「パーパス」の意味と役割とは?採用活動にも活かせる企業ブランディング術
一般的に目的・意図と訳される「パーパス」。しかし、近年では単なる目的の明確化ではなく、多くの企業が組織構造を強化するためにパーパスの見直しを行っていることをご存知でしょうか。
さまざまな企業がパーパスを再構築している理由は、企業の認知拡大をより幅広い視点で行えるからです。実際に近年では、富士通株式会社やソニーグループでも「パーパスブランディング」を行い、会社全体の改革に成功した事例があります。
そこで今回の記事では、組織におけるパーパスの意味や定義を解説します。採用活動でも活用できる求職者の調査データも紹介するので、ぜひお読みください。
ビジネスシーンにおけるパーパスの意味とは?
ビジネスシーンにおけるパーパスは、企業の存在意義を問うものです。「何のために企業は存在しているのか」「なぜ今の事業を行っているのか」などの問いに対する答えを指します。
各企業は、パーパスを決めるにあたって、企業の原点や事業の価値を問い直します。それによって、ミッション・ビジョン・バリューの軸を明確化しやすくなり、事業スピードや社内理解度が高まります。
これまでの資本主義社会では、消費者へのメリットや価値提供が重要視され、企業の存在価値や事業目的は重要視されていませんでした。
しかし、後述するように消費者や投資家の価値観が時代の流れによって変化したことで、消費者や投資家の共感や信頼を得るために、パーパスを再構築する重要性が出てきています。
企業にとってパーパスの再構築は、ブランディングに悩んでいる時期こそ重要なミッションであると言えます。
ビジネスシーンにおいてなぜパーパスが必要か?
ここからは、ビジネスシーンにおいてなぜパーパスが必要かを解説します。
パーパスに基づいて消費者から認知・共感を得る「パーパスブランディング」が注目されているように、必要性を理解し、広報やPRに活かしていくことは事業促進につながります。
採用側も求職者側も企業の存在価値を重視しているから
2022年7月にWantedlyが発表した「企業のパーパスと採用に関する調査」では、87%の採用担当者が企業のパーパスに関する共感値を求職者に求めていると回答したことが明らかになりました。
一方、求職者側でも入社時にパーパスを「かなり重視する」と回答した人は、2017年では18%でしたが、2022年には36%へと増加。また、年収よりもパーパスを重視して転職した経験がある人は43%、今後そうなる可能性が高いと答えた人は63%に達しました。
このようにビジネスシーンにおいて、売上や利益、給与、会社の規模以上にパーパスは重要視されています。採用側も求職者側も「企業の存在意義や価値」「働く意味」を見て転職を決める傾向が高いからこそ、企業も人々の価値観の変化に合わせて、パーパスを重要視する必要があります。
参考:HirinGeek by Wantedly ウォンテッドリー、企業のパーパスと採用に関する調査結果を発表
投資家の評価基準にも「パーパス」が加わったから
次に、投資家の評価基準にも「パーパス」が加わったことが挙げられます。
実際に、日本経済団体連合会が2020年に実施した、東京大学・GPIFとの共同研究「ESG投資の進化、Society 5.0の実現、SDGsの達成へ」において、企業と投資家が期待する情報の中に「パーパス」が組み込まれました。
従来投資家が企業を評価する際に重要視していたのは、収益性でした。しかし、「パーパス」が判断基準のひとつに加わったことにより、企業の存在価値が広い視点でも重視されるようになったと言えます。
参考:“インパクト指標”を活用し、 パーパス起点の対話を促進する .〜企業と投資家によるサステナブルな資本主義の実践
ビジネスシーンこそ「パーパス」を活用して、企業ブランディングに役立てよう
今回は、ビジネスシーンにおけるパーパスの定義と必要な理由を解説しました。
パーパスは目まぐるしく変化する時代や消費者、投資家の価値観に合わせて、現代の企業ブランディングでは重要な役割を担っていきます。
事業指針や採用広報に悩んでいる企業こそ、パーパスの意義や目的を理解して、今後の企業ブランディングに役立てみてはいかがでしょうか。
コラムを書いたライター紹介
八巻美穂
インターン生としてロサンゼルスのIT系コンサルティング会社で2年勤務後、塾講師として学習塾に新卒入社。メンタルダウンを経験し、フリーランスの道に。現在は、ビジネス系のSEOからキャリア系のインタビューまで幅広く執筆中。
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