注目が集まる『メタバース採用』| 導入事例・メリットを解説!
新型コロナウイルスの影響により、採用活動においてオンラインで実施するイベントが定着しました。Zoomを用いたウェビナー開催などオンラインイベントの手法も多様化する中で、2023年にはメタバースを活用した採用イベントがいくつも開催されまた。
そこで今回は、新しいオンラインイベントの形とも言える『メタバース』を活用した採用について、メリットや導入事例を紹介します。
メタバースとは?
メタバースとは、インターネット上に構成された仮想空間を指します。
参加者は自身の分身となるアバターを介し、仮想空間の中を自由に動き回り、メタバース内で提供されている様々なサービスを体験します。
メタバースの歴史は比較的新しく、2003年にリンデンラボ社によって世界初のメタバース空間が発表されました。日本では2006年頃から認知されるようになったと言われています。
さらに2021年末、フェイスブック社が『メタ・プラットフォームズ』に社名変更したことをきっかけに、世界中に広く認知されるようになりました。
認知拡大に伴いメタバース事業に参入する企業も増え、次々と様々な領域・分野にメタバースが活用されるようになりました。中でもメタバースは採用領域との親和性が高く、オンライン採用の新しい在り方として注目が高まりつつあります。
メタバースを採用活動に用いた事例
続いて、メタバースを採用活動に用いた事例を紹介します。
メタバースを面接に用いるケースは、まだ多くはありません。しかし“採用方針にマッチすれば面接にメタバースを用いる”という企業が増えてくることも十分に考えられるでしょう。
合同説明会
採用活動にメタバースを活用した事例として、合同説明会が挙げられます。
株式会社ネオキャリアと株式会社Xが実施したメタバースを用いた就職活動イベント『メタバース新卒採用EXPO2024・2025』では、1回目の開催で企業179社・延べ3,600名の学生が参加しました。さらに夏に実施された『新卒採用EXPO2024・2025SUMMER』には、1月に開催された同イベントの4倍にあたる約750社が出展したとのことです。
画像引用:株式会社ネオキャリア
イベントでは、学生が自分専用のアバターを使い、メタバース内を自由に歩き回りながら出展企業のブースに訪問し情報収集を行いました。
チャットを通じて採用担当者に直接質問できたり、会社説明などのコンテンツを視聴したりと、リアルで実施される合同説明会に引けを取らない内容だったそうです。
会社説明会
自社の会社説明会にメタバースを活用する企業も見られるようになりました。
中京テレビ放送株式会社は、自社のメタバースサービス「エブリバース」を活用したメタバース会社説明会を開催しました。
採用競合とオンラインイベントの差別化を図れるだけではなく、自社のサービス・開発製品のアピールにもつながったと言えるイベントです。
画像引用:中京テレビ放送株式会社
本イベントには全国から定員の約2倍の応募があり、参加学生の95%が満足したという結果になりました。また人事担当者からも「双方向性が担保できた」「一つの空間内で、様々な部署との質疑応答を同時開催できた」というポジティブなコメントが得られたとのことです。
このように、リアルイベントに参加できない学生もメタバースを用いれば、リアルイベントに近い形で会社の理解を深められるようになります。
職場・工場見学
求職者向けにメタバースオフィスを作成する企業や、工場見学用のメタバースを用意する企業もあります。
メタバースオフィス内には、任意の画像や動画をアップロードできるサイネージが用意されており、企業は採用目的に合ったコンテンツを公開できます。
また会社のオフィスと全く似た作りのメタバースを作成すれば、オフィス内部の雰囲気を気軽に感じ取ってもらうこともできるでしょう。
さらに工場見学用のメタバースを用意している企業もあります。
機密保持や製品品質保持などの観点から外部訪問者の入場が制限されている工場であったとしても、メタバースを活用すれば候補者に工場内部を紹介できます。
より自社の事業内容や働き方を知ってもらえるきっかけにもなるでしょう。
インフラ整備事業を展開する松本技術コンサルタント株式会社では、自社のホームページに職場見学メタバースを公開し、会社・事業の魅力を発信しています。
画像引用:松本技術コンサルタント株式会社
面接
メタバースを用いて面接を行う企業も登場しています。
ZoomやGoogleMeetといったオンライン会議システムと比較して、カジュアルな雰囲気でコミュニケーションを図れると好評です。さらにアバターを介したコミュニケーションにより、外見にとらわれずフラットな状態で学生の人間性を知ることができると評価する声も聞かれます。
クラウド/サーバー事業を提供する株式会社ビヨンドでは、2024年度の新卒採用でメタバース面接を導入しました。
画像引用:株式会社ビヨンド『採用サイト』
メタバースを導入するメリット
続いて採用活動にメタバースを導入するメリットを紹介します。
人事担当者の負担が軽減される
メタバースを導入すれば、採用活動における人事担当者のあらゆる負担を軽減できるでしょう。
例えば合同説明会では、人事担当者が会場に足を運ぶことなく自社のオフィスからイベントに参加できるようになります。さらにオフィス案内や工場見学にメタバースを用いれば、候補者は自身の好きなタイミングでオフィス訪問・工場見学できるようになります。
人事担当者は、候補者1人ひとりの予定を都度調整する工数が削減され、さらにオフィスや工場の機密情報にも気を配る必要もなくなります。
自社の魅力発信・ブランディングに効果がある
メタバース内で自社の魅力を発信するコンテンツをいつでも閲覧できるようにしておけば、候補者はいつでも企業理解を深められます。オンライン採用で希薄になりがちな「自社の魅力発信」にも注力できるため、ブランディング効果も期待できるでしょう。
またメタバースを実際のオフィスに近いデザインに仕上げれば、候補者も企業の雰囲気を掴みやすくなります。さらに自分が働くイメージを描きやすくなるため、就職・転職意欲向上にも寄与するでしょう。
候補者の本音を引き出せる
メタバースは、アバターを通じてコミュニケーションを図ります。
候補者は相手の視線や自身の容姿を気にすることなく、採用担当者や面接官とコミュニケーション・質疑を交わすことができるようになります。そのためより踏み込んだ質問や悩みも投げかけやすくなるでしょう。
また候補者の心理的ハードルが下がるため、企業側も本音を引き出しやすくなるといった効果が期待できます。
双方向のコミュニケーションが可能になる
オンラインを用いるイベントの中でもウェビナー開催の場合、企業からの一方通行のコミュニケーションになりがちです。
そのため「参加者の反応が分かりづらい」「企業の魅力を十分に伝えられていない」といった点に課題を感じる企業も少なくありませんでした。
その点メタバースの場合、対話で話す時と同じ感覚で候補者とコミュニケーションを取ることができます。「双方向性が担保できる」「対面式と同等効果のコミュニケーションが期待できる」といった声もあり、メタバースであれば従来のオンラインイベントよりも密度の濃いコミュニケーション形成を可能にしてくれるでしょう。
低学年層学生に対し最少工数で早期アプローチが可能になる
採用競争が激化する新卒採用においては、大学1年生・2年生といった低学年層とも接点機会を増やし、早期からアプローチしていく必要性が増しています。
しかし低学年層にアプローチするためのリソースを捻出できない企業が大半でしょう。
そこで低学年から参加可能なキャリアプログラムメタバースを作り込み、大学のキャリアセンターと提携・協働し低学年層向けに公開すれば、人事担当者が携わらなくても低学年層に自社の魅力を発信し続けることができます。
このようにメタバースは、採用領域においてあらゆる可能性を秘めている技術と言えるでしょう。
まとめ
採用イベントのオンライン化が定着する中で、“メタバース”という新しい技術に注目が集まっています。メタバースはテクノロジー技術の進展と共に、採用領域にも今後さらに普及していくことでしょう。
現時点において、メタバースを自社の採用活動に今すぐ導入できる企業は決して多くはないのかもしれません。しかし採用領域において新しい採用の在り方・新しい技術が普及しているトレンドを把握しておくことは大切です。
本記事を参考に、今後の採用手法について考えるきっかけになれば幸いです。
コラムを書いたライター紹介
日向妃香
得意分野は新卒採用とダイレクトリクルーティング。
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