【連載】採用活動スタートから内定までに人事が知っておくべきノウハウ集


初めて人事の仕事を任された方や突如兼務で採用プロジェクトに参画した方の多くは「採用活動は始まったものの人事担当者の役割がイマイチよくわからない」というお悩みを抱えているのではないでしょうか。

本記事ではそのような採用活動ビギナーの方へ向けて、主に面談・面接のフェーズにおける採用人事のノウハウを詳しく解説しています。さらに面接官としての人事担当者の役割や、応募者に対する自社の魅力の伝え方などもご紹介しますので、ぜひご一読ください。

採用における人事の役割とは

人事担当者の仕事は、求人広告の出稿や応募者の面接・採用などの現場業務ではありません。採用活動においての人事担当者はプロデューサー的な役割を担います。

例えば採用活動のキモとも呼べる面談・面接においては、ストーリー設計がひとつのミッションです。求職者と接する面接官には、求職者の伴走者となる「フォロワー」、動機喚起を促す「モチベーター」、気づきを与える「インパクター」、迷いや懸念材料を取り除く「クローザー」の4つの役割があります。
プロデューサーである人事担当者はこれらの人事を的確に行い、面接・面談のシナリオを組み立てることが求められます。

面接官の4つの役割とポイント

先にご紹介しました面接官の4つの役割について、具体的な内容と適したタイプをそれぞれ詳しく解説します。

フォロワー

採用活動を通じて、求職者と最も多く接するのはフォロワーでしょう。フォロワーの役割は、求職者の伴走者として寄り添い、本音を引き出すことです。そして選考を継続したいと思ってもらい途中離脱を防ぐことが目的になります。相手の話をよく聞き、さらに共感性が高い人が適していますが、求職者の窓口でもある人事担当者が担うことが多いポジションでもあります。

モチベーター

モチベーターの役割は、その名の通りモチベーションを維持させ、さらには高めていくことです。求職者の求める待遇や条件に応じて自社の魅力を的確に伝え、入社意欲を喚起させます。面談・面接の初期段階で必要となる役割のため、主に一次面接でアサインすることが多いでしょう。当ポジションに求められるのは、定型的な言葉ではなく、自分の言葉で自社の魅力を伝えられる能力です。

インパクター

インパクターは、求職者に気づきを与えることが役割です。気づきとは、求職者がまだ知らない自社の魅力のことで、これに気づくことで「この会社で働きたい」という動機が強まります。さらに求職者に自社で働く覚悟を問い、入社確度の高い相手をクローザーにつなげるといった役割も担います。当ポジションは、社内で活躍している人材をアサインすると効果的でしょう。

クローザー

最終面接で候補者の迷いや懸念点を取り除き、入社を決断させるのがクローザーに求められる役目です。迷いがあれば、内定を辞退されてしまう可能性があるうえ、入社したとしてもパフォーマンスが発揮できないかもしれません。そうならないためにも役員や採用責任者などのその場で最終判断が下せる者が担当し、見極めを行うことが求められます。

【結論】各フェーズで適材適所なアサインを

フォロワーとモチベーターは、求職者に寄り添いながらも面談・面接において主に動機付けを行う役割を担い、インパクターとクローザーは後半の面談・面接を担当し、自社の魅力を伝えつつも採用すべきかを見極めることを役目とします。人事担当者は、各フェーズにおいてどのような役割があり、それぞれにどういったスキルが必要なのかを把握し、適材適所なアサインを行いましょう。

面接官との連携も重要

面談・面接において人事担当者の役割は、面接官のアサインだけではありません。

たとえば選考プロセスの長さは求職者の離脱のリスクを高めるということを意識し、採用ステップをなるべく短くするために取り組んだり、長期的に自社で活躍してもらうために、求職者の条件の優先順位を把握したりしておくことも重要です。

そしてさまざまな役割のなかでも、自社の強みや魅力を整理し、面接官に共有することは人事担当者の特に大切な仕事です。

会社の魅力には、大別すると「人」「仕事」「待遇」「事業」といった4つの要素があります。「人」は経営者や社員の魅力や、自分と似た経歴の人が活躍しているかなど、「仕事」はキャリアパスや技術・スキルの取得について、「待遇」は給与や福利厚生、「事業」は業績や技術・サービス面での優位性などです。

ただし強みだけではなく、課題などもきちんと伝えるよう面接官に指示を出しましょう。そうすることで求職者には誠実さも伝えることができます。

当社が面接で実施した事例

これまで人事担当者の役割についての話をしてきましたが、ここでは当社の面接事例を通して、さらに具体的な活用例をご紹介します。

仕事では先輩や上司から業務を教えてもらったり、助言を受けたりすることがありますが、それらの教えやアドバイスを実践するためには「素直さ」が必要となります。そこでその「素直さ」を見るため、面接官が「次の面接までに徳川家の1~15代将軍の名をすべて覚えてきてほしい」と指示をしたことがあります。徳川家の将軍をすべて暗記することは業務知識とは関係がありませんが、だからこそ、指示を実直に行う人は素直さを評価できます。

そのほか、お笑い芸人の経歴がある方には、一発芸の動画を送ってもらったこともあります。これも同様に芸人としてのプライドを一旦横に置いて、素直に相手の要望や指示を受け入れるかを確認するために取った面接でのエピソードです。

また、長く会社が続けば事業内容も変化していく可能性があります。当社も例に漏れず、時代のニーズに合わせてHR(ヒューマンリレーション)事業部やインバウンド事業部を新たに立ち上げました。面接官はこれらを見越して、会社の背骨となる不変的な理念はきちんと伝えたうえで、求職者自身がどうありたいのかのキャリアビジョンを聞いておくことが大切です。こうすることで求職者の「こんなはずではなかった」というミスマッチ防止につながります。

まとめ

ここまで、採用活動をスタートしてから内定までのフローにおける人事担当者の要点をご紹介しましたが、いかがでしたでしょうか。

面談・面接のストーリー設計から各面接官のアサイン、ヒアリングや伝えるべき内容の精査・共有まで、人事担当者が担う仕事は少なくありません。これらを円滑に進めて良い人材を確保するためには、採用プロジェクトチームが一丸となって動くことが不可欠です。自分一人だけが奔走するのではなく、採用に関わる社内メンバーを的確に活用しながらマネジメントすることも人事担当者の重要な仕事といえるでしょう。

ぜひ本記事を参考に、自社における採用活動に活かしていただければ光栄です。

 

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ウマい人事編集部

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人事担当者に役立つ情報を集めることが日々の日課。仕事のモチベーションは疲れた時に食べる人参です。

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