2025年9月求人市場動向

ウマい人事編集長より、中途採用市場における企業側、求職者側の動き、それぞれの観点から最新の求人市況感をお届けいたします!
下半期に向け、採用選考は最終局面へ
厚生労働省が令和7年8月に発表した『一般職業紹介状況(令和7年6月分)について』によると、令和7年6月の有効求人倍率は1.22倍であり、前月と比較して0.02ポイント減少しています。また、新規求人倍率は2.18倍であり、前月に比べて0.04ポイント上昇しています。
引用:厚生労働省『一般職業紹介状況(令和7年6月分)について』
例年9月は、10月入社を目指す求職者の活動がピークに達するのと同時に、多くの企業が下半期の事業計画達成に向けて採用活動の最終フェーズに突入する時期です。夏季休暇後は停滞していた選考が一気に動き出すため、企業と求職者の双方にとって重要な局面となるでしょう。
また、複数の内定を保持する求職者が増えることから、9月は内定・選考辞退が多発することが予想されます。さらに、多くの企業が同様のタイミングで採用を強化するため、従来どおりの方法では、優秀人材は大手や条件のよい企業に流れてしまうでしょう。
9月の採用競争を勝ち抜くには、求職者に対して企業から積極的に動機づけに取り組む姿勢が求められます。加えて、給与や待遇といった条件面だけでなく、応募から内定までの採用CX(候補者体験)の質を高め、求職者のエンゲージメントを高めることが重要です。
<企業の動き>
採用競争が激化する9月は選考スピードと個別最適化された対応が必須
9月は、夏季休暇が明け、各社の採用活動が再開することで、人材獲得競争が一層激しくなることが予測されます。特に、夏の賞与後に転職活動を始めた求職者が選考の最終段階に入るケースが増えるため、他社に先んじて内定を出す「選考スピード」がこれまで以上に重要になるでしょう。
しかし、スピードを重視するあまり求職者へのフォローがおろそかになると、選考や内定の辞退につながりかねません。企業は選考スピードを意識すると同時に、求職者の不安に寄り添い、丁寧な情報提供を心がけることが求められます。
ただし、画一的なコミュニケーションだけでは、自社を選んでもらうことはできません。待遇面だけでなく、「なぜ、あなたに興味を持ったのか」「入社後、どのような活躍を期待しているのか」といった、パーソナライズされた情報提供が求職者の心を動かすカギとなるでしょう。
<求職者の動き>
丁寧な対応が、最終的な入社の決め手になる
10月入社を目指す求職者にとって、9月は転職活動の最終フェーズを迎える期間です。複数の企業から内定を得る一方で、「本当にこの会社でよいのか」という最終的な見極めを慎重に行うようになります。そのため、求職者は求人票の情報だけでなく、企業の実態に関する情報を強く求めるようになるでしょう。
物価高を背景にした待遇面への関心は依然として高いものの、それ以上に「どのようなキャリアパスを描けるのか」「どのような環境で働くことになるのか」など、入社後のイメージを掴もうとする傾向が強まります。
また、少しでも「ぞんざいに扱われた」と感じた場合、たとえ内定が出ていたとしても、より丁寧に対応してくれる企業の選考に臨んだり、入社予定企業を変更したりするケースも起こり得ます。
企業は、求職者が選考過程における企業の対応を注意深く観察していることを理解しておく必要があります。画一的なアプローチから脱却し、一人ひとりの求職者と真摯に向き合うことが大切です。
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