2025年6月求人市場動向

ウマい人事編集長より、中途採用市場における企業側、求職者側の動き、それぞれの観点から最新の求人市況感をお届けいたします!
企業・求職者の動きは回復傾向に
厚生労働省が令和7年5月に発表した『一般職業紹介状況(令和7年3月分及び令和6年度分)について』によると、令和7年3月の有効求人倍率は1.26倍であり、前月に比べて0.02ポイント上昇しました。また、新規求人倍率は2.32倍であり、前月に比べて0.02ポイント上昇しています。
引用:厚生労働省『一般職業紹介状況(令和7年3月分及び令和6年度分)について』
4~5月にかけては、企業・求職者ともに一時的に活動が落ち着いていましたが、6月に入り双方の動きは活発化しており、回復傾向がみられます。
企業は、上半期の事業体制整備や下半期の組織強化に向け、採用活動に注力する動きがみられるでしょう。求職者も賞与や夏の長期休暇を一つの区切りとし、新たなキャリアを求めて積極的に動き出すと予想されます。
企業は、他の企業の動き出しに遅れをとらないよう、6月のうちから採用計画を見直し、戦略的に採用活動を進める体制を整えておきましょう。
<企業の動き>
母集団形成の強化と戦略的なアプローチが鍵
株式会社マイナビが公表している『正社員の求人件数・応募数推移レポート』によると、2023年6月、2024年6月の応募数は、それぞれの年の5月と比較して増加しています。
2025年も同様の傾向になると予想されるため、企業は採用環境が厳しさを増すことを踏まえ、より戦略的に採用活動を進める必要があるでしょう。
引用:株式会社マイナビ『正社員の求人件数・応募数推移レポート(2023年6月度)』
株式会社マイナビ『正社員の求人件数・応募数推移レポート(2024年6月度)』
具体的には、有料オプションの上位表示や注目枠表示を活用する、スカウト送付を用いて採用ターゲットにピンポイントにアプローチする、などの取り組みが挙げられます。
また、すでに年度明けから求人広告を掲載している企業は、夏採用に向けて掲載中の求人原稿を見直すのもよいでしょう。
6月は、ボーナスを受給した後に転職したいと考える層や下半期が始まる9月に合わせて転職を検討し始める層が増える時期です。各層に合わせてアプローチ内容を修正するだけでも、求職者からの反応が変わる可能性が期待できます。
7月や8月に入ると、採用競争はより激化すると予想されます。求める人材と早めに接点を持てるよう、母集団形成施策の見直しや強化を図りましょう。
<求職者の動き>
6月の求職者は転職意向高めの層と情報収集層に二極化
6月から転職活動を開始する求職者は、大きく次の2つの層に二分されると考えられます。
- 夏のボーナス受給後に退職を考えている層
- 9月入社を狙い、6月から情報収集を始めている層
夏のボーナス受給後に退職を考えている層は、9月入社を検討している層と比較して転職意思が固い傾向にあります。また、現職のボーナス支給のタイミングによっては早々に転職したいと考えている人も少なくないでしょう。
ボーナス受給後の退職を考えている層に対しては、スピード感のある選考が必須となります。加えて、選考過程では、退職理由のヒアリングに努め、ボーナス以外で感じていた不満を聞き出すことも大切です。
求職者の現職における不満を聞き出し、自社であればどのような改善が見込めるのかをアピールすることで、求職者の興味・関心を喚起できるでしょう。
一方、9月入社を狙い、6月から情報収集を始めている層は、6月を情報収集期間と置いている場合が多く、6月中の本格的な動き出しはあまりみられないと予想されます。中には転職するかどうかを迷っている人もいるため、初期接触で良い反応を得られないこともあるでしょう。
しかし、転職に対して一定の興味を示している層ではあるため、中長期的に関係性を築くことで自社に関心を示す可能性も期待できます。9月入社を前提に転職活動に取り組んでいる層に対しては、過度なアプローチは控え、時間をかけた関係構築に努めましょう。
このように6月から動き始める求職者は、転職意思や活動の積極性にやや差があることも少なくありません。そのため、企業は、求職者の状況や意向に合わせたアプローチやコミュニケーションを意識しましょう。
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ウマい人事編集部
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