【人事担当者向け】秋・冬インターンシップ運営のポイントと夏インターンシップとの違い
インターシップは、学生と直接的な接点を創出できる他、学生への認知や動機付けにも有効です。さらに採用競争が激化する新卒採用においては、採用成功を左右する重要な施策の1つとも言えるでしょう。
インターンシップの重要性の高まりに伴い、最近では秋・冬インターシップの注目も高まりつつます。しかし一方で夏インターンシップとの違いを理解しておかなければ、期待する成果を得ることはできません。
そこで今回は、学生の秋・冬インターンシップへの参加意欲や夏インターンシップとの違いを解説すると共に、秋・冬インターンシップ運営のポイントをお伝えします。
学生の秋・冬インターンシップへの参加意欲
新卒採用活動においてインターンシップを実施する企業が増えていることもあり、学生・企業ともにインターンシップの重要性は高まりつつあります。
「就活会議」(株式会社リブセンス)とHR総研が実施した『2021年卒学生の就職意識調査結果報告』によると、11月初旬の調査時点において11月~1月にかけて実施される秋・冬インターンシップに参加を予定している学生の割合は次の通りとなりました。
- 11月:文系61% 理系36%
- 12月:文系69% 理系56%
- 1月:文系45% 理系48%
【今後参加予定のインターンシップの時期】
引用:HR総研×就活会議『2021年卒学生の就職意識調査結果報告』
インターンシップと言えば、夏に開催するイメージを持っている人事ご担当者様も少なくないでしょう。しかし本調査から学生の秋・冬インターンシップへの参加意欲は高く、特に12月は理系学生も半数以上がインターンシップへの参加意向を示しています。
続いて、株式会社マイナビが行った『2025年卒大学生インターンシップ・就職活動準備実態調査(6月)』では、2024年卒学生のインターンシップ・仕事体験に参加した単月での割合は、11月(53.7%)、12月(63.6%)、1月(54.8%)でした。
また2025年卒学生に対し、これまでにインターンシップ・仕事体験に参加したか(6月時点)を問う設問では、これまでに参加したことのある割合は39.8%であり、対前年比10.9ptも増加しています。
引用:株式会社マイナビ『2025年卒大学生インターンシップ・就職活動準備実態調査(6月)』
年々インターンシップ・仕事体験への参加が増える中で、2025年卒学生の秋・冬インターンシップの参加率も前年度より上回ると考えられます。
採用活動における秋・冬インターンシップの重要性は、より一層高まると言えるでしょう。
夏インターンシップと秋・冬インターンシップの違い
学生の秋・冬インターンシップ参加意欲は、夏インターンシップと同様に高いことが分かりました。しかし夏インターンシップと秋・冬インターンシップとでは、学生のインターンシップ参加目的が大きく異なります。
秋・冬インターンシップを実施する際は、夏インターンシップとの違いを理解しておくことが大切です。
夏インターンシップに参加する学生の主な目的は、次の通りです。
- 視野を広げるため
- どの業界・職種を志望するか明確にするため
- 「働く」とはどういうことか理解するため
このように学生は、自身のやりたいことや適性の見極めを目的に夏インターンシップに参加する傾向があります。
一方、秋・冬インターンシップに参加する学生の目的は、次の通りです。
- 本選考へのルートを確保するため
- 志望度の高い企業の業界・企業理解を深めるため
3月のグランドオープン直前のタイミングであることから、秋・冬インターンシップに参加する学生は“選考”を強く意識している傾向があります。
そのため学生はある程度、志望業界や職種、さらには選考に臨む企業を絞り込んでいる状態にあり、より業界・企業理解を深めることを目的にインターンシップに参加しています。
両者の違いを理解した上で、秋・冬インターンシップは学生の参加目的に沿ったコンテンツに仕上げることがポイントです。
秋・冬インターンシップ運営のポイント
最後に、先述の夏インターンシップと秋・冬インターンシップの違いを踏まえた上で、秋・冬インターンシップ運用のポイントを3つ紹介します。
学生のスケジュールを鑑みた日程設計
11月~翌年の1月にかけては、年末年始の帰省や学期末テストなどがあり、学生の予定が埋まりやすい時期です。無計画に日程を設計してしまっては、せっかく秋・冬インターンを開催したとしても学生が集まらない可能性があります。
秋・冬インターンシップを実施する際は、学生のスケジュールを鑑みた日程設計を行いましょう。
インターンシップのスケジュールを設計する際、採用歴のある大学や採用したい大学層のテスト期間・冬休みなども調べた上でインターンシップ実施日程を定めていくことをおすすめします。
また実施期間も、1dayや半日といった学生が参加しやすい期間で設計していきましょう。
日程が合わず参加を見送る事態を防げるでしょう。
選考につなげていく導線作り
3月のグランドオープンが目前に迫る秋・冬インターンシップでは、参加した学生がそのまま本選考につながるような導線作りも意識しましょう。
参加学生にリクルーターを付けたり、座談会やOB/OG面談などを実施するのも良いでしょう。このような施策・イベントの実施が難しい場合は、「秋・冬インターン参加者は、一次選考免除」など、秋・冬インターンシップ時点で本選考エントリーへの動機付けをしておくのも1つの方法です。
また本選考まで定期的に連絡を取り、学生との関係性を深めていくことにも注力しましょう。
夏ルートと秋・冬ルートを作ることも視野に入れておく
株式会社ワークス・ジャパンが2024年卒業予定の4年生及び院2年生会員を対象行った『24卒採用市場の振り返り調査』では、年々進んでいる選考の早期化が学生の選考参加時期に大きく影響している様子が伺えます。
2024年卒業予定の学生が企業の採用選考(インターンシップは除く)に参加した時期について、12~1月に参加と回答した割合が昨年度(2023年卒学生)の回答トップである「3月に参加」を上回る結果になりました。
引用:株式会社ワークス・ジャパン『24卒採用市場の振り返り調査』
多くの2024年卒学生は、秋・冬インターンシップと採用選考を同時に進めていたと推察されます。また12月~1月に参加した採用選考の大半は、夏インターンシップに参加した企業の選考である可能性が高いでしょう。
そのため、夏インターンシップに参加した学生と秋・冬インターンシップに参加した学生とではルートを分けて時期をずらし選考するのも施策の1つです。
そうすることで学生の取りこぼしを防ぐことができるでしょう。
まとめ
秋・冬インターンシップは3月のグランドオープン間近ということもあり、夏インターンシップよりも学生の選考への意識が高まる傾向があります。
企業は、そんな学生の意向を汲んだ上で、秋・冬インターンシップのコンテンツを設計する必要があるでしょう。また秋・冬インターンシップに参加した学生を本選考につなげる動機付け・導線作りも不可欠です。
秋・冬インターンシップで優秀な学生を囲い込み、本選考までしっかりとつなげていくことができれば質・量ともに充足した母集団の形成が叶うでしょう。
新卒採用においてインターンシップが不可欠な施策になる中で、採用競合との差別化を図り優秀な学生を採用するためには、各インターンシップの立ち位置や実施意義を理解しておくことが肝要です。
秋・冬インターンシップの実施を検討している企業は、ぜひ本記事の内容を参考に秋・冬インターンシップの内容をブラッシュアップしてみてください。
さらに秋・冬インターンシップ開始に向けて、本選考まで学生を誘導する導線が盤石なものなのか、再度見直しておきましょう。
コラムを書いたライター紹介
日向妃香
得意分野は新卒採用とダイレクトリクルーティング。
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