2025年11月求人市場動向


ウマい人事編集長より、中途採用市場における企業側、求職者側の動き、それぞれの観点から最新の求人市況感をお届けいたします!

求職者の活動は活発化する一方で企業の採用活動は落ち着く傾向に

厚生労働省が令和7年10月に発表した『一般職業紹介状況(令和7年8月分)について』によると、令和7年8月の有効求人倍率は1.20倍であり、前月に比べて0.02ポイント減少しました。また、新規求人倍率は2.15倍であり、前月に比べて0.02ポイント減少しています。

引用:厚生労働省『一般職業紹介状況(令和7年8月分)について』

例年11月は、10月の落ち着いた市況から一転し、冬の賞与を見据え転職活動を開始する求職者の動きが活性化します。
一方、企業は繁忙期に突入したり、1月~3月の採用活動を見据え採用戦略や施策を見直したりするケースが増えるため、採用活動がやや落ち着きます。

株式会社マイナビが実施した「中途採用・転職活動の定点調査(2024年12月)」によると、2024年11月時点において企業の中途採用活動をした割合は、39.8%と他の月と比較して低い割合を示しました。
一方、2024年11月時点の正社員の転職活動をした割合は、3.6%と年度末前の3月や夏の賞与前後の7月に続き高い水準に位置しました。

引用:株式会社マイナビ『中途採用・転職活動の定点調査(2024年12月)』

例年、12月に入ると求職者の動きは鈍化します。年内までに採用目標数を達成したいと考える企業にとって、11月は年内最後のチャンスとなります。
求める人材を採用し損ねないよう、ダイレクトリクルーティングや人材紹介などを活用し、積極的に求職者との初期接点創出に努めましょう。

<企業の動き>

11月は、ターゲットに応じたアプローチ数が鍵

11月は、異なる意向を持つ求職者が同時に活動するため、企業はターゲットに応じた柔軟なアプローチや対応を意識しましょう。

年内入社を希望する求職者への対応

年内入社を希望する求職者に対しては、選考プロセスの最適化によるリードタイムの短縮と、迅速な意思決定体制の構築が不可欠です。この時期の求職者は、年内に転職先を確定させたい意向を持つ一方で、安易な決定は避けたいという心理も働いています。
そのため、単なる選考プロセスの迅速化にとどまらず、入社後の具体的な業務イメージや共に働く社員の様子など、企業との相性を見極められる情報提供を心がけましょう。

来春入社を検討する求職者への対応

来春入社を検討する層は、比較的時間に余裕を持って活動しており、選考過程の一つひとつを企業文化や体質を見極めるための判断材料としています。例えば、連絡の遅延、面接官の態度、画一的なコミュニケーションといった些細な対応が候補者に「大切にされていない」という印象を与え、内定辞退の直接的な要因となり得ます。反対に、一人ひとりに向き合う丁寧かつ誠実なコミュニケーションは、候補者の信頼を醸成し、入社意欲を高めるでしょう。
また、冬の賞与支給後に転職活動が本格化することを見据え、現時点からカジュアル面談やスカウトなどを通じて早期に接点を持ち、関係性を構築しておくことが有効です。その際には、事業の将来性や入社後のキャリアパスといった中長期的な視点での情報提供を丁寧に行い、自社への興味・関心を継続的に喚起することを意識しましょう。

<求職者の動き>

求職者は年内入社希望層と来春入社希望層に二極化

先述の通り、11月は、求職者の動きが再び活性化し始めるものの、年内入社を目指す短期決戦層と、来年4月入社を視野に入れる長期検討層が混在します。年内入社を希望する層は、現職のプロジェクトの区切りなどを機に、年末までに新たな環境でスタートを切りたいという明確な目的意識を持って活動しています。
一方、長期検討層は、冬の賞与を見据えながら、複数の企業をじっくり比較検討したいと考えています。

このように異なる志向を持つ求職者が同時期に活動を開始するため、企業はそれぞれのニーズを正確に捉え、求職者一人ひとりに合ったアプローチを心がけましょう。

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