効果的なスカウトメールとは?「苦戦する理由」から紐解く『スカウト採用のメソッド』


一昔前と比較して、転職はネガティブなイメージからキャリアを築く・新しい道を切り拓くというポジティブなものへと変化しました。また転職市場の活性化に伴い、能力ある人材や成長意欲に富んだ人材が新しいキャリアの構築を目指し転職を決意するようになりました。
しかし一方で、優秀な人材ほど『企業からのオファーを選定する』傾向がみられ、応募者が企業を選ぶ時代へと移り変わっています。

本記事をご覧の人事担当者の中にはスカウト採用を実施している方も多いかと思います。
しかし、「スカウトメールを配信しても反応が得られない」「面接を実施してもその後の進捗が芳しくない」という悩みを抱えている方も少なくないのではないでしょうか。
スカウト採用では、ファーストオファーとなるスカウトメールの本質・構造を理解しなければ、本当に採用したいターゲットから自社を選んでもらうことはできません。
本記事では、スカウト採用を成功させるために押さえておくべき考え方やポイントを4つにまとめてご紹介します。

 

スカウト採用に苦戦する理由

スカウト採用の成否は下記4つの要素によって決まります。

適切なターゲットを狙う

応募者のキャリアや志向性を理解し、適切なターゲットを選定する。

応募者のアクションをイメージした配信をする

スカウトメールを受け取った応募者が応募するまでに起こすアクションをイメージし、配信曜日・時間を設定する。

データから媒体を選定する

経験則や口コミだけで媒体を選定せず、ロジカルな思考をもとに期待値を設定し媒体を選定する。

適切なメッセージの作成

ファーストアプローチでもあるスカウトメールの文章は、スカウト採用を成功させる上で最も重要な鍵となります。自社の魅力を十分に訴求できる一文が記載されていることはもちろん、求職者のインサイトに刺さる文章でなければなりません。

スカウト採用が苦戦する理由は、上記でご紹介した4つのいずれかの要素もしくは全てが欠けてしまっているからです。
これら4つの要素を満たすことがスカウト採用成功の鍵となります。
続いて、さらに詳細に各要素について解説します。

 

適切なターゲットを狙う

まずはターゲットの中でも転職活動のアクティブ度が高い人材・ログイン履歴が直近の転職活動者に的を絞りましょう。それだけでも無駄な採用コストを大幅にカットできます。
さらに応募者のキャリアや志向性を確認し、自社とのマッチング率の高い応募者から優先順位をつけてスカウトメールを送るのが効果的です。

横暴者のアクションをイメージした配信をする

スカウトメールを配信するにあたり、配信時間・曜日を意識したことはあるでしょうか。
スカウトを受けた応募者は応募に至るまで最低でも3つのアクションを行います。

  • スカウトメールの開封
  • スカウト内容の確認
  • スカウト企業への応募

スカウトメール配信代行業者が調査したデータによると、13時~17時に配信されたスカウトメールは1日の中で最も返信率が高く、25%を超えていたそうです。
一方、午前配信の返信率は20%以下となり、午前配信から午後配信に変えるだけで5ポイントもの数値変化が表れています。
また各曜日の中でも月曜日と金曜日の返信率・既読率が最も高いという結果も発表されています。反対に火曜日・木曜日は最も返信率・既読率が低かったそうです。

配信曜日・時間帯を意識することで、本来得られる返信率・既読率を達成できるかもしれません。
反対に配信曜日・時間帯を意識しないスカウト採用は、無駄なコストを生み出してしまう可能性があります。
曜日・配信時間は簡単に改善できる要素でもあるので、自社の採用ターゲットの属性に合わせて、配信時間や曜日を工夫すると良いでしょう。

適切な媒体の選定

スカウト活動の基盤になる媒体選定はとても重要です。第三者の評判や口コミ、イメージだけで媒体を選択してはいませんでしょうか。
口コミはリアルな声を聞けると同時に、「他社の事例である」「媒体を上手に使いこなせていないことが起因の不成功をもとにしたネガティブな口コミである」「人事担当者の勘・経験に左右される」といった懸念をはらんでいます。
他にも媒体にはそれぞれ特化した領域があります。そのため媒体ごとに「登録者が多い」「返信率が高い」といったイメージがあるかと思います。しかしそのイメージに裏付けはありますでしょうか。

例えば登録者が多いが、直近のログイン率が低い(アクティブな登録者が少ない)ということもあります。一方で返信率は高いが、他社からのスカウトも多く歩留まりが悪いという媒体もあります。
適切な媒体を選定するためには、期待値を計算し裏付け・立証された数値をもとに合理的に判断しなければなりません。

期待値をもとに媒体を選定するには『アクティブな登録者数×スカウト返信率×歩留まり』を把握し、利用する媒体の優先順位を明確にしましょう。
期待値を計算することにより、意外な媒体が自社にとって有効な媒体になり得るかもしれません。

適切なメッセージの作成

スカウトメールを作成する際、闇雲に自社の魅力を盛り込んではいないでしょうか。
スカウトメールを作成する上では「自社の魅力選定」と「応募者の需要を満たす」2つのポイントを意識することが大切です。

『自社の魅力選定』

採用市場では「自社の魅力=採用市場において高い魅力訴求ができる」という方程式が成り立つとは限りません。採用競合と比較し、自社の魅力の中でも採用市場において優位性の高い魅力をピックアップしましょう。

『応募者の需要を満たす』

企業側にも採用ターゲットがあるように、応募者も一人ひとり応募需要を満たす条件を持っています。
例えば、下記のような項目は応募者が転職先企業に求める傾向の高い項目です。

・裁量権

・やりがい

・年収

・ワークスタイル

・オフィス環境

・休日日数

・社風・風土 など

スカウトメールは応募者の経歴や転職理由を熟読し、一人ひとりに合ったメッセージに仕上げなければならないと思われている方も多いかもしれません。
しかし、応募者が転職先企業に求めていることを自社の魅力の一環として盛り込むだけで強い魅力訴求になります。さらに“自分のことをちゃんと見てスカウトしてくれている”というポジティブイメージを残すことができるでしょう。
ここに採用競争において優位性の高い自社ならではの魅力文を組み合わせることで、他社にはない一人ひとりに合ったスカウトメールが完成します。

スカウト採用成功は自社の採用ナレッジにもなる!

ご紹介した4つの要素をもとにスカウト採用の構造を組み立てることができれば、職種・ポジション問わず様々な採用に応用できるでしょう。
スカウト採用に苦戦している企業・人事担当者は、今一度スカウト採用の本質・構造を学び直し、自社に沿った手法に落とし込んでみてください。
また採用において返信率の高いスカウトメールを作成できれば、その場限りの使い捨てではない強力な武器にもなり、自社の採用ナレッジとしても蓄積できます。

多角的な視野・分析を必要とするスカウト採用の構造・本質を見抜き、成功に導くことができれば、貴社の今後の採用力向上にも大きく寄与・貢献することでしょう。

コラムを書いたライター紹介

日向妃香

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採用系コンサルタントとして企業の採用サポート・採用戦略構築・採用ノウハウの提供を行いながらライターとしても活動中。
得意分野は新卒採用とダイレクトリクルーティング。

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