企業(採用)ブランディングのノウハウ~TikTok編~
企業が求人募集する際、ネットやSNSを駆使して情報発信することは今や当然となっていますが、とくにTikTok(ティックトック)に注目が集まっています。TikTokとは、30秒〜1分程度のショート動画の視聴や投稿できるSNSサービスで、とくに10代〜20代、すなわちZ世代の若者を中心に人気を集めています。
そもそもTikTokとは
TikTokは、スマートフォン用のショート動画に特化したSNSです。簡単に動画を投稿できるほか、ユーザーが興味を持つ動画がランダムに再生されるなど、独特の機能が人気の理由です。
ほかのSNS、例えばTwitter(ツイッター)やInstagram(インスタグラム)などでは、フォローしている個人や団体の情報を中心に視聴するユーザーが多いですが、TikTokであれば、独自のアルゴリズムによって、フォローしていなくても継続的にオススメ動画が再生されます。さらに、縦画面による動画なので、情報量が多くなるということと、雰囲気とか空気感を写真より表現しやすいという特徴があります。
TikTokを導入するメリットとは
TikTokには、求人対象となるZ世代に多くのユーザーがいるということが挙げられます。ほとんどのZ世代は、初めて持った携帯電話がスマホなので、SNSは当たり前という人たちばかり。SNSからの発信を参考にしながら、消費行動するなど口コミの文化が浸透している世代です。なかでも、TikTokは、自分の興味ある動画が再生される可能性が高く、とくに注目されています。
採用の場面では、求職者が興味を持った企業はまず、ホームページを閲覧し、そのあと、SNSで配信しているかチェックします。テキストでは難しい内容もSNSだと短時間で理解できます。なかでも、社内の雰囲気や社員が楽しく働いている様子をリアルに伝える動画コンテンツをTikTokで発信している企業に対しては、社内のありのままの雰囲気を掴むことができて、親近感が湧くといいます。
費用対効果の面でも、ほかの動画配信サービスの場合、例えば、広告単価0.5円で100万回の再生があれば、50万円の広告料が発生しますが、TikTokの場合は初期投資だけで収まるから効率的です。一度、気に入ってもらえれば、繰り返し視聴してもらえる機会も増え、再生回数を大幅に伸ばすことも可能です。30秒〜1分程度のショート動画での配信となるので、電車を待っている時間や待ち合わせの時間などのスキマ時間に視聴されることが多くなり、目に触れれば触れるだけ身近に感じられるザイオンス効果 (単純接触効果)を得られやすいともいわれています。さらに、縦型動画での配信となるので、スマホを横向きに持ち替える必要もありません。ほとんどの人が毎日、スマホを見ながら過ごすなか、街にある広告などを目にすることが少なくなっているという背景もあります。
実際にTikTokを活用したとき、実施後の変化
採用の現場ではまず、応募者数が増えたという声が多く上がっています。ある不動産会社の場合、「新社会人として入社してからの成長記録」というコンテンツで、新入社員の日常を動画にまとめて配信したそうですが、3カ月で7000人のフォロワーを獲得し、最高視聴回数は、1動画あたり500万回を獲得したといいます。それに伴い、予想以上の応募者を得ることができました。その後の面接においても、面接希望者は事前にTikTokを見て応募しているので、企業に対する理解度が深かったそうです。その結果、採用でのミスマッチが減りました。さらに、既存従業員も自社のTikTokを見て、コミュニケーションが深まったというケースも多くあります。大手企業の場合は、ほかの部署がどんな仕事をしているのかわからないということがよくありますが、社内SNSとして利用することも有効です。その意味では、TikTokが社外に向けたものだけではなく、社内のコミュニケーションツールとしても利用できるといえます。
TikTokで発信するとき、気をつけるべきこととは
求職者に認知され、実際に応募させることが目的なので、どう興味づけさせるかというコンセプト設計が大事です。求職者のペルソナを想定し、どういう心境で動画を見ているのかを分析したうえで、共感でき、かつわかりやすい動画を作成することが必要です。企業が展開している事業内容を説明したり、専門的な用語やわかりにくい言葉を使うと離れてしまうことがあります。
実際の社員がやりがいを持って楽しく働いている様子などを紹介する方が親近感を持ってもらいやすいことは前述したとおりですが、表現方法やコンプライアンスには留意する必要があります。過剰な表現は避けて「誰も傷つかない笑い」を表現できれば、視聴者の心に残りやすい動画となります。会社のいい面をことさら伝えることより、逆にイマイチだと思われることを配信するのも効果的です。その場合、それが味としていかに愛してもらえるように伝えるか、見せ方の工夫が必要となります。社内担当部署で制作することも可能ですが、これら、コンセプトの構築や撮影・編集、配信にいたるプロセスを専門の制作会社に依頼することを検討するのもいいかもしれません。
コラムを書いたライター紹介
ウマい人事編集部
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