【連載】内定〜入社後、パフォーマンスを発揮する新入社員が育つ方法
「内定を出したが、入社後から活躍できる人材育成の方法がわからない」という課題と直面している人事担当者の方も多いのではないでしょうか。
今回はそのような初めて人事担当者を任された方に向けて、入社後に活躍できる人材を育てるためのフィードバックの重要性について解説します。
一般的に、新入社員がパフォーマンスを発揮するには定期的なフィードバックが大切と言われますが、本質を理解していなければ正しく活用することはできません。
ぜひ本記事を参考に、自社の人事制度でも実践いただけますと光栄です。
フィードバックにおける3つのポイント
フィードバックと一口に言っても方法はさまざまです。よかれと思って行ったフォードバックが「思わぬ悪い事態を引き起こした」ということも少なくありません。
つまり、フィードバックを間違えてしまえば、成長どころか会社への損失にもなりかねません。そこでまずは、新入社員に行うべきフィードバックの3つのポイントについて解説します。
ポイント1:焦点を行動に向ける
「焦点を行動に向ける」とは、フィードバックを受けた人物の意識が「自分」ではなく「行動」に向くようにすることです。たとえば「あなたは○○だからこうしたほうがよい」ではなく、「その行動は○○だからこうしたほうがよい」というように、行動自体を主語にしたほうがフィードバックの効果は高まると言われています。
ポイント2:管理可能な情報の単位にする
新入社員にとって新しい会社で触れる情報はすべてが新しく、処理に負荷がかかります。そのような状況のなか、情報量が多すぎたり細かすぎたりすると処理が追い付かず、フィードバックの効果が高まりません。
そのため、フィードバックする内容は「行動に落とし込めそう」と相手が思える範囲におさえることが大切です。
ポイント3:具体と抽象を使い分ける
一般的にフィードバックでは、「何が」「どのように」「なぜよかったのか」を具体的に伝えることが効果的とされています。ただし、受ける側の能力やモチベーションが高い場合は必ずしも有効とは限りません。また、自ら思考することが求められる応用課題などの場合は、具体的すぎると対象者の考える力が育ちません。そのため、状況や経験に応じて具体と抽象を使い分けることがフィードバックのコツです。
組織に慣れるためのフィードバックとは
実際に新入社員が育つフィードバックとはどのようなものなのでしょうか。有効なフィードバックを行うには、まず新入社員が会社に慣れることが必要です。その具体的なプロセスを関係性や環境づくりの観点もあわせて解説します。
進め方のポイント(プロセス)
いきなり「今日から当社の社員に相応しいマインドになってください」ということを伝えても効果的ではありません。まず入社直後は「良好な人間関係を築くにはこうしてみるといいですよ」という関係構築のフィードバックを行うことが重要です。
新入社員の関係構築が進めば、次は組織の規範に関するフィードバックを行います。「提案書を作成する際はこのフォーマットをベースにしてください」「勤怠管理のツールはこのように使ってください」といったように仕事の進め方について具体的な内容でフィードバックします。
あくまで周囲との関係性を築くことが先決であり、仕事の仕方のフィードバックなどはこの段階では控えたほうがよいでしょう。
リモートワークでのフィードバック
現在はテレワークが広く普及しており仕事の仕方も変化していますが、フィードバックにおいても対面で行うものとは少し勝手が違います。そこでオンラインで行うフィードバックについてのコツも解説します。
テレワークを行う新入社員が気軽に先輩や上司に助けを求めるのは困難です。そこでフィードバックをする側は、意識的に回数を増やすという取り組みが効果的です。たとえばフィードバックの時間を定期的に設けたり、社内チャットツールを利用して話がしやすい環境をつくることをおすすめします。
ただし、リモートワークの場合「会社への愛着や帰属意識を育むのが難しい」といった問題があります。そこで、組織を感じさせるようなフィードバックを行うためには、組織の代表として上司から会社の方針や目指しているゴールなどについて順序立てて共有することが大切です。このようなフィードバックを行うことで会社への愛着が深まっていくことが期待できます。
当社の新入社員育成の事例
フィードバックによる新入社員の育て方について話をしてきましたが、ここでは当社が行っている新人育成の取り組みについてご紹介します。
当社のビジネスモデルは、クライアントごとに課題解決を図るものであって、それは「人」にしかなせません。そのため、人材育成には常に注力してきました。
その一例として挙げられる取り組みが、人間成長、利他の精神、理念の浸透などのビジネスマインドを育むことを目的とした北海道仁木町で行う入社前研修制度です。当研修では代表自らが入社歴の浅い社員の研修にも参加し、直接教えを説くといったこともあります。また社内での採用面接後に入社1~3年目、現場管理職(チーム長)、部門責任者など、さまざまなポジションの社員が事前連絡なく呼び出され、情報交換を行う懇親会を実施しています。このような場で管理職や経営陣の飾らないリアルな声を聞くことで、より自社のビジネスモデルや理念への理解が深まります。
そのほか、参加メンバーをグループに分け、共通課題に取り組む宝探し・謎解きゲームのような研修も実施。この研修を通じて社員間に一体感が生まれ、組織の拡大に伴い所属先以外とのつながりが希薄化する問題の解決に成果をもたらしています。
まとめ
ここまで、内定〜入社後に新入社員に活躍してもらうまでのポイントについてお話してきましたが、いかがでしたでしょうか。
新入社員が順調に成長して成果を上げるためには、初期のフィードバックを正しく行うことが大切です。そのためにはまず会社に慣れてもらい、良好な関係性を築いていく意識を忘れてはいけません。その取り組みが結果的に社員1人ひとりのポテンシャルを引き出すだけでなく、帰属意識の高まりにより早期退職の対策につながります。
今回ご紹介した内容を参考に、新入社員がモチベーション高く活躍できる職場をつくっていきましょう。
コラムを書いたライター紹介
ウマい人事編集部
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