「外国籍人材雇用」を導入する前に押さえておくべき諸手続きや注意点を解説
現在の日本社会の生産年齢人口(15〜64歳)は、少子高齢化社会を背景に減少の一途を辿っています。総務省の統計人口情報によると、2019年度1月1日時点で約7,531万7,000人と発表されています。
総人口が1億人を下回る約30年後の2050年には、4,930万人まで減少すると予測されています。減少し続ける生産年齢人口を補うため、各企業での「外国籍人材雇用」は必須と言えるでしょう。
実際に、外国籍人材の雇用を検討しているが、「具体的な進め方がわからない」「どんな準備・知識が必要なのか」と悩んでいる採用担当者の方もいるのではないでしょうか。
そこで、この記事では外国籍人材雇用の諸手続きや注意点を解説します。
参考:総務省 統計人口情報
外国人採用の基本的な手続き
実際に外国人労働者外国籍人材を雇用するにあたって、必要となる手続きを解説します。
- 外国人雇用管理指針の基本的な考え方
- 労災保険の手続き
それぞれ詳しく見ていきましょう。
外国人雇用管理指針の基本的な考え方
事業主は外国籍労働者について
- 労働関係法令及び社会保険法令は国籍にかかわらず適用されるため、これらを遵守すること
- 外国籍労働者が適切な労働条件及び安全衛生の下、在留資格の範囲内で能力を発揮しつつ就労できるように、この指針で定める事項について、適切な措置を講ずること
1つ目は、労働基準法、労働安全衛生法、労働契約法、労働組合法などといった労働に関する基本的な法律、そして労災保険・雇用保険を中心とする「労働保険」、健康保険・厚生年金保険を中心とする「社会保険」などは国籍を問わず、日本人と同じように適用されることを示しています。
2つ目は、外国籍労働者は日本国籍労働者とは異なり、在留資格で認められた範囲内での就労の制限がありますが、範囲内での就労で最大限能力を発揮できるように、透明性や公正性を確保した人事管理制度や適切な生活支援が必要であることを示しています。
労災保険の手続き
労災保険は、適用事業所に使用されている労働者全員に適用されるため、在留資格に基づいて就労している場合はもちろん、資格外活動許可を得てアルバイトで就労している場合も適用対象になります。
この場合、たとえ不法就労の外国籍労働者であっても適用されます。
労災保険については、労働者の雇入れ、離職について個別の届出手続きは不要です。
労災保険料は、労働者に支払う給与額に労災保険料率を乗じて算出されます。労災保険料は業種によって異なり、具体的には以下の表をご参考ください。
労災保険は、雇用の際に仕組みと請求手続きの説明をしておくこと、実際に労働災害が発生してしまった場合に、労働者の請求手続きを十分にサポートすることが大切です。
外国人労働者を採用する時の注意事項
外国人労働者を雇用する際の注意点は「就業規則の記載事項で、定められた場所に記載すること」です。
就業規則の記載事項は、いかなる場合でも記載しなくてはならない「絶対的必要記載事項」と定めを設けた場合に記載する「相対的必要記載事項」があります。
絶対的必要事項は以下3点です。
- 始業及び終業の時刻、休憩時間、休日、休暇、労働者を2組以上に分けて交代制で勤務させる場合は、就業時転換に関する事項
- 賃金の決定、計算及び支払いの方法、賃金の締め切り及び支払いの時期、昇格に関する事項
- 退職に関する事項
絶対的必要事項は、トラブルやイレギュラーな事態が起こった時に必要です。必ず作成するようにしましょう。
外国人雇用は法律の理解が大切!
今回は、外国籍人材雇用の諸手続きや注意点を解説しました。
生産年齢人口が減る日本社会において、外国人労働者の雇用は必須ですが、今回ご紹介したようにさまざまな法律が存在します。
外国籍人材を雇用する前には法律をしっかり理解して、トラブルのないように備えましょう。
コラムを書いたライター紹介
八巻美穂
インターン生としてロサンゼルスのIT系コンサルティング会社で2年勤務後、塾講師として学習塾に新卒入社。メンタルダウンを経験し、フリーランスの道に。現在は、ビジネス系のSEOからキャリア系のインタビューまで幅広く執筆中。
コメントはこちら