26卒採用の振り返りと27卒採用の最新動向解説

新卒採用市場は、これまでにないスピードで「早期化」と「長期化」が同時に進行し、企業の採用担当者にとって極めて難易度の高い局面を迎えています。特に26卒採用では、早期化・長期化が採用活動に大きな影響を及ぼし、従来の常識や過去の成功が通用しにくい状況が続きました。内定を出しても承諾に至らない、辞退が多発する、そもそも母集団が形成できないなど、現場では多くの課題が顕在化しています。
本記事では、各種調査データをもとに26卒採用を振り返るとともに、本格化の局面に入る27卒採用の最新動向を読み解き、今後の採用活動において企業が押さえるべき視点や考え方について解説します。
企業の26卒採用所感
HR総研が2025年6月に実施した「2026年&2027年新卒採用活動動向調査」、およびキャリタス就活が2025年10月に実施した「新卒採用に関する企業調査」からは、規模や業界を問わず、企業の採用活動が極めて困難な状況にあることが浮き彫りになりました。
HR総研が実施した調査では、25卒採用と比較して「楽になった」と回答した企業は規模を問わず皆無であり、多くの企業が何らかの形で負担増や難易度の上昇を感じていることが明らかになりました。
引用:HR総研「2026年&2027年新卒採用活動動向調査」
特に、従業員数301〜1,000名の中堅企業は、「大変になった(かなり+やや)」と回答した割合は68%に達しており、従業員数1,001名以上の企業(35%)、従業員数300名以下の企業(36%)と比較しても突出しています。
この背景には、大企業がインターンシップ経由の早期選考を強化したことで、中堅企業のメインターゲットとなる層が早期のうちから大手企業に吸収されているためだと推察できます。また、大企業と比較して知名度や条件面で劣りやすい中堅企業が学生の意思決定の最終局面で競り負けやすい構造に置かれていることも一因だと考えられます。
キャリタス就活の調査でも、約8割の企業が26卒採用を「厳しい」と振り返っており、特に製造業やサービス業など、充足率が低かった業界では「とても厳しい」との回答が目立ちました。
一方、金融やIT業界では「とても厳しい」の回答が比較的少なく、リモートワークの普及や高い給与水準など、学生の求める「働きやすさ・待遇」を提示しやすい業界に属する企業が母集団形成において優位性を得られている構図が浮き彫りとなりました。
各調査結果から、26卒採用は単なる売り手市場ではなく、選ばれるための工夫がこれまで以上に問われる市場であったと総括できます。
内定解禁日(10月1日)時点における26卒採用の動向
ここでは、内定解禁日時点における26卒採用の動向について解説します。
26卒採用の動向
キャリタス就活の「新卒採用に関する企業調査(2025年10月調査)」によれば、26年3月卒業予定者の採用選考を「終了した」企業は42.1%にとどまり、4年連続で半数を下回る結果となりました。
早期に動き出した企業であっても、目標人数を確保できずに活動を継続している、あるいは辞退を見越して追加募集を行っている状況を示しており、採用活動の長期化が常態化している様子が見て取れます。
背景には、内定出しの前倒しと承諾獲得の難化という二つの要因があると考えられます。企業は早期に学生へアプローチする一方で、学生側は複数の選択肢を比較・検討するため、意思決定までに時間を要します。その結果、企業は採用活動を予定通りに終了できず、追加募集や再アプローチを余儀なくされるケースが増えています。
また、業界別に見ると金融(68.9%終了)やIT(54.2%終了)は終了率が高い一方、サービス業は32.2%にとどまるなど、業界間の格差も顕著です。
26卒内定者の充足率
キャリタス就活の調査によると、26卒採用における充足率平均は65.4%と、前年とほぼ同水準であることが分かりました。
充足率を企業規模別に見ると、従業員数 1,000 名以上の企業は77.1%と一定の水準を保っていますが、従業員数300名以下の企業は56.9%と20ポイント近い差があります。
以下はHR総研の調査結果であり、調査時期がキャリタス就活の調査とやや異なりますが、従業員数300名以下の企業では、23%が「充足率100%以上」と答えている一方で、内定者ゼロの企業が40%も存在するという、極端な二極化が生じています。大企業は母集団の母数が大きいため、一定数の辞退を見越した採用ができますが、中小企業は母集団形成の段階でつまずく、あるいは内定辞退が相次ぐなど複合的な要因が重なり、結果として採用計画を達成できないと考えられます。
引用:HR総研「2026年&2027年新卒採用活動動向調査」
26卒採用における今後の方針
キャリタスが実施した調査によると、未充足部分に対する今後の方針については、73.1%の企業が「人数の確保よりも学生の質を優先」と回答しています。
企業が無理に人数充足させる採用を実施しない理由としては、ミスマッチによる早期離職が採用コスト以上の損失になることを理解しているからだと推察できます。
一方で、質を重視するあまり採用活動が長期化し、結果として人事部門の負担が増大するという課題もあります。26卒採用は、量と質のバランスをいかに取るかという難題を改めて企業に突きつけたといえるでしょう。
今後は、従来の新卒採用枠にこだわらず、既卒や第二新卒、あるいは中途採用へと舵を切る企業も増えると考えられます。
27卒採用における最新動向
本章では、27卒採用における最新動向について解説します。
企業の27卒採用への意欲
株式会社マイナビが実施した「インターンシップ・キャリア形成支援活動に関する企業調査」によると、27卒向けのインターンシップ・仕事体験を「実施した・実施予定」と回答した企業は前年を上回る69.8%に達し、採用意欲は依然として高水準にあります。
キャリタスの調査では、採用予定人数を問う設問において、半数以上の企業が「今年度(26年卒)並み」と回答しました。また、「増える見込み」15.8%に対し「減る見込み」は 9.2%となっており、「増加」が「減少」を上回り、株式会社マイナビが実施した調査と同様、採用人数からも27年卒採用における企業の採用意欲は、高い状態が続くことが見込まれます。
27卒学生の内定獲得状況と動向
株式会社学情が2025年12月に実施した「内々定の獲得状況に関するアンケート調査」では、27卒学生の11月末時点での内々定率が29.3%と過去最高水準に達しており、学生優位の市場構造が続いていることが確認されました。
引用:株式会社学情「内々定の獲得状況に関するアンケート調査」
また 、マイナビのキャリア意向調査からは、学生が「丁寧な指導」や「フラットな関係性」を重視する傾向が明らかになっています。終身雇用志向も依然として根強く、安定性と成長機会の両立を求める姿勢が特徴的です。
企業にとっては、条件面だけでなく、育成や働き方に関するメッセージの発信がこれまで以上に重要になるでしょう。
27年度における低学年層への取り組み
27卒採用のさらに先を見据え、大学1・2年生を対象としたキャリア教育に乗り出す企業が急増しています。 同調査では、「すでに実施している」または「2026年以内に実施予定」「実施を検討している」企業が半数近くに達しており、採用ブランディングの戦場は低学年層へと広がっています。
企業が低学年層向けの活動にメリットを感じている最大の理由は「自社・業界の早期認知」です。就活が本格化する前に「この業界にはこんな面白い仕事がある」という種をまくことで、将来的な母集団形成を有利に進める狙いがあります。
27卒採用においては、単なる選考だけでなく、学生のキャリア形成を支援する教育者や育成者としての側面を持つことが、ブランド価値を高める鍵となるでしょう。
まとめ
26卒採用を振り返ると、企業規模や業界による二極化が一段と加速しました。また、多くの企業が26卒採用の「厳しさ」を実感した一年であり、例年通りの戦略が通用しない実態が浮き彫りになりました。
一方で、27卒採用では早期接点の重要性がさらに高まり、インターンシップやキャリア形成支援を通じた関係構築が鍵となるでしょう。
今後の新卒採用では、短期的な人数確保にとどまらず、自社の魅力や育成方針を一貫して伝える中長期的な戦略が不可欠です。26卒での採用経験を次につなげられるかが、27卒採用の成否を左右するでしょう。
ぜひ、最終局面に入る27卒採用に向けて、本記事を参考に再度自社の採用活動を振り返り、精度向上に努めてみてください。
コラムを書いたライター紹介

日向妃香
得意分野は新卒採用とダイレクトリクルーティング。
















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