母集団形成のメリットと具体的な手順・手法をご紹介


企業が採用活動を行う際、「募集を開始したものの、応募者数が伸び悩む」という課題に直面することがあるでしょう。しかし、ただやみくもに応募人数をふやそうと思うのではなく、「母集団形成」を意識することが重要です。これにより、自社が目指す人材を効率的に採用することが可能となります。

本記事では、採用活動において母集団形成の効果を最大限に引き出し、優秀な人材を獲得するためのヒントをお伝えします。

母集団形成とは

母集団形成とは、求職者を集めることを指します。採用活動の実施を積極的に周知し、自社に興味・関心を持つ人材を集めることが具体的な方法です。計画通りに採用活動を進めるためには、母集団形成が必須です。とくに、業界全体が売り手市場である場合、求職者よりも人材を募集している企業の数が多いため、母集団が形成できなければスムーズな採用につながりません。

母集団形成が重視される背景

母集団形成が重視されるようになった背景としては、少子高齢化とそれに合わせた大手企業の採用方法の変化が挙げられます。

まず、少子高齢化により、生産年齢人口が減少していることが一つの理由です。日本では、出生率の低下や高齢化が進んでおり、労働力人口が減少しています。このような状況下で、企業が新たな人材を確保するためには、既存の労働者を活用する必要があります。企業が従業員を採用・育成し、長期的な雇用を提供することで、人材の確保と定着を図ることができます。

また、大手企業の採用方法の変化も母集団形成の重要な要素となっています。近年、大手企業は多様な人材を求める傾向がありますが、同時に競争も激化しています。そのため、母集団形成は、企業が応募者の中から最適な人材を見極めるために、採用活動を行う際に有効な手法となります。

母集団形成のメリット

母集団形成の以下のメリットについて、ご紹介します。

  • 人材の確保と選定の手間を省力化
  • 意図したターゲット層にアプローチしやすい
  • 社員の定着率が向上する

人材の確保と選定の手間を省力化

母集団形成を活用することで、人材の確保と選定の手間を大幅に省くことができます。通常、採用活動では個別の応募者に対して時間と労力を割かなければなりません。しかし、母集団形成を行うことで、事前に求める人材像に合致する候補者をスクリーニングし、母集団として取り込むことができます。これにより、採用担当者は対象の候補者を効率的に選定が可能です。

意図したターゲット層にアプローチしやすい

母集団形成を行うことで、意図したターゲット層に対してより効果的にアプローチすることができます。具体的な目標や求める人材像を明確に設定し、それに合わせた応募者を集めることで、採用活動の結果が向上します。また、母集団形成を通じて、特定の人材プールにアプローチすることも可能です。例えば、特定の業界や職種に興味を持っているターゲット層に集中的にアプローチすることができます。

社員の定着率が向上する

母集団形成を行うことで、採用した人材の定着率を向上させることができます。なぜなら、母集団形成によって求める人材像を明確にし、それに合致する候補者を選別することができるからです。結果として、採用された人材は組織のカルチャーや価値観に合致するため、より長期的な関係を築くことができます。社員の定着率が向上することで、組織の安定性や生産性も向上するでしょう。

母集団形成の具体的な手順

母集団形成の具体的な手順は以下の通りです。

  • ターゲットの明確にして、分析する
  • 適切な手段や媒体の選定
  • 効果的なアプローチ方法の構築

ターゲットを明確にして、分析する

母集団形成を成功させるためには、求める人材のターゲットを明確にすることが重要です。まずは、求める人材像を具体的に定義しましょう。例えば、経験豊富なエンジニアを募集する場合、必要なスキルや経験年数、チームでの協調性などを明確にすることが重要です。
次に、既存のスタッフや市場動向を分析しましょう。既存のスタッフはどのような特徴を持っているのか、市場で求められている人材のトレンドは何かを調査しましょう。この分析を通じて、求める人材の特徴をより具体的に捉えることができます。

適切な手段や媒体の選定

母集団形成の次のステップは、適切な手段や媒体を選定することです。これには、求人広告や採用イベント、SNSの活用などが含まれます。求める人材のターゲットに合わせて、どの手段や媒体を利用するかを慎重に選びましょう

例えば、若年層をターゲットとする場合は、SNSを活用することが効果的です。一方で、特定の業界の専門家を募集する場合は、業界関連の専門採用ウェブサイトを立ち上げたり、オンラインイベントへの参加を促したりするのが有効です。求める人材の特徴や行動パターンに合わせて手段や媒体を選定しましょう。

効果的なアプローチ方法の構築

母集団形成における最終的なステップは、効果的なアプローチ方法を構築することです。一般的には、興味を持って応募する可能性のある候補者に対して、選考プロセスに進むようアプローチすることが効果的です。

具体的な方法としては、興味を引く求人広告の作成が重要です。実際にどのような仕事内容なのかはもちろん、募集に至った背景や求めるスキルは具体的に提示しましょう。求人媒体は、予算が許せば、同時期に形態の違った媒体に掲載すると応募者側の目につく機会が多くなり応募されやすくなります。

また、候補者とのコミュニケーションを円滑にするために、迅速な応募への対応や選考プロセスの透明性を重視しましょう。

母集団形成の具体的な手法

母集団形成における具体的な手法は求人広告や人材紹介などがありますが、その他にも以下の手法も一例として紹介します。

  • ダイレクトリクルーティングの活用
  • リファラル採用の導入
  • ソーシャルリクルーティングの実施

順にみていきましょう。

ダイレクトリクルーティングの活用

ダイレクトリクルーティングとは、求人広告やエージェントを通さずに、直接求職者へアプローチする方法です。具体的には、自社ウェブサイトやSNSを活用して求人情報を公開し、関心を持っている人材に直接アプローチする手法です。ダイレクトリクルーティングを活用することで、選考プロセスをスピーディーに進めることができます。

リファラル採用の導入

リファラル採用とは、現在の従業員や関係者を通じて新たな人材を推薦してもらう方法です。社内や業界のネットワークを活かし、優秀な人材を紹介してもらうことにより、質の高い応募者を集めることができます。また、既に従業員との関係性があるため、採用後のチーム内コミュニケーションも円滑に進むことが期待できます。

ソーシャルリクルーティングの実施

ソーシャルリクルーティングとは、SNSやプロフェッショナルネットワーキングサイトなどのソーシャルメディアを活用して、求人情報を発信することです。特に若い世代やIT業界など、デジタルに精通した人材をターゲットにする際に効果的です。ソーシャルメディアを通じて情報を拡散することで、多くの人にアプローチすることができます。

母集団形成を取り入れ、確度の高い採用活動を実行しましょう

今回は、母集団形成の概要から手順まで解説しました。具体的な手法として、求人広告や人材紹介もそうですが、ダイレクトリクルーティング、リファラル採用、ソーシャルリクルーティングなども効果的です。採用活動の成果を定量的に評価しながら、目標とする人材をスムーズに集めるために、ぜひ積極的に母集団形成を取り入れてみてください。

コラムを書いたライター紹介

真南風文藝工房

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編集者・ライター・サイエンスコミュニケーター・工学修士(航空宇宙学)
自動車メーカーでの先行開発エンジニアを経験した後、理系教科書編集(高校数学・中学校理科教科書編集)職に転向。近年は、サイエンスライティングに加え、理系・元エンジニアとしての経験を活かし、大学院生向け就職活動サイトコラム執筆・AI関連企業広報ライティングなど、幅広い分野での執筆活動に取り組んでいる。

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