専門職採用で社内を活性化!【第2回:カスタマーサクセス】


昨今、サブスクリプションモデルの普及により、企業が「カスタマーサクセス(顧客の成功)」に注目しています。

この概念が広く世間に認知されるようになってきてはいますが、カスタマーサービスと同じようなものだと誤解している場合もあります。
実際に導入にあたっては、その本質と機能を十分理解した上で実施することが重要です。

また、カスタマーサクセスの専門職はまだまだ新しいポジションであるため、経験者がそれほど採用市場には多くないのが現状です。そのため、カスタマーサクセス社員を自社で採用しようとする企業が増えています。

本コラムでは、カスタマーサクセスの概要、自社で専門職採用・育成する場合のメリットについて解説します。

カスタマーサクセスの仕事とは?

カスタマーサクセスとは、マーケティング手法の一つで、ユーザーに対してポジティブな体験を提供し、ロイヤリティの向上、顧客生涯価値の向上、売上の増加など、ビジネスに還元するための企業側の努力のことを指します。

IT分野ではSaaS(Software as a Service)と呼ばれるサブスクリプション型モデルの普及が進んでいるため、この手法が普及しています。
顧客からの要望に応えるというカスタマーサポートとは異なり、カスタマーサクセスは顧客の要望に積極的に働きかけるアプローチであるという点に違いがあります。

企業のメリットとしては、企業評価の向上、継続的な売上、顧客からの価値の拡大、売上の増強などが挙げられます。

カスタマーサクセスを専門職採用・育成するメリット

カスタマーサクセスの経験者はまだ少なく、中途採用で経験者を確保することは難しい状況にあります。
可能であれば、自社のサービスや製品に精通した人材を専門職として採用・育成するのが良いでしょう。

顧客ニーズを把握し、提案型営業で高い成果を上げる能力を持つ営業スタッフは、カスタマーサクセスとして十分なポテンシャルを持っている可能性があるため、こういった人材を採用市場からピックアップする必要があります。

その中でも、自社でカスタマーサクセス職の人材を採用・育成する場合の主なメリットを以下3点ご紹介します。

社内におけるマーケティングソリューション力強化

カスタマーサクセス専門職を社内に置くことのメリットの1つに、様々なデータから顧客課題を正確に把握し、解決に導く、マーケティングにおけるソリューション力が強化されることが挙げられます。

カスタマーサクセスを担う人材を社内から登用し、育成することで、顧客定着率を大幅に向上させ、顧客ロイヤルティを早期に醸成することが可能です。
さらに、カスタマーサクセスのための人材を確保することで、顧客がより多くの機能やサービスに投資する可能性が高くなり、ROIが向上することも期待できます。

さらに、カスタマーサクセスチームを編成することで、カスタマージャーニーをより包括的に理解し、改善すべき点を明らかにすることができます。
カスタマーサクセスの専門職としての人材を慎重に選び、適切な資格と、顧客に焦点を当てたトレーニングを提供することで、顧客が期待するパーソナライズされた質の高いサービスを提供できるようになります。

このように、カスタマーサクセスチームは、企業の顧客維持の取り組みにとって強力な資産となるのです。

LTVを最大化させる

カスタマーサクセスのプロフェッショナルを活用し、LTV(Lifetime Value:顧客から生涯にわたって得られる利益)を最大化することが可能です。
カスタマーサクセスは、解約率を下げたり、繰り返し起こる問題の解決策を顧客に提供することで、収益を最大化させることができるためです。

LTVを最大化させるためには、顧客のニーズを認識し、質の高い顧客サービスに重点を置くことが重要となります。
カスタマーサクセスの専門職を戦略的に自社で採用することで、企業には様々なメリットがもたらされます。
カスタマーサクセスのプロフェッショナルは、製品へのフィードバックやパーソナライズされたソリューションを提供することでユーザーエクスペリエンスを向上させ、顧客ロイヤリティを向上させることもできます。

さらに、マーケティングオートメーションやCRMツールなどのリソースを効果的に活用し、顧客ニーズをより深く理解するための成功測定プロセスを導入することができます。

結果として、カスタマーサクセスにより、企業と顧客の間に信頼とロイヤリティの架け橋を築き、リピート販売とLTVの向上につなげることができるのです。

顧客の成功のみならず、社内の司令塔にもなりうる

カスタマーサクセスとは、お客様にサービスを提供することで、お客様の成功を実現することを意味します。お客様の利用状況を把握し、お客様のビジネスの発展につながるようなオーダーメイドのソリューションを提案します。
これにより、アップセル、クロスセル、LTV(ライフタイムバリュー)拡大などの可能性が高まり、企業価値の向上につながるのです。

また、カスタマーサクセスは、お客様のニーズを熟知している部門であるため、営業、マーケティング、戦略立案、開発などの他部門に情報を提供し、各部門が十分な情報を得た上で意思決定を行うためのデータを提供することが可能です。

このように、カスタマーサクセス部門は、顧客の選択を合理化するための適切な状況を作り出すことを任務としているため、うまく活用することで、顧客の成功体験のみならず、社内の司令塔としての役割も担うことができる点が重要です。

カスタマーサクセスを専門職採用して、収益を最大化しよう

今後、サブスクリプション型企業では、顧客ロイヤリティの向上や様々な企業努力により、カスタマーサクセスに注目し、さらなる生涯顧客価値(LTV)を向上させることが求められでしょう。

企業は顧客関係管理(CRM)とマーケティング・オートメーション(MA)を組み合わせ、長期的な顧客価値(LTV)の利益を享受する必要があります。

そのためにできることは、カスタマーサクセスの専門部署を立ち上げ、専門職を自社で採用し、育成することで、LTV向上、ひいては長期的な収益最大化を目指してはいかがでしょうか。

 

コラムを書いたライター紹介

真南風文藝工房

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編集者・ライター・サイエンスコミュニケーター・工学修士(航空宇宙学)
自動車メーカーでの先行開発エンジニアを経験した後、理系教科書編集(高校数学・中学校理科教科書編集)職に転向。近年は、サイエンスライティングに加え、理系・元エンジニアとしての経験を活かし、大学院生向け就職活動サイトコラム執筆・AI関連企業広報ライティングなど、幅広い分野での執筆活動に取り組んでいる。

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