SDGs推進の第一歩は 関西SDGsプラットフォームから!


2015年9月、「国連持続可能な開発サミット」において採択された持続可能な開発目標「SDGs」。2030年までを期限とし、世界共通の17の目標により、地球環境を壊さずに経済を持続させ、貧困や飢餓や暴力を撲滅し、人権が守られる世界の実現を目指すものです。
日本でも地方創生の実現に資するものとして「地方でのSDGs」を推進しており、関西エリアでの達成に向けて、2017年12月、「関西SDGsプラットフォーム」が設立されました。その名の通り、関西の民間企業や市民社会、NPOやNGO、大学や研究機関、自治体や政府機関といった多様なプレーヤーが参加するプラットフォームとしての役割を担っています。
今回は、その最前線で活躍している3人をお招きして、「SDGs」推進のため、企業や団体がどのように関わっていけばいいのかお話を伺いました。

◆糸山大志さん/JICA関西 市民参加協力課 課長補佐(写真中央)
◆田代一馬さん/経済産業省 近畿経済産業局 通商部 国際課 調査官(写真右)
◆福島 覚さん/関西広域連合 本部事務局 連携推進課 課長補佐(写真左)

―まず、皆さんが所属する団体が、どういう団体なのか教えてください。また、そこでの業務内容についてお教えください。

糸山さん:
ジャイカ(JICA・独立行政法人国際協力機構)は、日本の政府開発援助(ODA)を実施し、開発途上国への国際協力を行っている機関です。私はその職員として、JICA関西の市民参加協力課に所属しており、市民の皆が開発途上国への協力に参加を希望される場合の窓口となっています。
「関西SDGsプラットフォーム」が設立されて今年で5年目となりますが、設立にあたって、関西地域の民間企業や市民社会、NPOやNGO、大学や研究機関、自治体や政府機関といった多様なプレーヤーとのつながりを有するJICA関西が、事務局の一員として参画しました。事務局は経済産業省近畿経済産業局、関西広域連合本部事務局との共同事務局で、ホームページやパンフレットに掲載している問い合わせ窓口はJICA関西としています。

田代さん:
私は経済産業省。近畿経済産業局に所属しており、主に産業振興、企業の皆さまを支援するという仕事をしています。国としてもSDGsをひとつの政策指針としておりますので、近畿地方でプラットフォーム立ち上げのお話をいただいたので一緒にやりましょうということになりました。私も、SDGsを企業の皆さまに広げるという分野を担当しています。もともとカーボンニュートラルや環境に配慮することや人材面などの支援をやっていたということも背景にあります。

福島さん:
関西広域連合とは、関西の8府県と4政令市で構成されている特別地方公共団体です。8府県というのは、滋賀県、京都府、大阪府、兵庫県、奈良県、和歌山県、鳥取県、徳島県で、4政令市が、京都市、大阪市、堺市、神戸市となっています。関西広域連合では、観光文化やスポーツ、産業や防災、医療などの分野で府県の枠を越える広域的な事務を行っております。私が所属するのは、本部事務局という広域連合専属の事務局で、その中で官民連携の取組を促進する業務を担っております。関西全体でプラットフォームをつくりSDGsの取組を推進するというお話をいただきましたので、事務局として参加させていただくことになりました。

―SDGsに取り組む企業の意義について、そして現状について皆さんはどう思われていますか?

糸山さん:
私たちとしては、実際のところ、積極的な会員勧誘は行っておりません。SDGs関連の大きなイベントがあれば、そこでブース出展を行い、プラットフォームの広報と入会のご案内などを行っていますが、今は、入会のお申し込みも多く、皆さんのSDGsへの関心が高まっていることを実感しています。去年の今頃は1,200に達していませんでしたが、今年に入って会員数はすでに1,700を超えています。民間企業の方々が7割程度、大学や教育機関、自治体、市民団体や、NPO・NGOの方々がそれぞれ1割程度の会員構成になっていて、会員数はここ1〜2年で急激に伸びている印象を持っています。これは、SDGs達成に向けた取り組みの意義を感じていらっしゃる方々が増えていることの表れだと思っています。

田代さん:
SDGsの推進については、国全体としてこれを羅針盤にしましょうと示しておりますが、行政だけではなく民間も一緒に技術の分野でイノベーションを起こさないと解決しないとされています。今後、SDGsに関連する市場が、年間12兆ドルにも拡大するとも言われるなか、企業にとっても、SDGsへの取り組みが意義あるものになります。

また、2021年に、当局と中小機構近畿本部で、中小企業が本業においてSDGsを活用し、持続可能な企業経営を行っていくために、「中小企業のためのSDGs活用ガイドブック」を作成しました。そこで次の4つのポイントが指摘されています。1、SDGsに絡んだ消費者ニーズが高まっていること。2、大企業を中心としたサプライチェーンの中では、SDGsに取り組んでいないと関係を持てないという現実があること。3、「ESG投資」と言われますが、ESGに取り組んでいるかどうかを投資家が注目するようになっており、資金調達に影響が出てくること。4、人材確保の面で、学生の頃からSDGsの勉強をしてこられた方が、就職する際にSDGsに積極的に取り組んでいる企業を選択する傾向が高まってきていること。これらのように、企業の皆様の身近な部分で変化が起きており、自分事として捉えていただければと思っております。

福島さん:
私が直接企業の方と対面することはあまり多くありませんが、SDGsは国連で定めた取り決めであり、行政・自治体としては、SDGsに対して責務ある行動を率先してやっていかなければならないという立場にあります。実際、SDGsの視点を持ちながら、事業を進めているという企業は多くなっていると感じます。関西広域連合においては、現在、2025年開催の大阪・関西万博に向けた取り組みをしています。万博はSDGsを中心に据えたものになっていますので、そこに関わっている企業はSDGsに貢献するという高い意識を持っており、そのような意識がないと事業を持続的に発展させていくのは難しくなってきているような気がします。

―SDGsを積極的に推進したいと考える企業は、具体的にどうすればいいとお考えですか?

糸山さん:
まず、「関西SDGsプラットフォーム」のホームページに、SDGs推進の取り組みを実践している会員の皆さま独自のイベント案内や活動事例が掲載されていますので、ぜひご覧になっていただければと思います。また、ホームページ内には「共創スペース」という掲示板サービスで、会員の皆様がご自身の活動への協力を他の会員様に呼びかけることも可能です。
プラットフォームでは、会員の皆様が、ご自身の関心と合致する取り組みを行っている他の会員様に直接コンタクトがとれるような仕組みもつくっています。ぜひ、入会いただいて、このサービスも利用していただければと思っています。また、会員の皆さまが、関心のある分野に特化した分科会を組織して活動しているケースもありますので、分科会の活動を通したSDGsの積極推進も可能だと考えています。

田代さん:
SDGsといっても、人権だったり環境だったり、個別に見てみると様々な視点がありますので、そのすべてに対して取り組もうとするのは難しいと思います。企業ごとに重要な項目は違いますので、優先順位をつけながら少しずつ取り組んでいただけたらと考えています。企業の皆さんにSDGsについてのお話をすると、結構、コスト面の話題になることが多いんですが、逆にビジネスチャンスになっていることも伝えたいです。SDGs取り組みへの活動が、企業ブランドとなって、競合優位性を築くことになるという、プラスの面も意識しながら取り組んでいただければと思います。我々の方でも関西SDGs貢献ビジネスネットワーク分科会を立ち上げていて、どう取り組んでいただくのがいいか、イベントなどを開催して情報発信をしています。
(関西SDGs貢献ビジネスネットワーク:https://www.kansai.meti.go.jp/2kokusai/SDGS/businessnetwork/businessnetwork.html

福島さん:
「関西SDGsプラットフォーム」のホームページでも、イベント情報などを通じて、企業や団体が主体的に行なっている様々な取り組みを発信しています。そのなかで、何ができるか、何がしたいか、自社であればこれができるんじゃないかというものをお選びいただいて、イベントやセミナーに参加いただいたり、また、それをひとつの足がかりにして取り組んでいただければと思います。多くの方に積極的に取り組んでいただけるよう、今後も色々な分野におけるSDGsの推進について、知識や情報を継続的に発信したいと考えています。

お話をお伺いして

地球環境をこれ以上悪化させず、貧困や飢餓、暴力をなくし、人権が守られる世界の実現を目指すSDGs。SDGsに取り組んでいる企業が、社会的信頼を獲得できることやユーザーから選ばれる要因につながること。新しいビジネスが生まれるきっかけとなることや、社会に貢献しているという意識から、社員のモチベーションも高めるという効果を得られることをお聞きしました。そして、企業のブランド価値が上昇することで、優秀な人材を獲得できるチャンスが広がります。決して難しく考えるのではなく、できる範囲で進めることが重要です。参考にできる実例の検索や、アドバイスを得られる「関西SDGsプラットフォーム」が、その第一歩を手助けしてくれることがわかりました。

 

関西SDGsプラットフォームのサイトはこちら↓
https://kansai-sdgs-platform.jp/

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