面接フィードバックとは?効果的な伝え方や項目、例文を紹介


近年、採用活動時に応募者に対してフィードバックを行う企業が増えつつあります。面接フィードバックは、企業イメージの向上や採用ミスマッチ低減にも寄与する施策です。

しかし、「効果的な伝え方がわからない」「何を伝えたら良いのかわからない」と悩み、採用活動に導入できずにいる採用担当者も多いのではないでしょうか。

そこで今回は、面接フィードバックの効果的な伝え方や項目について解説します。さらに例文も交えて紹介するためぜひご参考ください。

面接フィードバックとは?

面接フィードバックとは、面接を終えた応募者に対し、選考結果と併せて、面接中の言動に基づいた評価や今後の成長につながる具体的なアドバイスを伝える取り組みです。良い点だけでなく、改善点も伝えることで、応募者の自己成長を促します。また、フィードバックは選考の透明性を示してくれるため、企業の誠実な姿勢を伝える役割も果たします。

面接フィードバックの目的

本章では、面接フィードバックの主な目的について解説します。

ミスマッチの防止

面接フィードバックを行うことにより、企業と応募者の間で認識のずれが解消され、入社後のミスマッチを防ぐことができます。例えば、応募者が自己PRで強調していた点が企業の求める人物像と異なっていた場合、フィードバックでその点を明確に伝えることで、ミスマッチや入社後の早期離職を防ぐことができるでしょう。

企業イメージの向上

丁寧で誠実なフィードバックは、応募者に良い印象を与えるでしょう。たとえ不採用だったとしても、フィードバックを通じて企業の真摯な姿勢が伝わることで、企業イメージの向上につながります。

SNSなどで企業の評判が拡散されやすい現代においては、面接フィードバックは企業イメージを向上させるブランディングの効果も期待できるでしょう。

応募者の成長支援

面接フィードバックは、応募者にとって自身の強みや弱みを客観的に知る貴重な機会となります。具体的なフィードバックを受けることで、今後のキャリア形成やスキルアップに役立てられるでしょう。

選考の透明性の担保

選考過程や合否判断の根拠を明確に伝えることで、選考の透明性を担保できます。応募者は、フィードバックを通じて自身の評価に対して納得感を持つことができるでしょう。

面接フィードバックが注目される背景

面接フィードバックが注目されるようになった背景には、次の2つの要因があると考えられます。

求職者の企業選択意識が高まっているため

インターネットやSNSの普及により、求職者は企業に関する情報を容易に取得できるようになりました。そのため、企業を選ぶ目は厳しくなり、待遇や仕事内容だけでなく、企業の姿勢や価値観も重視する傾向が強まりつつあります。

丁寧なフィードバックは、応募者に誠実な姿勢を示せるため、企業イメージの向上につながることもあります。 面接フィードバックの取り組みによってポジティブな評価の口コミが広がれば、求職者に選ばれる可能性を高められることもあるでしょう。

採用ミスマッチ防止のため

採用ミスマッチは、新しく採用した人材の早期離職やパフォーマンスの低下を招く要因となります。また既存社員のモチベーションを低下させるリスクもあるため、採用活動では採用ミスマッチの防止に努めることが重要です。

その点、面接フィードバックは、企業が求める人物像や業務内容など、企業が定める入社後の期待値を応募者が正しく理解できる機会となります。「どのような成果を期待されているのか」「どのようなスキルを求めているのか」などをしっかり理解した上で入社に至るため、入社後のミスマッチが低減し、早期の活躍を促すことができるでしょう。

面接フィードバックの種類

面接フィードバックは、大きく分けてポジティブフィードバックネガティブフィードバックの2種類があります。
ポジティブフィードバックとネガティブフィードバックをバランス良く伝えることで、応募者は自身の強みと弱みを客観的に理解し、今後の成長につなげることができるでしょう。

ポジティブフィードバック

ポジティブフィードバックは、応募者の強みや優れている点、特に評価したポイントを伝えることを指します。単に良かった点を羅列して伝えるのではなく、「面接での受け答えが非常に丁寧で、コミュニケーション能力の高さを感じました。あなたのコミュニケーション能力の高さは、営業職でも活かせるでしょう」などのように、なぜ評価したのか、どのような点が良いと感じたのかを伝えることが大切です。

ネガティブフィードバック

ネガティブフィードバックは、応募者の改善点や課題に感じたポイントを伝えることを指し、応募者の今後の成長を促します。ネガティブフィードバックを伝える際は、「経験不足が今回の選考に影響しました。〇〇の分野について、今後さらに知識を深めていくことで、より活躍の場が広がると思います」などのように、否定的な指摘に終始せず、客観的な視点で成長を促すアドバイスを伝えることがポイントです。

また、人格否定と受け取られないよう、言葉選びには十分注意しましょう。例えば、「あなたの考え方は間違っている」といった人格を否定するような表現は避けましょう。「〇〇という観点から物事を考えると、より良いアイディアが生まれたり、高い成果を創出できる結果につながったりするかもしれません」といった提案型の表現を用いることで、応募者はフィードバックを受け入れられやすくなります。

面接フィードバックで伝える項目

ここでは、面接フィードバックで伝える項目と、それぞれの項目を伝えるべき理由、そして伝えるメリットを例文と共に解説します。

応募者の強み

面接フィードバックでは、応募者のどのような強みを評価したのかを伝えましょう。応募者は自身の強みがどのように評価されたのかを知ることで、自身の強みを再認識し、自信を持って今後の活動に取り組めるようになります。また入社意欲の向上に寄与することもあるでしょう。

他にも、企業が候補者のどのような点を評価したのかを具体的に伝えることで、「自分のことをきちんと見てくれている」という印象を与え、企業への信頼感が高まるでしょう。

【フィードバック例】

「〇〇さんのマネジメント能力は、弊社の業務においても大いに活かせると思います。特に、現職で〇〇プロジェクトのリーダーとしてプロジェクトを成功に導いた経験は、弊社で高く評価しています。ぜひ〇〇さんの能力を弊社で発揮いただきたいと考えています。」

改善が必要なポイント

改善点を伝えることは、応募者の成長を支援するだけでなく、企業への信頼向上にも寄与します。真摯なフィードバックは、「自分のために時間を割いて、真剣にアドバイスをくれている」という印象を与え、企業への信頼感が高まるでしょう。また、どのような点が評価されなかったのかを明確にすることで選考の透明性を担保され、候補者は選考結果に納得しやすくなり、企業に対する不信感を抱きにくくなるでしょう。

ただし、人格否定と捉えられないよう、言葉選びには十分に配慮しましょう。

【フィードバック例】

「面接の中で、〇〇についてもう少し詳しく説明していただけると、より理解が深まったと思います。例えば、具体的な数値データや事例を交えて説明することで、より説得力が増すでしょう。今後の面接では、具体的な事例や数字を用いて説明することを意識してみてはいかがでしょうか。表現方法や伝え方を工夫することで、〇〇さんの魅力がより伝わりやすくなると思います。」

合否判断の根拠

面接フィードバックでは、合否を判断した根拠も一緒に伝えましょう。

合否判断の根拠を伝えることで、他のフィードバック内容に対する納得感も高められます。また、不採用となった応募者は、評価の根拠を知ることで、選考結果を客観的に受け止められるようになるでしょう。

【合格の場合のフィードバック例】

「〇〇さんがこれまで担ったプロジェクト経験は、弊社の現在進めている〇〇プロジェクトをお任せする上で必要とする経験と親和性が高く、即戦力としてご活躍いただけると判断いたしました。また、面接でお話いただいた〇〇に対する熱意からも、弊社で大きな成果を出していただけると確信しております。」

【不採用の場合のフィードバック例】

「今回の選考では、〇〇さんのご経験と弊社の求めるスキルとの間に、若干のギャップが見られました。特に、〇〇に関する経験は、現時点では弊社の業務に必要なレベルに達していないと判断いたしました。しかし、〇〇さんの〇〇に対する意欲は高く評価しており、今後経験を積むことで、更なるご活躍が期待できると思います。」

面接フィードバックで意識すべきポイント

面接フィードバックを行う際は、以下のポイントを意識することで、フィードバックの効果を高められるでしょう。

候補者のタイプに合わせて伝える

応募者のタイプに合わせて伝え方を変えることで、より効果的なフィードバックとなるでしょう。例えば、経験豊富なベテラン層に対しては、これまでの経験を尊重しつつ、今後のキャリアにつながるようなフィードバックを意識しましょう。一方、若手層には、成長を促すようなフィードバックや具体的なアドバイスなどを伝えることがポイントです。

ポジティブな言い回しを意識する

ネガティブな内容を伝える場合は、否定的な表現は避け、「こうすればもっと良くなる」といった肯定的な表現を用いましょう。ポジティブな言い回しを心掛けることで、応募者はフィードバックを受け入れやすくなります。
例えば、「〇〇が不足している」という表現ではなく、「〇〇を強化することで、さらに活躍の場が広がる」といった表現を意識しましょう。

一方的な評価にならないように双方向のコミュニケーションを意識する

フィードバックは、一方的な評価にならないように、双方向のコミュニケーションを意識することが重要です。応募者からの質問を受け付けたり、意見を求めたりすることで、より建設的なフィードバックになるでしょう。

まとめ

面接フィードバックは、選考の透明性を高め、企業イメージの向上に寄与する取り組みの1つです。また、採用ミスマッチを防止し、採用に至った応募者のモチベーションを高める効果も期待できます。

ただし、面接フィードバックを行う際は、単に選考結果を伝えるだけでなく、応募者一人ひとりの個性や可能性を尊重し、真摯に向き合う姿勢が不可欠です。企業の採用担当者は、最適なフィードバックができるよう、面接フィードバックを実施する意味や得られる効果を理解しておきましょう。

ぜひ面接フィードバックを効果的に取り入れ、自社の採用力・ブランドイメージ向上に取り組んでみてください。

コラムを書いたライター紹介

日向妃香

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採用系コンサルタントとして企業の採用サポート・採用戦略構築・採用ノウハウの提供を行いながらライターとしても活動中。
得意分野は新卒採用とダイレクトリクルーティング。

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