。
取得した学生情報の採用活動への利用可否
オープン・カンパニーでは、取得した学生情報を採用活動に利用できません。その点、インターンシップに該当するタイプ3・4は、取得した学生情報を卒業・修了前年次3月以降は広報活動に、卒業・修了年次6月以降は採用選考活動に活用できます。
所有日数
所要日数にも違いがあり、オープン・カンパニーは1日・半日など、ごく短期間で終了する点が特徴です。一方、インターンシップは、最低でも5日以上の開催が必須となります。なおインターンシップの所要日数は、実務体験のプログラムによって異なります。
就業体験の有無
就業体験の有無もオープン・カンパニーとインターンシップとの大きな違いの1つです。
オープン・カンパニーでも就業体験を提供することは可能ですが、就業体験の実施は任意となります。一方、インターンシップは、就業体験の提供が必須となり、学生が自分の適性を見つけたり、キャリアを考えたりすることを主軸に置いたプログラムの提供が求められます。
『タイプ3:汎用的能力・専門活用型インターンシップ』には、分野を問わずあらゆる学生が参加できる「汎用的能力活用型」と特定分野の専門性に長けた学生を対象とする「専門活用型」の2つのプログラムがあります。また、『タイプ4:高度専門型インターンシップ』には、文部科学省が策定した実施方針に基づいて実施される、理系大学院生を対象とした有給インターンシップ「ジョブ型研究インターンシップ」があります。
(別途、タイプ4には検討中段階の「高度な専門性を重視した修士課程学生向けのインターンシップ」もあり)
参考:文部科学省『ジョブ型研究インターンシップ(先行的・試行的取組)実施方針(ガイドライン)』
オープン・カンパニー開催時期
オープン・カンパニーは、通年で開催できるプログラムですが、学生が参加しやすい時期に実施すると多くの応募を期待できます。
株式会社学情が実施した『インターンシップ/オープン・カンパニーに関する調査』では、7月・8月にオープン・カンパニーの開催を予定している企業が半数を占めました。
引用:株式会社学情『2024年卒採用と比較して、 インターンシップなどの広報開始・開催時期を前倒』
7月・8月は、学生も夏休みに入るため、多くの参加者を集められるでしょう。また、より多くの学生が参加できるよう、開催曜日や時間帯を分散させることもおすすめです。
6月はオープン・カンパニー開催に向けて、プログラム内容のブラッシュアップや参加スタッフの選定、広報活動の準備を進めましょう。
まとめ
オープン・カンパニーは、学生のキャリア教育を目的に掲げ自社や業界の情報を提供する、キャリア形成支援の1つです。
インターンシップと異なる点として、次の4つの項目が挙げられます。
- 対象学生
- 取得した学生情報の採用活動への利用可否
- 所要日数
- 就業体験の有無
インターンシップとの違いを理解することで、オープン・カンパニー運営に向けた骨子を形成できるでしょう。またオープン・カンパニーの利点は、開催時期や対象学年、所要日数の定めがない点です。オープン・カンパニーの内容を工夫することで、自社に対し興味・関心を抱く学生を増やすことも可能になるでしょう。
新卒採用をより有益な活動にするためにも、オープン・カンパニーの特徴を理解し、利点をうまく活かしてみてください。
コラムを書いたライター紹介
日向妃香
得意分野は新卒採用とダイレクトリクルーティング。
コメントはこちら