優秀人材が求める入社条件は「キャリア形成」。採用におけるキャリア形成理解の重要性


“人生100年時代“と呼ばれるこの時代。働く上でキャリア形成が重要視され、企業にも求められるようになりました。
「やりがいが得られる」「待遇が良い」だけでは優秀な人材の採用は難しく、『キャリア形成を入社条件の第一に置く時代である』ことを理解した上で採用活動に挑まなければなりません。

そこで本記事では、採用活動におけるキャリア形成理解の重要性について解説します。自社にとって価値のある優秀な人材を獲得していきたいと日頃から思っている採用担当者の方はぜひお読みください。

■キャリア形成とは

そもそも『キャリア形成』とはどのような意味なのでしょうか。

一昔前であれば“出世”や“キャリアアップ”という意味合いで使われることが多かった『キャリア形成』という言葉。「人生100年時代」が提唱される現代において、キャリア形成とは「10年後・20年後の在りたい姿を目指すため」「人生における自己実現を叶えるため」に“自身の市場価値を高めること”と捉えられるようになりました。

■キャリア形成が重要視され、求められる時代

ではなぜキャリア形成が重要視され、求められるのでしょうか。その理由を理解することで、優秀な人材採用を成功させる可能性が高まります。。

キャリア形成が重要視されるようになったのには、大きく下記3つの理由があります。

  • 成果・実力主義・ジョブ型雇用の浸透
  • IT・AI技術の発達
  • 働き方の多様化

続いて、それぞれについて詳しく解説していきます。

□成果・実力主義・ジョブ型雇用の浸透

かつての日本企業では、年功序列や終身雇用が広く深く浸透していました。
しかし近年においては、「年功ではなく、成果を出す人材を評価したい」という意向のもと、成果主義を導入する企業が急増しています。
また、2019年5月に行われた日本自動車工業会会見でのトヨタ自動車株式会社:豊田社長による「終身雇用を守っていくのは難しい局面に入ってきた」という、終身雇用に関する発言は当時非常に話題になりました。
このような評価・雇用の在り方の変化に伴い、一昔前に比べキャリア形成がより一層重要視されるようになっています。

□IT・AI技術の発達

IT・AI技術の導入による、生産性向上を目的とした組織・働き方の改革が進む昨今。
時間や工程あたりの生産力が重要視されるようになっただけではなく、今まで人間が担っていた多くの業務をロボットが代行するように変わりつつあります。ただ長く働くことを求められていた年功序列の時代から、IT・AI技術の発達により働き手に求められるのは生産性の高いスキルや技術、知識です。
社会にとって求められる人材となるためには、人並み以上のスキルや技術、知識を得られる環境に身を置き、自身の市場価値を高める努力が必要です。

□働き方の多様化

働き方改革の促進もあり、副業やパラレルワークなど多様な働き方が受け入れられる時代になりました。
最近ではギグワークやフリーランスといったプロジェクトごとに仕事を請け負う働き方も一般化し、終身雇用や年功序列の考え方が見直される現代において、必ずしも正社員という働き方が安定に繋がるとは限らなくなりました。
働き方の多様化は、一見すると働きやすい社会のようにも感じます。
しかし一方で自身の価値を高め他者より優位性の高い人材しか、本当に就きたい仕事に就けない・やりたい仕事ができないといった側面も持ち合わせています。

このような理由から多くの人がキャリア形成に対し重要性を感じ、就職先・転職先に対してもキャリア形成の環境を求めるようになりました。

■優秀な人材ほどキャリア形成を意識した企業選びを行う

優秀な人材ほど待遇やポジションなど目先の条件より、キャリア形成を意識した就職・転職活動を行います。
つまり、優秀な人材ほど自身のキャリアビジョンに大きく影響を与える環境に惹かれる傾向が高いといえます。

キャリアビジョンは人によって異なります。
そのため面接や選考では、ただ闇雲に自社のキャリア形成の強みを訴求するのは控えましょう。
下記項目を意識して1人ひとりの応募者に合ったキャリア形成の強みを訴求し、応募者のニーズにマッチする具体的なキャリアビジョンを描かせるようにしましょう。

  • 「働くこと」の意味
  • 自分の適性を活かせる業務・ポジション
  • 理想の働き方
  • プライベートとのバランス
  • 入社後にやりたいこと
  • 一緒に働きたい人材 など

これらの項目を基盤に、入社後はもちろん10年・20年後のキャリアビジョンを描かせることに成功すれば、応募者の入社意欲が刺激され、途中辞退・内定辞退を防止できるでしょう。

■面接では応募者が求めるキャリアを理解し、応募者と向き合う

キャリアアップや自身の市場価値を高めるための転職が通常化する中、採用活動では“応募者は、自身の望むキャリアを形成できる企業を探している”ことを意識して、面接に取り組むことが大切です。

ただ応募者を選定するだけの面接をしている企業は、応募者のキャリア形成を意識した面接へと取り組み方を改善してみてください。応募者が求めるキャリアを理解し、応募者との向き合い方を変えるだけで辞退率が改善することもあります。
延いては入社後の仕事対するモチベーション維持や離職防止にも繋がり、貴社の成長にも寄与することでしょう。

このような理由から、キャリア形成への理解は重要です。
キャリア形成を意識した評価・制度の導入・環境の整備はもちろん、採用の場においてもキャリア形成の重要性への理解が採用成功の鍵となるでしょう。

コラムを書いたライター紹介

日向妃香

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採用系コンサルタントとして企業の採用サポート・採用戦略構築・採用ノウハウの提供を行いながらライターとしても活動中。
得意分野は新卒採用とダイレクトリクルーティング。

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