中小企業が転職フェア・転職イベントに出展するメリットとは?選び方や成功のポイントまで解説


中途採用において、求人広告やスカウト施策だけでは十分な母集団を形成できず、課題を感じている中小企業は少なくありません。特に採用競争が激化する現在、求職者との接点をどれだけ早く・深く持てるかが採用成果を左右します。
そうした中で、あらためて注目されているのが転職フェア・転職イベントへの出展です。短時間で多くの求職者と直接会い、自社の魅力を伝えられる点は、中小企業にとって大きな可能性を秘めています。
本記事では、転職フェア・転職イベントの基本を整理したうえで、出展によって得られるメリット・デメリットに加え、成果につなげるための実践ポイントまで解説します。これから出展を検討している人事担当の皆さまは、ぜひ参考にしてください。

転職フェア・転職イベントとは?

転職フェア・転職イベントとは、複数の企業が一堂に会し、直接面談や会社説明を行う採用イベントです。合同会社説明会とも呼ばれ、中途採用における重要な採用手法の一つとして位置づけられています。企業はブースを構え、事業内容や仕事内容、働き方などを対面で説明します。求職者は複数社の話を一度に聞けるため、効率的に企業研究を進められる点が特徴です。

求人広告やスカウトと異なり、双方向のやり取りが前提となるため、書面では伝えきれない雰囲気や価値観を共有できます。また、イベントによってはその場で面談や一次選考を実施できるケースもあり、採用スピードを高める手段としても活用されています。

転職フェア・転職イベントに出展するメリット

転職フェアへの出展は、単なる母集団形成にとどまらず、中途採用活動全体にさまざまな効果をもたらします。ここでは、中小企業が特に実感しやすいメリットを紹介します。

1日の出展で多くの求職者に会える

転職フェアの最大の特徴は、短時間で多くの求職者と接点を持てる点です。通常の採用活動では、応募から面接まで一定の時間がかかりますが、転職フェアでは1日で数十人、多ければ100人近くの求職者と会うことができます。採用チャネルが限られがちな中小企業にとって、効率的な母集団形成手段となります。

自社の魅力を直接アピールできる

ブースでの対話は、求人票では伝えきれない自社の魅力を短時間で届けられる貴重な機会です。社風や価値観、仕事のやりがいといった定性的な情報は、言葉の選び方や表情、受け答えの丁寧さを通じて伝わりやすく、共感を軸にした応募動機につながります。
さらに、その場で質疑応答ができるため、求職者の関心点に合わせて説明を補足できます。
可能であれば中途入社社員に同席してもらうと、転職後のリアルが伝わり、企業理解の解像度が一段上がります。

求職者と相互理解を深められる

対面でのコミュニケーションは、企業側と求職者双方が志向や温度感を理解しやすい点が強みです。書面では伝わりにくいお互いの人柄や考え方なども捉えられるため、採用判断の精度が上がり、入社後のミスマッチ防止にもつながります。
一方的に説明するのではなく、場の緊張をほぐすアイスブレイクや、具体事例を交えた説明を用意すると、短時間でも納得感のある対話が成立するでしょう。

その場で面接が行える

イベントによっては、一次面接や次回面接の予約まで当日中に進められます。通常は応募受付、書類選考、日程調整と工程が増えますが、転職フェアでは「まず会って話す」ことを起点に、候補者の関心が高い状態で次回アクションを確定できます。選考辞退や連絡不通のリスクを抑えやすく、採用スピードの向上が期待できます。

潜在層にもアプローチできる

転職フェアには、今すぐ転職する顕在層だけでなく「良い会社があれば検討したい」という潜在層も多く来場します。求人検索では接点を持ちにくい層と早期に会話できる点は、中小企業にとって将来の採用につながり、認知形成や企業理解の場としても有効です。
潜在層を“育てる”視点で、当日だけでやりとりを完結させず、名刺交換や定期的なカジュアル面談など、次の接点を用意することが重要です。

採用ブランディングができる

出展そのものが企業の対外的な露出となり、採用ブランディングにも寄与します。ブースの装飾や配布物だけでなく、スタッフの受け答えや立ち居振る舞いが「この会社らしさ」として来場者の記憶に残ります。特に知名度が高くない中小企業にとっては、自社の存在を多くの求職者に知ってもらう貴重な機会となります。たとえ当日に採用につながらなくても、候補者の頭に残れば将来の転職検討時に想起されやすくなります。イベント後の検索流入を受け止める情報整備も併せて行うと効果的です。
また、地域密着型のイベントでは採用だけでなく取引先や協業先との接点が生まれるという付加価値も期待できます。

コストパフォーマンスが良い

転職フェアは出展費用が発生する一方、設計次第では採用単価を抑えやすい手段です。人材紹介では採用1名ごとに想定年収の30%〜35%ほどの成功報酬が発生しますが、転職フェアは一度の出展で複数名の面談・採用につなげられる可能性があります。
さらに、候補者の質問や反応から求人票やアピール内容の改善ポイントが見つかる可能性もあり、他チャネルの成果改善にも波及します。費用対効果を正しく見るには、当日の接触数だけでなく「面談予約数」「面接実施数」「内定承諾数」までKPIを分解して評価することが重要です。

転職フェア・転職イベントに出展するデメリット

転職フェアへの出展はメリットが多い一方で、注意すべき点も存在します。事前にデメリットを理解し、対策を講じることが重要です。

出展コストがかかる

転職フェアは、出展料に加えて装飾物や配布物の制作費、当日の人件費など、複合的にコストが発生します。重要なのは高い・安いではなく、何を成果として回収するかを先に定義することです。着席数や面談予約数など、KPIを分解して費用対効果を見立てます。
また、採用ターゲットと合わないフェアに出展すると、接触数は増えても採用につながりにくく、結果として採用単価が悪化するため、フェアの選び方も重要です。

人員の確保が必要になる

出展当日は、設営、呼び込み、説明、面談などさまざまな役割があるため、複数名のスタッフが必要です。運営だけでも3名程度、面談を実施する場合は4〜5名は配置するのが最適です。さらに、準備段階でも配布資料やトークスクリプトの準備、当日の動線設計など、想定以上に工数が積み上がります。土日開催が多い点も含め、通常業務への影響を見越した調整が不可欠です。リソースが足りないまま出展すると、説明が浅くなる、対応が滞る、面談が取れないなど機会損失につながります。
成功させるには何人でどこまで実施するかを先に決め、現場の協力も含めて体制を確保しておきましょう。

採用バッティングが起きやすい

転職フェアには同業他社や大手企業も出展するため、求職者は会場内で複数社を比較します。その結果、条件面の見え方だけで勝負すると不利になる可能性があり、採用バッティングが起きやすい点は注意が必要です。
対策としては、条件以外で選ばれる理由を言語化し、短時間で自社の魅力を伝え切る準備をすることです。例えば、任せる仕事範囲、意思決定の早さ、育成方針、現場の裁量など、自社ならではの価値を具体例で示すことも有効でしょう。

転職フェア・転職イベントの種類と選び方

転職フェア・転職イベントには、規模や対象によっていくつかの種類があり、それぞれ来場者の志向や温度感が異なります。そのため「とりあえず知名度の高いイベントに出る」という選び方では、期待した成果につながりません。重要なのは、募集職種や採用ターゲットに応じて最適な種類を選定することです。
ここでは代表的な4つの転職フェアの特徴を整理します。

総合型フェア

業界や職種を問わず多くの企業が出展する大規模な転職フェアです。来場者数が多く、幅広い求職者と接点を持てる点が特徴です。そのため、採用ターゲットを広めに設定し母集団形成を重視したい場合や、将来の採用につながる接点づくりを目的とする企業に適しています。
一方で、来場者の転職意欲にはばらつきがあり、単に説明を行うだけでは印象に残りにくい傾向もあります。短時間で興味を引き、ブース滞在や面談につなげる導線設計が欠かせません。

特化型フェア

20代、女性、第二新卒など、特定の属性や条件にフォーカスした転職フェアです。代表的な例として、若手層向けの『Re就活転職博』や、女性の転職に特化した『女の転職type転職イベント』などが挙げられます。
来場者の属性が明確なため、自社の採用ターゲットと合致していれば、効率的に候補者と出会える点が大きなメリットです。訴求内容もターゲットに合わせて設計しやすく、ブースでの会話を選考につなげやすい傾向があります。採用ターゲットが明確で、ピンポイントに母集団を形成したい企業に向いています。

業界・職種別フェア

ITエンジニア、医療・介護、製造業など、特定の業界や職種に特化した転職フェアです。来場者は専門分野への関心や一定の知識・経験を持っているケースが多く、企業側も専門性を前提とした会話ができる点が特徴です。
そのため、専門人材の採用や即戦力層の確保を目的とする企業にとって、効率の良い母集団形成が期待できます。訴求内容も業界特有の課題や技術、キャリアパスに踏み込んだ説明が可能で、他社との差別化を図りやすい点が魅力です。
一方で、来場者数は総合型に比べて限定的になるため、採用人数や緊急度に応じた見極めが必要です。特定職種を戦略的に採用したい企業に適したフェアと言えます。

地域別フェア

特定の都市やエリアに焦点を当てた転職フェアで、U・Iターン希望者や、地元就職を志向する求職者が多く集まります。勤務地へのこだわりが明確な来場者が中心となるため、エリアミスマッチが起きにくい点が特徴です。地方拠点での採用や、地域密着型の事業を展開する企業にとっては、効率的な採用手段となります。また、仕事の魅力だけでなく、地域の暮らしや働き方をあわせて伝えられるため、定着率向上にも寄与します。
さらに、単なる採用イベントにとどまらず、企業ブランディングと地域プロモーションを両立できる点も強みです。地方採用を強化したい企業や、長期的に地域と関係を築きたい企業におすすめです。

転職フェア・転職イベントを成功させるためのポイント

転職フェアは、出展すれば自動的に成果が出るわけではありません。限られた時間とリソースの中で成果を最大化するには、事前準備から当日の運営、事後フォローまでを一連の採用プロセスとして設計する必要があります。特に中小企業の場合、知名度や条件面での不利を補うには、準備と現場対応の質が結果を大きく左右します。
ここでは、転職フェアを採用成果につなげるために押さえておきたい実務的なポイントを整理します。

採用ターゲットに適した転職フェアを選定する

開催ごとに来場者の年齢層、経験値、転職意欲は異なるため、フェアへ訪れる求職者層と自社の採用ターゲットと一致しているかを必ず確認しましょう。第二新卒向け、専門職特化型、地域密着型など、フェアの特性を理解せずに出展すると、母集団は集まっても歩留まりが悪化する恐れがあります。
選定時は、主催者から過去の来場者属性や採用実績を確認し、複数候補を比較検討することが重要です。「どんな求職者に会いたいのか」を明確にしたうえでフェアを選ぶことが、費用対効果を高める第一歩になります。

余裕を持ったスケジュールで事前準備を徹底する

転職フェアの成否は、当日の運営だけでなく、事前準備に大きく左右されます。まずは面談数、次回選考進出者数といった具体的な目標とKPIを設定しましょう。そのうえで、年齢層、経験年数、スキルレベル、志向性など採用ターゲット像を明確にし、質問項目や判断基準まで参加スタッフ全員ですり合わせておくことが重要です。また、トーク内容も整備し、誰が対応しても一定の品質を保てる状態に整えておきましょう。
資料作成、装飾、役割分担、当日の動線などをフェア開催の1か月前を目安に逆算し、チェックリストで進捗管理を行うことで、当日の混乱を防ぎ対応の質を高められます。

ブースの動線や装飾を工夫する

転職フェア会場では多数の企業ブースが並ぶため、第一印象で足を止めてもらえるかが重要です。遠目からでも特徴が伝わる社名表示やキャッチコピー、統一感のある配色を意識しましょう。ブース内は、気軽に立ち寄れる開放感を保ちつつ、面談時には適度なプライバシーを確保できる配置が理想です。
会場レイアウトを事前に確認し、他社との位置関係や来場者の導線を想定した設計を行うことで、接触機会を最大化できます。配布資料も装飾と連動させ、持ち帰った後も記憶に残る工夫を施すことが効果的です。

人員配置の最適化を行う

誰をどこに配置するかによって、得られる情報と印象が大きく変わります。説明担当、呼び込み担当、面談担当など役割を明確に分け、対応が滞らない体制を整えましょう。採用ターゲットに近い年齢層の社員や中途入社者、配属予定部署のメンバーが参加すると、求職者との距離が縮まりやすくなります。現場社員が語るリアルな話は、企業理解を深める材料になります。人数を増やすことよりも、役割と目的に合った配置を意識することが重要です。

呼び込み役を配置し求職者を誘導する

積極的な声かけは、ブース来訪数を大きく左右します。呼び込み専任の担当を配置し、短時間で魅力を伝えるトークを用意しておきましょう。明るく笑顔で挨拶を行い「どんな職種を探していますか?」といった具体的な声かけが効果的です。
また、年齢層や服装、持参している資料などから求職者の志向性を判断し、それに合わせたトークで関心を引くことが重要です。若手層には成長機会や働き方、キャリア層には専門性を活かせる環境など、訴求ポイントを切り替え、短時間の接点でも印象を残せるアプローチを行いましょう。

求職者が抱いている疑問・不安の解消を心がける

転職フェアに来場する求職者は、仕事内容や条件だけでなく、働き方や職場の雰囲気への疑問や不安を抱えています。そうした背景を理解し、一方的な説明で終わらない対話が信頼の獲得につながります。よくある質問は事前に整理し、回答を統一しておくことで、対応の質が安定します。また、表情や反応から不安を察し、丁寧に補足する姿勢も重要です。落ち着いた対話を通じて安心感を提供できる企業は、求職者のエントリーへの意欲も高めやすくなります。

次の面談や選考の予約につなげる

ブースでの対話が終わった後は、次のステップへ自然に誘導しましょう。名刺交換や後日連絡で終わらせず、その場で「来週オンライン面談はいかがですか?」「ご都合のよい日程はありますか?」といった具体的な提案が重要です。あらかじめ面談枠や選考フローを確認しておけば、会話の流れで自然に日程調整ができます。
求職者の熱量が高いうちに素早く次の選考プロセスを提示することが、採用成功率を大きく左右します。

まとめ

転職フェア・転職イベントへの出展は、中小企業にとって多くの求職者と直接出会い、自社の魅力や価値観を短時間で伝えられる有効な採用手法です。母集団形成にとどまらず、相互理解の深化や採用スピードの向上、採用ブランディングにもつながる点は大きなメリットと言えます。
一方で、出展には一定のコストや人員確保、事前準備の負担が伴います。そのため「誰に会いたいのか」「何をゴールとするのか」を明確にしたうえで、イベント選定からブース設計、当日の運営、次の選考につなげる導線までを一貫して設計することが欠かせません。

転職フェアは、単発の施策として捉えるよりも、継続的な採用活動の一部として活用することで真価を発揮します。自社に合ったイベントを選び、準備と運用を積み重ねていくことで、採用ノウハウの蓄積や中長期的な採用力の向上にもつながります。
採用チャネルの一つとして、ぜひ自社の状況に合わせた活用を検討してみてください。

コラムを書いたライター紹介

ウマい人事編集部

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人事担当者に役立つ情報を集めることが日々の日課。仕事のモチベーションは疲れた時に食べる人参です。

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