2025年12月求人市場動向


ウマい人事編集長より、中途採用市場における企業側、求職者側の動き、それぞれの観点から最新の求人市況感をお届けいたします!

企業の採用活動と求職者の転職以降は鈍化傾向に

厚生労働省が令和7年10月末に発表した『一般職業紹介状況(令和7年9月分)について』によると、令和7年9月の有効求人倍率は1.20倍であり、前月と同水準でした。また、新規求人倍率は2.14倍であり、前月に比べて0.01ポイント減少しています。

引用:厚生労働省『一般職業紹介状況(令和7年9月分)について』

例年12月は、企業・求職者ともに活動が落ち着く傾向にあります。企業は年末の業務繁忙期に入ることに加え、年内の採用活動を締めくくり、翌年度に向けて採用戦略や計画の見直しに時間を充てるケースが増えます。
一方、求職者も現職の多忙さや賞与を見据え、活動を控える傾向にあります。

比較的時間を確保しやすいこの時期にこそ、採用担当者は戦略の根本的な見直しや業務プロセスの改善に取り組みましょう。

<企業の動き>

12月は、翌年度の採用成果を最大化する「準備」の好機

求職者の活動が落ち着く12月は、採用体制を強化する好機です。
自社の採用状況や体制に応じて、次のような施策への着手を検討しましょう。

■採用領域におけるDX推進

ATS(採用管理システム)の導入やAIを活用したスカウト文面の最適化、オンライン面接ツールの見直しなど、採用業務の効率化と質の向上に取り組みましょう。

■翌年度の採用戦略の策定

今年度の採用活動を総括し、課題を洗い出します。
年明けから活発化する市場に備え、ターゲット層の見直しや採用チャネルの再検討、選考プロセスの改善などに着手しましょう。

■求人情報・スカウト文面の刷新

冬の賞与支給後に転職活動を開始する層に向け、求人情報の最適化やスカウト文の見直しなど、採用ターゲットや戦略に合わせた設計を練り直しましょう。

■リファラル採用の基盤整備

年末は、社内イベントなどが増える時期でもあります。
この機会を活用し、社員にリファラル採用への協力を改めて呼びかけ、制度の周知やインセンティブの見直しを進めることも有効です。

翌年度の採用活動に向けた準備に加え、11月以前から選考が継続している求職者に対しては、年末の多忙さを理由に対応が遅れないよう注意が必要です。
迅速かつ丁寧なコミュニケーションを心がけ、内定の年内決定を進めましょう。

<求職者の動き>

12月の求職者の動きは、「翌年度入社希望層」と「年内転職希望層」に二極化

12月における求職者の動きは全体的に鈍化します。
年明けを機に転職活動を開始する層が少しずつ情報収集を始める時期ではありますが、中には、年内のうちに転職したいと考える層もいます。

翌年度入社希望層は、冬の賞与を受け取った後、年末年始の休暇を利用して本格的に自己分析や企業研究に取り組み始めます。情報収集がメインのため、今すぐ応募や選考に進む意欲は低いものの、魅力的なスカウトやカジュアル面談のアプローチには応じる可能性があります。

一方、10月~11月から転職活動をスタートさせた層は、12月に最終選考や内定承諾のフェーズを迎えます。年内に転職先を確定させたいという意向が強く、企業側の対応スピードや熱意が意思決断や入社意欲に大きく影響すると考えられます。

12月は多くの企業が活動を緩める中、いかにして来たる1月~3月の採用活発期に備えるかで、翌年度の採用成果は大きく変わるでしょう。目先の応募数に一喜一憂するのではなく、12月を「戦略的な準備期間」と位置づけ、採用戦略の見直しや求人情報のブラッシュアップに努めることが大切です。

また、11月に引き続き、求職者の動向は二極化の傾向が続きます。企業は、異なる意向を持つ二つの層が同時に市場に存在することを理解し、それぞれのニーズに合わせたアプローチを心がけましょう。

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