優秀な人材を確保する|内定から採用までに人事担当者が行いたい5つのこと


「優秀な人材を採用したい」という思いはどの企業も同じです。昨今、人事担当者を悩ませているのが、内定辞退率の増加です。リクルートキャリア「就職みらい研究所」のデータ「就職プロセス調査 (2021年卒)」の【確報版】「2020年10月1日時点 内定状況」によると、2020年10月1日時点での就職内定辞退率は60%を超えています。せっかく時間と労力を割いて厳選し、採用を決めた人材を手放したくはありません。ここでは優秀な学生を採用するために、内定辞退を防止する有効な方法についてご紹介します。

 

内定者が辞退する理由

「他に希望していた企業の選考に通過した」「内定が決まった」などの場合を除き、考えられる理由には以下のようなものがあります。

選考時に企業に対して不信感を抱く

 求人情報や内定前に聞いていた条件と、内定後に提示された条件に食い違いがあるなど、企業の言うことが二転三転すると内定者は企業に対し不安を感じます。また、面接官や採用担当者の身なりや態度が悪かったり、説明会や面接の段取りが悪かったりすると、面接官や採用担当者に対して悪い印象を持たれてしまいます。企業自体のイメージも悪くなるため、内定辞退につながることがあります。

 その他には、面接が短時間で終わったり、淡々とした事務的な会話のみに終始したりなど、内定者に興味を持っていない態度で接してしまうと、内定者は「誰でもよかったのではないか」と感じてしまいます。

内定期間が長いために生まれる疑問や不安

 入社までの期間が長いと、「本当にこの企業でいいのか?」「もっと良い企業があるのでは?」といった考えに陥ることがあります。明確な理由はなく、ただ漠然と不安を感じているだけのケースも多いですが、内定辞退につながる可能性は少なくありません。また、その期間に友人や知人の内定先との比較や、インターネットなどでネガティブな情報に触れることで、内定者が抱える漠然とした不安に更なる悪影響を及ぼします。

内定者が辞退しやすい時期は6月

 内定辞退が最も多い時期は6月です。これは2016年に経団連加盟企業の選考開始時期が6月1日に変更されたことが要因です。大手企業に就職したいと考える学生たちが希望する企業から内定をもらうと、6月より前に内定していた企業へ辞退の連絡をするというケースがここ数年で増加しています。

参考:https://news.careerconnection.jp/career/general/36488/2/

内定の辞退を防ぐのに大切な「内定者フォロー」

なぜ内定者フォローが必要なのか

 マイナビニュース「就活終了した内々定者に聞いた、入社予定先を決めた後不安になった?」によると、60%以上の内定者が「入社前に不安になったことがあるか」の問いに対して「不安になったことがある」と回答しています。

不安を感じる理由は

1.社会への適応、会社・仕事への適応

2.明確な理由はなく、漠然とした不安

3.ネガティブな情報に触れてしまった

4.企業の雰囲気や人間関係

5.条件や待遇に対する不満

などがあります。

 内定者が不安を抱えたままだとネガティブな考えに陥ってしまい、結果として内定辞退を招くことにつながります。そのため、内定辞退を防ぐためには「内定者の不安を取り除くためのフォロー」が重要なのです。

第一希望の大手企業に打ち勝つために

 大手企業と差をつけるには、より手厚いフォローが有効です。大手企業は一度に大人数を採用するため、どうしてもフォローが手薄になってしまいます。少人数採用の利を活かして一人ひとりに手厚いフォローができれば、大手企業に内定者を取られず採用することも可能です。フォローの手厚さで大手企業と差別化を図り、優秀な学生を確保しましょう。

 では手厚いフォローで何を目指すべきか?もちろん不安を取り除いてあげることは重要です。加えて、有効なのが「この会社で働きたい」という前向きな考えを持ってもらうこと。入社した以降のビジョンに期待を持ってもらえると、内定者の入社意欲は高まります。

これらを踏まえ、内定者フォローでは具体的に何を行えばいいのでしょうか?

その具体的な方法を5つご紹介します。

内定から採用までに行いたい5つのこと

1.親身に相談できるメンターを用意する

 疑問や不安を相談できる窓口を用意しても、実際に相談するとなると内定者にとっては気が引けてしまいます。「なんでも相談してね」と一方的にメッセージを送るだけでは効果もあまり期待できません。そこで、有効な手段が個別にメンターを用意することです。一対一で継続して親身に触れ合い、信頼関係を築くことができれば内定者も本音で話してくれるようになります。内定者のいろいろな相談に乗ってあげることで、メンターに対する強い信頼、引いては企業に対する信頼感につながります。同時に疑問や不安も確実に解消してあげられます。これは少人数採用だからこそ取り組みやすい施策といえます。

2.懇親会や研修を行う

 「どんな社員と働くことになるのか」という点は、内定者の大きな関心事のひとつです。職場における人間関係に不安を持つ内定者も多いことでしょう。この不安を解消するためには、実際に会ってみるのが一番です。上司や先輩社員との接触機会を設け、漠然とした人間関係の不安を解消してあげましょう。この際、内定者を歓迎している雰囲気づくりが重要です。内定者が「自分を快く迎え入れてくれる」と感じれば、不安が解消されるだけでなく入社意欲も高まります。

また、同期となる他の内定者とも接触する機会をつくり、互いに交流を持たせることも有効です。不安や疑問をお互いに相談し合えることで、仲間意識を芽生えさせることもできます。内定辞退の確立を下げるには効果的な方法です。

3.企業側からの期待を示す

 採用時の評価をフィードバックし「なぜ他の人ではなくあなたがいいのか」を伝えましょう。ただ内定の旨を伝えられるより「なぜ自分が選ばれたのか」という理由を示されると、内定者は当該企業で働くことに対して自信を持つことができます。社長や役員クラスの人間と直接会って話をすることも効果的です。直接「○○君、期待しているよ、よろしくね」とひとこと声をかけるだけでも内定者の心をグッと掴めます。個人に向けて、きちんと言葉にして直接伝えることが大切です。

4.実際に仕事を体験させる

 OJTなどで実際に仕事を体験させてあげることも効果的です。仕事をちゃんとできるかという不安を解消するだけでなく、成功体験を得ることもできるので内定者は入社後の仕事に対して自信を持つことができます。仕事にやりがいを感じれば、入社意欲も高まります。

ここで大切なのは、程よい難しさの仕事をアサインすることと、確実に仕事を終わらせられるよう計画しておくことです。これにより成功体験はより印象的になります。また、ちゃんと褒めることも重要です。少しオーバーに褒めるぐらいがいいでしょう。

そして、企業側にとってもOJTなどの事前体験は、内定者に基本的なビジネスマナーを教育できるなどのメリットもあります。

5.過度な干渉を避ける

 最近では、プライベートを会社に邪魔されることを極端に嫌う風潮があります。そのため、過度に懇親会を行ったり研修を行ったりして内定者の生活に負担をかけてしまうと、入社後のライフスタイルに不安を感じさせる要因となります。特に内定者が学生の場合は、卒業前の課題や卒業旅行などの邪魔にならないように気を付けましょう。入社後のプライベートな時間を尊重する姿勢を示すことで安心感を与えることもできるため、適度な接触頻度になるよう計画することが大切です。

まとめ

「内定ブルー」という言葉もあるように、内定者は様々な不安に陥ります。その不安を放置すると内定辞退につながってしまうため、内定者フォローにより不安を解消させてあげることが必要です。また、少人数採用の利を活かして手厚いフォローに努め、内定者に自信と期待を持たせることも効果的です。大手企業との差別化を図り、「この企業で働きたい」と思ってもらうことができれば、他社に優秀な人材が流れてしまうことを防げます。

現在、どこの企業も人材が不足しています。優秀な学生を確保できるよう、ここであげた施策を参考に内定者をしっかりフォローし、内定辞退を防止しましょう。

コラムを書いたライター紹介

土方駿次

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操縦桿をペンに持ち替えフリーランスライターに転身した元公務員。ビジネス系、スポーツ系、セールスライティングから恋愛系記事まで幅広く執筆中。Twitterではちょっとした人気アカウントも運用中です。

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