2025年8月求人市場動向

ウマい人事編集長より、中途採用市場における企業側、求職者側の動き、それぞれの観点から最新の求人市況感をお届けいたします!
転職市場は本格的な活性期へ
厚生労働省が令和7年6月に発表した『一般職業紹介状況(令和7年5月分)について』によると、令和7年5月の有効求人倍率は1.24倍であり、前月と比較して0.02ポイント減少しています。また、新規求人倍率は2.14倍であり、前月に比べて0.1ポイント減少しています。
引用:厚生労働省『一般職業紹介状況(令和7年5月分)について』
例年8月は、賞与を得た求職者が一斉に動き出します。また、下半期の事業活動に向けて採用活動を強化する企業も増えることから、採用市場は活性化する傾向にあります。
また、優秀な人材を逃さないよう、選考プロセスの短期化・迅速化を図る企業も増えます。
しかし、採用までのスピードを重視するあまり、求職者との相互理解が不十分なまま選考が進むと、内定辞退や入社後のミスマッチにつながる恐れがあります。
特に2025年の夏は、物価高を背景に待遇面を重視する求職者が多い一方で、働きがいや企業文化への共感を求める声も根強く、企業に対する求職者の要望は複雑化しています 。
このような複雑な求職者心理を汲み取り、採用の質を担保することが、これまで以上に重要になると考えられます。スピードと質をいかに両立させるか、企業の採用力が問われる時期となるでしょう。
<企業の動き>
選考の停滞は機会損失となるため、スピード感のある対応が求められる
8月は、夏季休暇によって採用活動が停滞する企業も少なくありません。
しかし、求職者からの応募や問い合わせに対し、応対が遅れることで、他社に優秀な人材が流れてしまうリスクが高まります。
活動の停滞による機会損失を防ぐため、企業は、以下のような対策を講じることを検討しましょう。
- お盆期間中の対応方針を事前周知する
採用サイトや採用ページに夏季休暇の期間と連絡が可能になるタイミングを明記しておく。 - 担当者間の連携を強化する
採用担当者が休暇中でも、別の担当者が一次対応を行えるよう、情報共有を徹底しておく。 - 選考スケジュールを前倒しで調整する
求職者との面接日程を前倒しで設定するなど、お盆や大型連休前に内定まで出せるようスピード感のある進行を意識する。
- 業務の自動化を図る
ATS(採用管理システム)の自動返信機能などを活用し、担当者不在時の対応を補完する。
採用活動の停滞を招かないようにするには、お盆期間や夏季休暇を見据えた計画的な採用スケジュールを意識することや求職者の熱意を維持するための工夫が必須となることを理解しておきましょう。
<求職者の動き>
選考の最終フェーズに入る求職者が増え、リアルな情報を求める傾向が強くなる
8月は求職者にとって多くのライバルが動き出すことから、「早く次の職場を決めたい」という焦りが生じやすくなる時期です 。また、同時に「本当にこの会社で良いのか」「入社後に後悔しないか」などの不安も大きくなることがあります。
求人票に記載されている情報だけでなく、社内の雰囲気や人間関係、企業のリアルな姿を知りたいというニーズが高まることから、社員のインタビュー記事やブログ、SNSでの発信内容などを丁寧に確認し、自分に合う環境かどうかを見極めようとするでしょう。
企業には、求職者の焦りと不安に寄り添い、丁寧なコミュニケーションを心がけることが求められるようになります。現場社員と対話できる機会を設けるなど、求職者の要望を満たす対応に努めることで、自社への志望度を高め、入社後のミスマッチを低減できるでしょう。
コメントはこちら