【人事向け】STAR面接とは?注目される背景や導入するメリット・注意点も解説


採用活動における面接では、質問を通して人柄や考え方など、応募者の本質を見極める回答を引き出すテクニックが求められます。
しかし質問が型化していたり、応募者の本質に迫る質問ができなかったりと、質問方法や面接官の技量に悩みを持つ企業も多いのではないでしょうか。

そこで今回は、面接の見極め精度を高められると言われている『STAR面接』について概要を解説するとともに、導入のメリットや注意点もお伝えします。

STAR面接とは

STAR面接とは、Situation:状況」「Task:課題」「Action:行動」「Result:結果」の順に応募者の過去の行動を深掘りする面接手法です。「行動面接」と呼ばれることもあり、この4つの観点から過去の行動について質問を重ねることで、思考傾向や行動特性などを把握できると言われています。

Situation:状況

Situation(状況)に関する質問は、応募者に対してどのような状況に置かれていたのかを問う質問です。「状況質問」とも呼ばれ、行動を起こす要因を知るためには、まず行動そのものではなく、行動を起こした時の背景や状況を把握する必要があります。

Situation(状況)の質問例】

  • チームの人数は何名でしたか。
  • あなたはチームの中でどのような役割を担っていましたか。

Task:課題

Task(課題)は、「課題質問」と呼ばれ、応募者がSituation(状況)で回答した状況下において直面した課題に関する質問のことを指します。課題と感じた理由を問うことで思考パターンを見極められたり、トラブルに直面した時の行動を深掘ることで応募者の人物像をより正確に把握できるようになったりします。

Task(課題)の質問例】

  • あなたが直面した一番大きなトラブルは何でしたか。
  • チーム全体で直面した課題を教えてください。
  • 課題を解決するためにあなたが考えた解決策を教えてください。

Action:行動

Action(行動)は、「行動質問」と呼ばれ、課題やトラブルに対して実際起こした行動や行動の理由について深掘る質問です。
実際に取った行動や行動に至った思考パターンを確認することで、行動特性や思考傾向を把握できる他、課題解決力の有無や自社とのマッチ度を見極めることができます。

Action(行動)の質問例】

  • 課題を解決するために、あなたが一番に取った行動は何ですか。
  • なぜ、その行動を一番に実施したのですか。
  • トラブル対応にあたって、何を一番意識しましたか。
  • 課題解決の際、一番大変だと感じたことを教えてください。

Result:結果

Result(結果)は、行動によってもたらされた結果や影響について確認する質問です。「結果質問」と呼ばれ、これまでの行動からどのような学びを得たのか、どのような成長につながったのかなどを深掘ります。

Result(結果)の質問例】

  • 同じトラブルに遭遇した時、次はどのような行動を起こしますか。
  • 同様のトラブルを起こさないために、まず何から改善すべきでしょうか。
  • あなたが課題から学んだことはありますか。その学びは、今どのように活かされていますか。

STAR面接が注目される理由

STAR面接は、Amazon社やGoogle社といった大手企業でも導入されている面接手法であり、日本でもSTAR面接で用いられるフレームワークを意識した面接を実施する企業が増えつつあります。近年、STAR面接が注目されるようになった理由としては、採用ミスマッチの防止に寄与することが期待できる点が挙げられます。

従来の面接では、「自己PR」や「志望動機」など、質問の内容が型化されており、多くの応募者は事前に回答を用意するため、応募者の本質や本来の姿を見極めづらい側面がありました。また、応募者の内面を引き出すためには、適切なタイミングで有用な質問を実施するテクニックも必要になることから、応募者の本質を十分に見極められないまま採用に至るケースもあり、採用ミスマッチが発生する要因になっていました。

その点、STAR面接は、応募者自身の過去の行動について掘り下げるため、応募者の思考傾向や行動特性といった内面を把握しやすくなります。また高度な面接テクニックも不要であることから、面接官の経験に左右されることなく応募者の本質を見極められるようになると言われています。

結果的に自社にマッチする人材だけをフィルタリングできるようになり、採用ミスマッチ低減にも寄与することが期待できます。

STAR面接を導入するメリット

STAR面接を導入することで、以下のようなメリットが得られると考えられます。

応募者の内面を見極められる

STAR面接では、過去の行動について「Situation:状況」「Task:課題」「Action:行動」「Result:結果」の順に質問を重ねていきます。1つの行動に対して質問を重ねることで応募者がどのような価値観を持ち、どのような思考パターンで問題解決に取り組んだのかが浮き彫りになるでしょう。

たとえば、課題やトラブルに対する対応方法や成功体験から得た学びを語る際に、応募者の判断基準やモチベーションの源泉が明確になります。これにより、単なるスキルや経歴だけでなく、企業文化との適合性や、職場でどのような役割を果たせるかなどについて、より内面から見極められるようになるでしょう。

経験が浅い面接官でも要点を深掘りできる

STAR面接では、フレームワークに沿って質問を展開するため、経験が浅い面接官でも要点を深掘りしやすい利点があります。質問を深掘りできないまま面接が終わってしまうなどの事態も防止できるでしょう。

そのため、面接官の経験に左右されず、応募者の人柄や自社との適性を見極められることが期待できます。

STAR面接を導入する際の注意点

STAR面接を導入する際は、次のような点に注意が必要です。

応募者に対して圧迫感を与えないよう心がける

STAR面接は1つの状況や行動に対して質問を繰り返すため、圧迫面接だと捉えられてしまう懸念があります。また、応募者が委縮したり圧迫感を感じたりすると、本音を引き出せなくなり、適切な見極めができなくなってしまう可能性もゼロではありません。

STAR面接では、応募者の回答を否定する言動は控え、応募者がリラックスして臨めるような雰囲気を作ることを意識しましょう。

事実を掘り下げていくよう心がける

STAR面接で応募者の意見を掘り下げてしまうと、事実に基づかない行動について質問を繰り返してしまう可能性があります。STAR面接の中で応募者の意見を掘り下げるのも良いですが、本質から逸れてしまわないように留意しましょう。
STAR
面接はあくまでも応募者の過去の行動を深掘る手法です。応募者の意見を掘り下げたい時は、STAR面接が終了した後など、別に質問する機会を設け、STAR面接とは切り離した状態で質問するようにしましょう。

見極めたい特性別|STAR面接のフレームワーク例

最後に、見極めたい特性別にSTAR面接のフレームワーク例を紹介します。

「主体性」を見極めるフレームワーク例

主体性を見極めるフレームワーク例は、次の通りです。

【状況質問】

「これまでに自分から進んで新しいプロジェクトやタスクに取り組んだ経験はありますか。」
「過去に、自らの提案やアイデアで業務の改善を図った経験がありますか。その状況はどのようなものでしたか。」
「チームや上司からの指示がなく、自分で判断して行動したことがある状況について教えてください。」

【課題質問】

「その状況で、あなたはどのような課題に直面しましたか。」
「あなたが改善しようとした具体的な問題は何でしたか。」
「どのような理由で自ら行動する必要があると判断しましたか。」

【行動質問】

「その課題に対して、具体的にどのような行動を取りましたか。」
「あなたは自分の提案やアイデアを実行するために、どのような手順を踏みましたか。」

【結果質問】

「その結果、どのような成果を得られましたか。」
「あなたの行動がチームや業務にどのような影響を与えましたか。」
「最終的な結果はどのようなもので、それについてどう感じましたか。」

「協調性」を見極めるフレームワーク例

面接で協調性を見極めたい場合は、次のフレームワーク例を参考にしてみましょう。

【状況質問】

「チームで協力して何かを成し遂げた経験について教えてください。その時の状況について詳しく教えてください。」
「過去に、異なる意見を持つメンバーと協力しなければならなかった状況はありましたか。またその時の状況について説明してください。」
「他のメンバーのサポートが必要だったプロジェクトやタスクとその時の様子を教えてください。」

【課題質問】

「その状況で、メンバーと衝突したことはありましたか。」
「異なる意見を持つメンバーと、どのようにして共通の目標に向かって取り組みましたか。」
「チームで協力する際に、最も課題に感じたことは何でしたか。」

【行動質問】

「その課題に対して、あなたはどのように行動しましたか。」
「意見の違いを乗り越えるために、具体的にどのようなコミュニケーションを取りましたか。」
「チームの成功のために、どのような役割を果たしましたか。」

【結果質問】

「あなたの行動がチームやプロジェクトにどのような影響を与えましたか。」
「チームとしてどのような成果を上げることができましたか。」
「結果として、チームメンバーとの関係にどのような変化がありましたか。」

「ストレスへの耐性」を見極めるフレームワーク例

応募者のストレスへの耐性を見極めたい場合は、下記フレームワーク例を参考にしてみてください。

【状況質問】

「プレッシャーのかかる状況で仕事をした経験はありますか。その時の状況を詳しく教えてください。」
「これまでに時間的に厳しい納期を課せられたり複数のタスクを同時にこなしたりする必要があった経験はありましたか。」
「予想外のトラブルや困難に直面した状況があれば、その状況を説明してください。」

【課題質問】

「その状況で、最も大きなストレスになった要因は何でしたか。」
「具体的にどのような課題や障害に直面しましたか。」
「その状況で、どのような解決策が求められていたのですか。」

【行動質問】

「その課題に対して、あなたはどのように対処しましたか。」
「ストレスを乗り越えるために、どのような方法を取りましたか。」
「どのようにして冷静さを保ち、効率的に仕事を進めましたか。」

【結果質問】

「その状況を乗り越えた結果、どのような成果を得られましたか。」
「ストレスの多い状況下での経験を通じて、何を学びましたか。」
「同様の状況に対処する際、アプローチ方法に変化は生じましたか。」

まとめ

STAR面接は、「Situation:状況」「Task:課題」「Action:行動」「Result:結果」の4つの視点から応募者の本質を見極めるフレームワークとして注目を集めている手法です。採用ミスマッチに悩む企業や面接で応募者の本質に迫る質問ができないと悩む企業にとって、有用性の高い面接手法となる可能性を秘めています。

本記事で紹介した内容を参考に、STAR面接を取り入れ、見極め精度の高い面接へとブラッシュアップさせましょう。

コラムを書いたライター紹介

日向妃香

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採用系コンサルタントとして企業の採用サポート・採用戦略構築・採用ノウハウの提供を行いながらライターとしても活動中。
得意分野は新卒採用とダイレクトリクルーティング。

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