中小企業の採用を成功させるカギは「人材の育成」にある


新型感染症拡大の影響により、社会情勢は先の見えない状況となりました。
学生は就職に対して安全志向となり、大企業を希望する学生が増加している傾向にあります。
まだまだ先の見えないコロナ禍において、今後も厳しい状況が継続すると予測される中小企業の採用活動。不安定な世情の中で、中小企業の採用担当はどのような採用活動を行っていくことが望ましいのでしょうか。

本記事では、ウィズコロナ時代の採用活動を成功させるために注目される各種制度と「人材育成」の重要性についてご紹介します。今後、優秀な人材を確保するために大切な考え方を分かりやすく解説していますので、ぜひお読みください。

 

2022年卒の大学求人倍率は「1.50倍」

リクルートワークス研究所が発表した「第38回ワークス大卒求人倍率調査(2022年卒)」によると、2022年卒の大卒求人倍率は「1.50倍」。

2021年卒の1.53倍から0.03ポイント微減したが、1.5倍台を維持し、底堅い結果となった。コロナ禍による景況感の不透明さにより、中小・中堅企業で採用予定数が減少した。

学生の希望については、中小企業から大企業への堀り戻しが起きており、従業員規模300人未満と300~999人の企業を希望する学生は、それぞれ前年比35.7%、17.2%減少した。従業員規模1000~4999人と5000人以上の企業を希望する学生は、それぞれ前年比29.1%、51.0%増加した。(出典:第38回ワークス大卒求人倍率調査(2022年卒)

ウィズコロナを生き残るために導入したいもの

新型感染症拡大により、自宅で仕事ができる「リモートワーク」や、通勤ラッシュを避ける「フレックスタイム制」が注目されはじめました。

柔軟な働き方・労働生産性の向上を掲げた政府の「働き方改革」によって副業が推奨され、関心が高まっています。

そのため、今後学生は就職先に「働き方」について柔軟な環境を求め始める傾向になるでしょう。中小企業が大企業と差をつけるポイントは、ウィズコロナの時代における「働き方」にあると考えられます。比較的柔軟に対応できる中小企業だからこそ取り入れたい働き方の制度を紹介します。

リモート環境

企業の感染防止策のひとつとして取り入れられ始めたリモートワーク。感染防止の他にも多くのメリットがあり、今ではテレワークそのものに魅力を感じている学生も少なくありません。

転職サイト「doda」の調査からも、求職者のテレワークへの関心が高いことが分かります。
参考:https://www.dodadsj.com/wp-content/uploads/2021/01/persol_market002.jpg

リモート環境を導入するメリットは以下の通り

  • 通勤費用やオフィスにかかる費用を軽減できる
  • 従業員の稼働率を改善できる
  • 業務改善やデジタル化の推進が見込める
  • 企業イメージの向上につながる

上記から、企業側にとってもリモート環境を取り入れるメリットは大きいということが推測できます。

フレックスタイム制度

通勤ラッシュを避け感染リスクを軽減させる目的で活用された制度で、自分の好きなタイミングで始業時刻や就業時刻を決められる働き方です。

遅い時間まで作業してしまった翌朝は少し遅めに出勤するなど、フレキシブルにスケジュールを組むことが可能です。

このフレックスタイム制度も、現代の多様化する生活環境に適しているため注目されている働き方のひとつです。

フレックスタイム制度を導入するメリットは以下の通り

  • 業務の生産性を向上できる
  • 通勤ラッシュを避けられる
  • 残業の削減が期待できる

上記から、フレックスタイム制度も「働き方改革」の軸になりうる制度と言えるのではないでしょうか。

副業制度

柔軟な働き方や労働生産性の向上を掲げた政府の「働き方改革」により推奨された副業。

パーソル総合研究所がまとめた調査によると、現在では過半数の企業が副業を容認しています。
参考:https://images.newswitch.jp/images/pYlJbow5XjLOHZNNikmc3Xjc7OokLJEgTc2AuyNr.jpeg

人材育成の体制を整える必要性

これまでに紹介した制度の導入により「人材の確保」に優位性をつくれる可能性は高くなります。

一方で「優秀な人材の確保」に必要不可欠なのが「社員教育」です。
優秀な人材の「採用」はもちろん重要ですが、今では「人的資源の質を高める人材育成」への重要性に対する意識が高まりつつあります。
しかし、リモートワークやフレックス制度などにより、社員同士のコミュニケーションの機会が減ることは明白でしょう。
社員教育を行う機会を確保することも難しくなり、「導入すべき制度のデメリット」が顕在化します。
「優秀な社員」を育成するために、社員の教育体制をしっかりと整えることが「優秀な人材の確保」に繋がるカギと言えるでしょう。

テレワーク時代に向けて導入したい制度6つ

人的資源は企業の生命線であり「人財」という言葉もあるほど重要な要素です。
コロナ禍において働き方改革が急速に進む中、人材育成の制度に見直しの必要性が求められています。
テレワークの導入が加速する時代において導入したい制度を6つ紹介します。

OJT(On the Job Training)

職場において「業務の実践」を通じて知識を身につける育成法です。

テレワーク環境下においては、明確な業務タスクを与えて進捗に合わせて都度指導することで効果的なOJTが可能となります。
メリハリのある丁寧な指導ができるため、効果的な教育法と言えます。
マニュアルや作業手順などをそのまま教えるのではなく「なぜこの方法で業務をするべきなのか」や「他のケースにどう応用すべきか」に焦点を当てて指導すると良いでしょう。

OFF-JT(Off the Job Training)

日常業務を通じて教育を行うOJTに対し、職場や業務から離れ特別に機会を設けて行う教育です。
ベーシックなビジネスマナーや基本的なコミュニケーション法など、社会人としてのスタートアップ研修などが代表的な例です。
社外の講師による教育により高い効果が期待できるセミナーは数多くあり、これらを活用すると良いでしょう。
社外更新によるセミナーはオンラインに対応しているものが多く、集合教育が難しい現状にぜひ取り入れたい教育法です。

メンター制度

直属の上司とは別に、年齢や勤務歴が近い先輩社員が新入社員や若手社員をサポートする制度です。
メンタル面のケアに特に高い効果を発揮すると言われています。
1対1のコミュニケーションとなり、公私にわたって親身なサポートができることが特徴です。
従業員同士の結びつきをより強固にすることが期待できるため、特にテレワーク環境下においては非常に有効な教育法と言えます。

MBO(Management by Objectives)

個別に目標を設定して達成度合いで評価を決める制度で、日本語では「目標管理制度」と言います。
テレワーク環境下では従業員の勤務態度が直接見えないため、評価が難しくなることもあるでしょう。
MBOでは「目標への進捗」が可視化でき、職場で直接従業員を見なくとも評価がしやすくなります。
評価軸が明確となるため、従業員からの「評価に対する信頼感」が高くなることもポイントです。
やるべきことが明確となるため、都度上司に確認する必要もなく業務ができるというメリットもあります。

1 on 1ミーティング

上司と1対1でミーティングを行うもので、上司が新入社員の状況を把握しやすくなる手法です。
個人に合わせた丁寧な指導が可能で、成長促進はもちろん信頼関係の構築や企業への定着にも効果を発揮します。
テレワーク環境下でもWebツールを活用すれば簡単に実施できるため、注目すべき方法でしょう。

コーチング

相手を観察して質問を投げかけつつ提案などをして、相手の内面にある答えを引き出す手法です。
前項の1 on 1ミーティングに組み込むと良いでしょう。
専門的なスキルを必要とするため、コーチングを行う上司には研修が必要です。
確実な成長が見込まれるため、手間はかかりますが導入を検討する価値はあります。

優秀な人材を確保するために

先の見えない社会情勢により、大手企業への応募率が高まりつつある昨今では、中小企業の採用はしばらく困難な状況が続くと考えられます。
今後求められる新しい「働き方」に合わせ、ここで紹介した制度を導入することで応募率の向上は期待できるでしょう。
また、ウィズコロナの時代においては働き方に変化が起こることも容易に想像がつきます。
人材育成にも新しい制度を活用し、今後に備えたいものです。
これからの時代の変化に合わせ優秀な人材を確保するため、採用と育成の両面から対策が必要です。

コラムを書いたライター紹介

土方駿次

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操縦桿をペンに持ち替えフリーランスライターに転身した元公務員。ビジネス系、スポーツ系、セールスライティングから恋愛系記事まで幅広く執筆中。Twitterではちょっとした人気アカウントも運用中です。

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