年間採用計画の立て方とは?策定前に確認しておくべき事項や注意点も解説

年間採用計画は、採用活動を推進する際の指針となります。
採用活動において重要な計画だとわかっているものの、具体的な計画の立て方や留意点がわからずに悩む人事担当者も少なくないでしょう。
本記事では、年間採用計画の立て方について、策定前に確認しておくべき項目や注意点を交えながら解説します。
年間採用計画を立てる4つの理由
企業の採用活動において、年間採用計画を立てる理由は次のとおりです。
- 採用活動の効率化を図るため
- 母集団の質を向上させるため
- 事業戦略との連動を密にするため
- 社内リソースを最適に配分するため
本章では、上記4つの理由について解説します。
採用活動の効率化を図るため
採用計画を策定することで、戦略的に採用活動を推進できるようになります。
採用活動の指針や全体像が明確になるため、場当たり的な活動や取り組みがなくなり、採用活動が効率化するでしょう。
採用計画を策定することなく採用活動を進めた場合、必要のない時期に求人広告を掲載したり、ターゲットと異なる層にアプローチしたりする事態が発生し、広告費や人件費が必要以上にかさんでしまうでしょう。また、選考プロセスが曖昧な状態のために、選考期間が長期化し、優秀な人材を逃してしまうリスクも高まります。さらに、担当者の業務負荷も増大するため、採用活動全体の質の低下を招く恐れもあります。
一方、採用計画を定めると、メディアプランニングやスケジュールを綿密に管理できるため、費用対効果の高い採用活動が可能になります。さらに採用ターゲットに対して最適なタイミングで情報を発信できるようにもなるでしょう。
さらに、策定した採用計画を参照し、担当者の役割分担を明確にすることで、一人ひとりの業務負荷を軽減し、効率的な採用活動を実現できるようにもなります。
このように、採用計画は、採用活動を効率的かつ合理的に進めるための基盤となります。
母集団の質を向上させるため
採用計画を策定しなかった場合、求める人材像が曖昧なままの状態で採用活動が進んでしまう恐れがあります。
結果として、企業文化や組織風土に合わない人材を採用してしまい、配属後のミスマッチが発生し、早期離職に至ることもあるでしょう。
一方、採用計画にもとづく採用活動では、事業戦略や部門のニーズにもとづいて、具体的な人材要件を明確化するため、どのようなスキルや経験を持つ人材が必要なのか、どのような人物像が組織にフィットするのかを詳細に定義できます。結果的に採用ターゲットを適切に絞り込んだ、効率的かつ効果的な採用活動が実現するでしょう。
このように、採用計画にもとづく採用活動は、求める人材からの応募につながるだけでなく、採用の質向上にも寄与します。
事業戦略との連動を密にするため
採用計画は、単に人材を確保するための手段ではなく、事業成長にも結び付く重要な戦略の一つです。採用計画と事業戦略を連動させることで、組織の成長を加速させることができるでしょう。
たとえば、新規事業の立ち上げにともない、特定のスキルを持つ人材が必要になる場合、新規事業の立ち上げに必要なスキルを持つ人材の獲得に重点を置かなければなりません。また、組織のグローバル展開を推進する場合、語学力や異文化理解力を持つ人材の採用を強化する必要があるでしょう。
このように、採用計画は、企業が持続的な成長と発展を遂げるための人材採用の指針にもなります。採用計画にもとづく採用活動は、コストを削減し、効率的な人材確保を実現するとともに、企業の成長に貢献する人材の獲得につながることを理解しておきましょう。
社内リソースを最適に配分するため
採用活動を成功させるためには、各採用プロセスにおいて適切なコスト・人員が投下されていることが前提となります。
事前に採用計画を立てておくことで、面接官のスケジュール調整や選考プロセスの準備をスムーズに進められるようになるでしょう。また、予算の割り振りや人員確保も事前にできるようになるため、適切なタイミングで採用予算や人員リソースを割くことができるようになります。
新入社員の定着を促すオンボーディング制度の整備にも時間を確保でき、新入社員が早期に戦力化するための体制を構築することも可能になるでしょう。
年間採用計画を立てる前に確認するべき5つの項目
採用計画は、企業が求める人材を確実に獲得し、事業の成長を支えるための重要な戦略です。しかし、計画を立てる前に十分な準備を怠ると、期待した成果を得られないばかりか、時間やコストの浪費につながる恐れがあります。
ここでは、採用計画を実際に立てる前に、必ず確認しておくべき次の5つの項目について解説します。
- 事業戦略
- 配属予定部門の人材ニーズ
- 採用部門のリソース
- 採用競合の動向
- 前年度の採用成果
事業戦略
採用計画は、企業の事業戦略と密接に関わっています。そのため、年間計画を立てる際は、事前に会社の事業戦略を確認しておきましょう。
たとえば、新規事業の立ち上げや海外展開を計画している場合、事業計画に応じた専門人材の採用が求められます。また、組織の成長フェーズによっても必要な人材のタイプは異なります。スタートアップ企業であれば、マルチタスクをこなせる柔軟な人材が求められる一方、大手企業では特定分野のスペシャリストの需要が高まるでしょう。
採用計画を立てる際は、経営陣と密に連携し、事業戦略と整合性を担保することが成功の鍵となります。
配属予定部門の人材ニーズ
採用計画を策定する際は、配属先の人材ニーズを正確に把握することが不可欠です。
部門のニーズを把握せずに採用計画を立案してしまうと、現場のニーズにそぐわない人材を採用する場合があり、早期離職や育成コストの増大につながる恐れがあります。
現場のニーズを把握する際は、次の4点を確認しておきましょう。
- 現在の人員数と将来的な増員計画
- 退職予定者の状況
- 配属部門が求めるスキル、経験
- 業務量の変化に伴う採用の必要性
部門ごとの人材ニーズを明確にすることで、現場が本当に必要としている人材に対してピンポイントでアプローチできるようになるでしょう。さらに部門ニーズに合致した人材採用は、入社後の活躍と定着につながり、生産性向上に寄与する可能性も期待できます。
採用部門のリソース
採用計画を立てる前に、採用部門のリソースを確認しておくことも大切です。
具体的には、以下の項目について現状の把握に努めましょう。
- 採用担当者の人員配置
- 採用活動に使える予算
- 面接官のスケジュール
利用可能なリソースを超える無理な計画を立ててしまうと、業務の遅延や停滞を招き、結果的に目標未達に終わる恐れがあります。
事前にリソースを正確に把握できていれば、リソースをより有効に活用するための戦略や工夫も考えられるようになるでしょう。
採用競合の動向
採用市場における競合の状況を理解しておくことも、採用計画を立てる上で欠かせません。
競合企業の動向を分析することで、自社の採用競争力を客観的に評価できるようになり、競争優位に立つための適切な戦略を策定できるようになります。
たとえば、独自の研修制度や柔軟な働き方など、競合企業と差別化できる強みを把握できたり、ターゲット層に効果的な媒体やアプローチ手法を選択できたりするでしょう。
結果的に、採用活動の成功率が高まる可能性も期待できます。
前年度の採用成果
過去の採用活動の成果を振り返ることも、今後の採用計画を改善する上で有効です。
前年度の採用成果を振り返らないまま計画の策定を進めてしまうと、過去の経験を活かせず、同じ過ちを繰り返してしまうでしょう。
このような事態を回避するには、採用計画を立案する前に前年度の採用目標の達成率や採用ルート別の成果、応募者からのフィードバックなどを振り返り、ボトルネックになったプロセスを洗い出してみましょう。
成果の高かった採用ルートや手法に投資を集中させたり、新しい採用手法やアプローチ方法を検討したりできるようになり、採用活動の精度をより高められるようになります。
年間採用計画の立て方
採用計画は、企業が求める人材を効率的に採用し、組織の成長を加速させるための重要な指針です。しかし、計画を立てるプロセスを誤ると、期待した成果を得られないばかりか、時間やコストが無駄になってしまう場合もあります。
ここでは、採用計画の立て方を、次の4つのステップに分けて解説します。
- 採用人材の要件を具体化する
- 採用戦略を策定する
- 採用活動のフローごとに期限を設定する
- 採用活動の振り返り、改善を行う
【ステップ1】採用人材の要件を具体化する
採用計画を立案する際は、まず採用人材の要件を具体化しましょう。
採用ターゲットが曖昧なまま採用計画を立案してしまうと、ミスマッチ人材の採用や選考基準の曖昧化、訴求ポイントが不適切な状態になるなど、さまざまな問題が生じる恐れがあります。
採用する人材の要件を明確に定めることで、採用ターゲットに対して適切なアプローチができるようになります。また、選考基準が明確になるため、複数の応募があったとしても最も求める応募者を選定できるようになるでしょう。
要件定義の際は、以下の項目を明確にしましょう。
- 必要なスキル、経験
- 求める人物像
- 企業文化との相性
また、採用人材の要件を定める際には、経営方針や事業計画との擦り合わせも不可欠です。経営方針や事業計画と乖離した人材要件を設定してしまうと、事業戦略の未達成や事業成長における機会損失が生じる恐れがあります。
経営方針や事業計画、部門戦略など、企業戦略全体を踏まえ、人材要件を具体的に定義することで、経営戦略と整合した戦略的な採用を実現することが可能になるでしょう。
【ステップ2】採用戦略を策定する
人材要件を策定した後は、採用戦略を策定しましょう。
採用戦略を策定する際は、少なくとも以下の項目をについて議論し、採用活動の具体的な方向性を定めましょう。
- 採用目的
- ターゲット人材
- 採用手法
- 採用媒体
- 訴求メッセージ
- 訴求する強み
採用戦略なしに採用活動を進めてしまうと、手段が目的化したり、場当たり的な活動に終始したりする懸念があります。また、競争の激しい市場で優位性を確立できず、人材獲得競争で後れを取ってしまう可能性があります。
まずは前ステップで明確化した人材要件をもとに、ペルソナを設定しましょう。続いて、採用手法を定め、どのような採用手法を用いるのかを明確にします。その際、使用する媒体の選定も行いましょう。
しかし、どんなに適切な手法や媒体を選定できたとしてもメッセージや強みを適切に訴求できなければ、応募につなげることはできません。採用ターゲットのニーズや関心事を把握し、自社の魅力や強みを効果的に訴求するコンセプトを一考しましょう。
また、採用戦略は、関係者全員が共通の認識を持つことも大切です。
関係者全員が参加するキックオフの機会を設け、円滑に連携できる体制を構築することにも注力しましょう。
【ステップ3】採用活動のフローごとにスケジュールを設定する
続いて、採用活動のフローごとに期限を設定し、スケジュールを具体化します。
スケジュール管理が曖昧な採用活動は、選考プロセスの停滞や内定辞退の増加、採用コストの増大などにつながる恐れがあります。
効率的かつ効果的な採用活動を実現するためにも、フローごとに現実的な期限を設定することが大切です。大きく次の5つの期間に区切り、自社の採用状況やデータと照らし合わせながら詳細な期限を定めましょう。
【ステップ4】採用活動の振り返り・改善を行う
採用活動後は、振り返りと改善に着手しましょう。
振り返りと改善を行うことで、採用活動の課題や改善点を見つけ出し、次回の採用活動に活かすことができます。
具体的な振り返り項目は、次のとおりです。
- 採用目標の達成度:目標人数を達成できたか、目標とする人材を採用できたかなどの評価
- 採用効率:採用コストや採用期間、内定承諾率、入社後定着率など、採用活動の費用対効果やパフォーマンスの評価
- 応募者体験:応募者アンケートやインタビューを実施し、応募者の満足度や不満点の把握
- 採用担当者の意見:採用活動を担当したメンバーから反省点や改善点などの意見を収集
- 競合企業の動向:競合企業の採用活動や雇用条件などを分析し、自社の競争力の評価
各情報をもとに、採用活動の課題や改善点を洗い出し、次回の採用活動に向けて具体的な改善策を講じましょう。また改善策を実行した後も、定期的に効果測定を行いPDCAサイクルを回すことで、採用活動の質を向上させることができます。
まとめ
年間採用計画は、企業の採用活動の指針であり、効率的かつ戦略的な採用活動を実現するにあたって欠かすことはできません。場当たり的な採用を繰り返すと、採用ミスマッチの増加やコストの浪費、採用競争力の低下を招く恐れがあります。
採用計画を立てる際は、事業戦略との連動を図りながら、ターゲット人材の要件を明確にし、最適な採用手法やスケジュールを設定することが重要です。
また、計画策定前には、配属予定部門の人材ニーズや採用部門のリソース、競合の採用動向などを十分に確認するとともに、採用競合の動向や前年度の採用成果を確認することも忘れてはなりません。各データや情報を収集・分析することで、より精度の高い採用計画を策定できるようになるでしょう。
さらに年間採用計画は、一度立てたら終わりではありません。定期的に見直し、改善を繰り返すことで、常に最適な採用活動を実現できます。
企業の成長を支える優秀な人材を確保するためにも、本記事を参考に、自社に最適な年間採用計画を策定し、戦略的な採用活動を実現しましょう。
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